フィリピーナと共に
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2009年12月08日

43.オカマ

先日タバコシティーのLCCモールで、ダンス大会があった。
LCCモールは、中国人が経営するタバコシティーで一番大きなモールで、この辺りのエリアにはレガスピを始め、様々な場所へチェーン展開されている。
タバコシティーの店舗は3階建てのビルディングになっており、その3階のゲームコーナー横のホールで、この大会が行われた。

この大会は、個人のダンスではなく、グループでの創作ダンスの出来を競うもので、参加者の年齢やグループの種類は問われないようである。
そのダンス大会に、ベルの従妹のアンが小学校の仲間7人で参加するということで、みんなでぞろぞろと見学に行った。

LCCモールの3階に上がると、既にホールの周辺には人だかりができている。まずはアンを探すと、ステージの横でサンタクロースをモチーフにした衣装と化粧をして、グループの仲間と待機していた。
アンは10歳の小学校4年生である。10歳の割には体が小柄で、身長は6歳のベルと大差ない。髪は肩まで伸ばしたストレートヘアーで、目がクリッとした少女である。
最初はアンが自分の視界に入っているにも関わらず、僕は全くアンの存在に気付かなかった。化粧をすると、子供でも随分と変わるものだと驚いた。

モナに何時にスタートするのかを尋ねたが、わからないと言いながらもまだまだ始まらないと言う。アンの母親に尋ねても答えは同じだった。
プログラムというものがあるにも関わらず、なぜスタート時間がわからないのか不思議であったが、わからないものを問い詰めても仕方がない。フィリピンはそのようなケースが非常に多い。何につけても時間に大らかである。

待つこと30分、会場は溢れるほどの人で熱気でむんむんとした空気になっていた。時折とても汗臭い匂いが、会場を漂う空気と共に鼻をつく。僕はその匂いだけは苦手だった。
匂いが収まらないので場所を移動しようとしたら、ようやくプログラムのスタートと相成った。女性アナウンスの開始の声に、会場の熱気がますます増長する。

ダンスのバックミュージックが流れ出すと、一組目が元気にステージに登場した。とたんに会場から、甲高い奇声と指笛が鳴る。ダンスが始まると各自が爪先立ちになり、少しでも前を見るために頭を左右にずらすので、こちらも同じようにしないと見づらい。僕はベルを肩車しながら、やはり爪先立ちで少しでも良く見えるポジションを探す。

客席のセンター辺りに机が3つ置いてあり、それぞれの机にはメモを手に持って渋い顔を作っている審査員の男性と女性が座っていた。
フィリピン人はダンスが大好きで、6歳のベルもTVの音楽に合わせてよく体を揺らしている。そのちょっとした動作がまた様になっているのだから、フィリピーナがダンスが上手いのも頷ける。小さな時から体でリズムを刻むトレーニングがしっかりとできているから、日本人には真似のできないノリを体得しているのだ。
TVではダンスコンクール番組もあれば、バラエティー番組でも、プログラムの進行にともなってミニスカートのお姉さんの踊りが頻繁に登場する。とにかく音楽とダンスが大好きな国民である。

当然コンクールに出ようという人たちのダンスは、素人目に上手である。とてもローカルの小さなコンクールとは思えないレベルの高さである。
個人的にはそれぞれのグループに甲乙付けがたい。おそらくダンスの創造性やグループのメンバーがどれだけ揃って踊っているか、そして雰囲気、ノリ、テクニックなどが審査の対象になっていると思われるが、僕には全てのグループが素晴らしいと感じる。

いよいよアンたちの出番である。アンのグループは、その日参加した中で唯一の子供グループである。軽快なリズムにのって、大人顔負けのダンスが繰り広げられる。数曲の音楽が編集で繋げられていて、バックミュージックが変わるたびにダンスの雰囲気も変わるため、見ていて飽きがこない。
センターで踊る子が、一歩前に出て多少大人びたセクシーダンスを披露すると、会場には歓喜の渦が巻き起こった。手拍子に指笛、そしてキャーという奇声。会場全体の盛り上がりが絶頂を迎えている。まるでディスコホールのようになってしまった。

はて、なぜそれほど盛り上がるのだろうかと思った。確かに小学生の少し背伸びをしたセクシーダンスは可愛くもあり、ませているなぁという苦笑いを誘うものでもあったが、会場の人間は明らかに手放しで喜んでいる。
再びステージ中央の子供を良く見て、あれ?と気付いた。もしかして男?
ダンスや身のこなし、顔や衣装は明らかに女の子であるが、顔が美少年系の男にも見える。

「あのセンターの子供は、もしかしてオカマ?」と、思わず僕はモナに訊いた。
「そうよ。セクシーでしょう?」
「はあ・・・」
それで会場がこんなに盛り上がっているのだと僕も納得。彼女・・いや彼がオカマだとすれば、その成りきりぶりに観客が喜ぶのがよくわかる。確かに彼女・・いや彼のダンスは、グループのセンターポジションを飾るほど女らしく上手である。そして顔が可愛い。

きっとその子の親もこの会場のどこかで、自分の息子の晴れ姿を見ているはずである。オカマとしての活躍でも、きっと親は素直に喜んで見ているだろうと思われる。


フィリピンではオカマもオナベもしっかりと市民権を獲得しているように見える。日本のように色眼鏡で見られることが少ないようだ。TVでもオカマの活躍は目立つ。

何よりも、モナの友人にもオカマが数人いるが、女性たちはオカマを女性の友達として付き合っている。オカマを全く男性としてみてはいない。
夜遅くなれば、アパートもみんな一緒の部屋に泊まったりするようだ。それで何かの事故(アクシデント)は起きないのかとモナに訊いたことがあるが、何らかのトラブルを見たことも聞いたこともないそうである。
僕もモナの友人のオカマと一緒にカラオケに行ったことがある。そのオカマの友人は、最近マニラのある企業で、チーフに昇格したと喜んでいた。仕事上でもオカマであることは、このフィリピンでは全くハンディにならないらしい。

日本でも最近は、性同一性障害という病気だという位置づけで、それを変な目で見ないような風潮ができつつあるが、フィリピンでは病気だからなどという難しいことは抜きで、社会が自然にオカマを受け入れているように見える。
だからというわけでもないだろうが、フィリピンにはオカマが多い。日本では46年も生きてきて、自分の周囲にオカマは一人もいなかったが、フィリピンでオカマを見かけることは日常茶飯事であるし、既に僕は二人のオカマと友達になっている。

だから僕にはオカマが気持ちが悪いなどということはない。彼らは付き合ってみると中々面白いし、とても優しいからこちらがストレスを感じることがほとんどない。
しかしいまだに、どうしてもオカマをオカマとして意識してしまう。彼らを目の当たりにして、あなたはオカマだろうという意識が頭のどこかに必ずあるのである。
僕はそれを、特に悪いことだとは思っていないが、それはおそらく、僕がオカマをよく知らないからだろうと思ったりしている。

今度再びモナの友人のオカマが遊びにきたら、飲みながらでも「お前は何でオカマなのか?」を、自分の興味も含めてじっくりと訊きたいと思っている。

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カテゴリー:フィリピン生活
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