フィリピーナと共に
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2015年04月12日

739.体調不良に際して

 仕事が終わり、自ら料理した夕食に満足し、台所を片付けコーヒーを飲んでくつろいでいた。何かの小説を読んでいたような気がする。そのとき、たばこの火もついていたかもしれない。
 無意識にコーヒーカップを口元に運んだ。淹れたてのそれはまだ熱くて、香りを楽しむ前に湯気で少しむせ気味になった。そしてむせ気味でコーヒーをすすろうとしたとき、視界の隅に、小さな虫がふらりと飛んできたのが映った。蚊のような、小さな蝿のような、何かは分からない。いずれにしても、驚いて体をのけぞらすような大物ではなく、大して気になるものではなかった。それが、僕が鼻腔から息を吸い込んだ瞬間、その空気の流れに乗って僕の身体に入り込んだ。
 固いものではないし大きいものでもなかったから、特に鼻が痛いというわけではなかったけれど、鼻腔に異物が入り込んだことははっきり分かったので、僕はすぐにティッシュを手に取り鼻をかんだ。でも顔の前で広げたティッシュの中に、それらしきものはなかった。鼻腔に感じた違和感はなくなっていたし、もしかしたら僕の気付かないうちに小さな虫は外に飛び出していたのかもしれないと思い、僕はこの小さな事件をすっかり忘れていた。これが水曜の夜の話だ。
 
 翌朝、出勤の運転中、なんとなく目の周りがひりひりするような気がした。会社についてしばらくしてから、鼻の下も少し赤らんでひりひりし始めた。僕はもともと疲れると顔に肌荒れを起こす体質で、その症状に似ていなくもなかったから、連日の各方面からのアタック(攻撃)に、僕は知らず知らず疲れやストレスを感じているのだろうかと思った。
 夕方になると、鼻の下、丁度鼻穴の出口のところが、明確にただれ始めていた。その日は少し早めに家に帰り、睡眠を多めに取ることにした。

 更に翌朝、朝起きたら目の周りが腫れていた。左目の左下、左頬の少し上側も、やや赤くなって腫れ気味になってなっていた。鼻穴の出口のただれはますます激しく、まるで鍾乳洞で晶出する鍾乳石のように、鼻穴をふさぐ勢いの汚らしい蓄積物ができていた。これは単なる疲れの肌荒れではないことにさすがに気付いたけれど、一先ず顔をどうにか綺麗にし出社した。
 会社に行くと、周囲から、すぐにクリニックに行った方がよいと奨められた。ありがたいことに、今の会社はおかかえのクリニックが十箇所以上あり、そこは完全無料で受診して薬ももらえる。クリニックで病院を奨められるケースに限り、次の病院代も会社負担になるようだ。
 しかし残念ながら、その日は午後一番で顧客との電話会議があった。午前中も揃えなければならない資料がある。どうしてもすぐクリニックに行ける状況ではなかった。
 
 僕は仕事をしながら、自分の顔面で起こっている症状についてずっと考えていた。何かのアレルギーに思えるけれど、僕は基本的にアレルギー体質ではない。唯一のアレルギーは、花粉症だけだ。前日の朝症状が出始めたとすれば、その前夜何を食べたのか、懸命に思い出した。
 食べたのはつけうどんだ。つけ汁は市販のめんつゆに大根おろしと刻みねぎをたっぷり入れ、刻みのりをうどんに振りかけただけ。これが簡単で結構美味しいから、僕は頻繁にこれを食べている。その後、りんごを食べた。そのりんごも、買って初めて食べるのではなく、先週市場で五個くらい買い、三個目のものだ。もしりんごが原因なら、もう少し前に症状が出てもいいだろう。
 ちなみに最近、日本ではないけれど、ヨーロッパのどこかで危険な食べものワースト10というものが発表になった。第一位はりんごなのだ。要は、皮が薄く農薬の影響が大きく残る食べ物ということで調査した結果らしいけれど、上位六位くらいまでを果物が占め、そのあと野菜が名を連ねるという結果だった。うる覚えだけれど、一位がりんごなのはよく覚えていて、あとはぶどうが上位に入っていた。野菜で覚えているのはほうれん草くらいだ。
 そんなことが頭の隅にあったから、僕はりんごも結構疑った。そのりんごは今もまだ、冷蔵庫の中に残っている。
 仕事が終わり、小雨が始まる中、僕は車を運転してクリニックに行った。そこは二度目の来院となる。前回は風邪で熱が出て、どうしても薬をもらいたかったのだ。前回の来院時は結構混んでいたけれど、その日は待っている人が一人もいなくて、僕はすぐに、ドクターの前に通された。

「どうしましたか?」
 僕はメガネを取って、この顔を見てくれと言った。
「この症状は、昨日の朝に始まりました」
「ふーむ、もしかして、虫を触ったり食べたりしなかった?」
「え……。あっ、むし? 実は一昨日の夜、小さな虫を鼻から吸い込みました。蚊のような、小さな蝿のようなものです」
「あー、で、それは黒かった? それともオレンジ色だった?」
「視界の隅で捉えただけなのでよく分かりませんが、オレンジのやつは見たことがないので、おそらく黒だと思います。でもそうして分かるんですか?」
 僕は意表をつかれて驚きながら、思わずそんなことを訊いた。
「この症状は、まさにその虫のものだから。その虫は、毒をもってるんだよ。たぶん間違いない。原因はそれだ」 
 それでもその話しが当たっているかどうかは怪しいけれど、こちらが説明する前に虫のことを言い当てられたのだから、僕は随分すっきりした。
「クリームと飲み薬を出しますね。クリームは赤くなった肌の部分に塗って。あとは抗生物質と抗ヒスタミンと&*%$#を出しますから」
 &*%$#は聞き取れなくてよく分からなかったけれど、病院に行く前から、原因がアレルギー系であれば抗ヒスタミン、ばい菌による化膿系であれば抗生物質を飲む必要があると思っていたから、これにも納得した。

 こうして金曜日の夜から薬を飲み始めたけれど、昨日土曜の朝、僕の顔は無残にも晴れ上がり、症状が出ているところは真っ赤になっていた。これが前日であれば、会社は間違いなく休んでいただろう。でも、土曜の午後から目の周りに感じていたひりひりする痛みが和らぎ、本日日曜はすっかり顔の腫れが引いた。どうやら薬の効果が出始めたようだ。鼻の下もすっかりすっきりした。これなら外を出歩いても恥ずかしくない。
 僕が吸い込んだ小さな虫は、おそらく生ごみに寄ってくるやつだと思い、昨日も普通に料理はしていたけれど、生ごみは別袋に入れて入り口をしばり、その日のうちにゴミ捨て場に捨てに行った。
 
 モナにこの話しをすると、彼女は僕の身体の心配もそこそこに、「それ、子供に危ないわねえ、私がそこに行ったら、すぐに全部掃除するから」と言われた。
 この綺麗な部屋のどこに大掃除をする場所があるのかと思ったけれど、それは見れば分かると思って僕は口に出さなかった。
 虫で身体に変調をきたすなど、これまでの僕の人生経験で、初めてのことではないだろうか。よく、触るとかぶれると言われるものや、刺されると驚くくらい腫れると言われるものがいることは知っているけれど、子供の頃からあわせ、僕にはそんな被害経験がない。
 マレーシア特有の虫か知らないけれども、僕はまあ、よい経験をしたと思っている。
 僕は今回、自分の身体にまだ、そんな毒物に反応する力が残っていることを確認した思いなのだ。赤らんだり腫れるということは、身体が毒物に抵抗を示している証拠だ。老化してしまうとこの抵抗力がなくなり、身体の反応が鈍くなる傾向がある。だから花粉症は完治薬がないけれど、歳を取ると自然消滅する例が多くあるのはそういうことだ。花粉症が治ったということは、喜ばしいと同時に要注意でもある。
 同時に、食べものにも注意をしなければならないと、あらためて思い始めている。色々と原因を思い巡らせているときに、普通に食べているものが全て怪しく思えてくるのだ。りんごもそうだけれど、よく作るオレンジジュースも、絞るときには表皮の成分がジュースに混入しないように気をつけている。
 大根やねぎや白菜、キャベツ、レタス等の野菜、肉、米も、疑い出せばきりがない。せめて産地を確認できるものの購入や、体調に変調をきたさない実績のある店から購入するなどを徹底するくらいしか手はないけれど、気にしないよりはましだろう。
 僕は正直、それほど先の長くない自分の身体のことは、それほど神経質になっていない。ただ、子供たちがここで生活を一緒するなら、栄養バランスも含め少しでも気を遣いたい。
 市場で購入するものは地元産が多く、店と作り手が直結していることが多いため、少し安心だ。売り手の人柄もよく分かる。僕がよく買う店は、買いたい野菜を名指しするとそれを取ってくれ、こちらに渡す前に確認してくれる。少し痛んでいる箇所があれば違うものと取り替えるか、そこまでいかないものはナイフでそぎ落としてくれる。それから量り売りとなる。
 そんな誠実さが、信用に繋がるのだ。この人たちは、自分たちの食べたくない野菜を人には売らないだろうという信用である。

 余談になるけれど、最近どこかの医学学会(日本)が、使用を限りなく禁止にする薬を発表した。そのリストには、使用に際して要注意というものも含まれる。そこには市販薬も含まれていた。
 これもうる覚えで申し訳ないけれど、上位は精神安定剤のようなものが占めていた。そして副作用に、記憶障害がずらりと並んでいたのを覚えている。つまり、認知症の人には絶対に使用してはならないとか、そのような症状を促進させるという指摘だ。
 僕はそれらを眺めながら、自分が小さかった頃、認知症という病気が今ほどメジャーだったろうかと思いを巡らせていた。なにか、そうではなかったような気がするのだ。とすればそれも現代病の一つで、原因は薬を含む、口から身体に入れるものの可能性が大きいのではないかと思い始めた。すぐに明確な症状が出れば分かりやすいが、そうではなくじわりと蓄積し、徐々に弊害が出るものは厄介だ。
 僕はもともと、よほど酷くないと薬は飲まない性質だけれど、薬も気をつけなければならない。全てが限りなく上を目指すビジネスになっている今、意外と今の世の中、信用できるものが少ないのかもしれない。




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posted at 12:58
Comment(10) | TrackBack(0)
カテゴリー:フィリピン生活
エントリー:739.体調不良に際して
この記事へのコメント
マークさん
お久しぶりです。
虫には充分注意してください。
色んなタイプの虫が、これから
わいてきますから。。。
Posted by N at 2015年04月13日 14:57
>Nさん
こんばんは。ご無沙汰しております。
名前が無記名でフルネーム全開の携帯アドレスが書いてあったので、こちらで少し細工をしました。
虫がわくとは、僕を毒した虫ではなくて、誰かさんのような虫? の意味?
だろうと思いながら読みました。
今まさに、虫に苦心しています。特にモナがうるさくて、僕に何とかしてくれなんて言っていますが、僕にもさっぱりで。。。。
とにかくここに来ればどうにかなるでしょうと言ってますが、インターネットがあるから場所は関係ないって。。。おいおい、僕にどーせいっていうんじゃい、って感じです。
分かります?(笑)
Posted by Mark at 2015年04月13日 23:36
マークさん
分かりますよ。(笑)

ところで、、、
マークさん、いまは、車で通勤されてるんですか?
凄いです。

買い物とか楽になりますね^_^

久しぶりにコメントさせて頂けて、ずーっと、マークさんのブログ拝見させていただいてます。
では、また、…

Posted by N at 2015年04月14日 08:17
災難でしたねぇ。
虫といえば、高校生の頃、春山にキャンプに出かけ
毛虫にやられた事がありました。
最初はほんの点のような蚊に刺されたような痒みから始まり
6時間後には左脇腹から左腕まで腫れ上がり
死ぬほど痒く、医者に行ったら毛虫だと言われました。
痒みはその後何日も続き、あまりの痒さに熱湯のようなシャワーを
患部にかける事で痒さを限界まで高めて、しばし落ち着くといった荒業を行った事を思い出しました。
それ以来毛虫を見れば確実に惨殺する事が習慣になってしまいました。
鼻から虫ですか。
想像しただけで恐ろしいですね。
回復したようで安心しました。
Posted by ジェンさん at 2015年04月15日 18:39
>Nさん
おはようございます。
返事が遅くて済みません。
何度か同じ内容でコメントを頂いたようなので、(このサイト、おかしな動きをすることがあるので、コメント投稿不成功と思い重複投稿する方がいらっしゃいます)、重複を削除しました。
おっしゃる通り、買い物が楽になりました。今まで歩いていた場所に行くのに、ほとんど車になっている自分に気付きまずいと思っています(汗)
ウォーキングは健康維持の上で、とても重要ですから。

こちらの道路事情、なかなかすごいですよ。
もう慣れましたが、信号で止まるとバイクの洪水の中に埋もれる感じで、すごい威圧感があります。車線の概念も日本とは違います。(あってないようなもの)先が詰まっていてもゆっくり走っているとクラクション攻撃か凶暴な追い越し、割り込みに遭います。
ストレスなく運転するには、気にせず焦らずに徹することが一番と、マイペースでやってます。
こちらのバイクはクレージーライダーがほとんどなので、ヒヤリとすることも多いです。
Posted by Mark at 2015年04月16日 09:55
>ジェンさん
おはようございます。
腫れや軽い痛みで済んでよかったです。
腕や腹や目の玉から、皮膚を食い破って虫が出てきたら、それこそやばい。
まだそういったことが起こる可能性がゼロではありませんが、医者の注意事項にそれは含まれていませんでしたので、おそらく大丈夫かと。
自然が近いのは和みますが、共存には難しい面も多いですね。
今は僕も部屋の中で小さな虫を見つけると、必死に追い掛け回してし止めるようにしています。
Posted by Mark at 2015年04月16日 10:01
ご家族が来られたら、「フィリ共」second seasonの開幕ですね。物凄く楽しみにしています。先生の苦難に対する対抗思想はは、畑正憲氏を連想させます。くれぐれも御自重を。
Posted by kei at 2015年04月22日 23:33
>keiさん
こんばんは。返事が遅くなり申し訳ありません。
モナたちは明日来ます。
悪天候で飛行機が欠航せず、無事にフィリピン出国イミグレーションを通過し、無事にマレーシア入国イミグレーションを通過し、無事に乗り継ぎ便に乗れることを祈りながら、部屋の片付けの仕上げをしておりました。
家族はまだマレーシアVISAを持っていないため、帰国のチケットを購入していますが、それが来年の搭乗になっています。よって、まずフィリピン出国イミグレーションでいちゃもんがつく可能性があります。
一応僕のVISAのコピーを持たせたので、何か言われたらそれを見せて説明するように言ってます。
フィリピン人の場合、不法滞在や就労を疑われるケースが多いので、面倒ですね。子供の三人連れで、しかも子供は日本パスポートも持っているので、それほど怪しくはないと思いますが。
無事に到着したら、また報告記事でも書きたいと思います。
Posted by Mark at 2015年04月24日 00:26
今回は、災難でしたね。治って本当によかったですね。
これから来られるお子さんたちを思えば心配もありますよね。
日本に馴染みの無い怖い虫がいるのですね。
当然、免疫力も弱いでしょうからマークさんみたいに突然虫の洗礼を受ける
ことになるのですね。他何回の洗礼があるのでしょうwww。
昨年東京で起きたデング被害は冬が到来し終息することもありますが冬の
来ない所では1年365日毎日ムシムシムシの恐怖が・・・・。
日中はここNGOでは25度を超えるようになりました。比の海を思い出します。そうそう何回もは渡比出来ないので余計に込上げてくるものがあります。
GWも近づき何処に行くのかパパを余所に話し合ってるようです。(懐事情も考えて欲しいのですけど。)
マレーシア、シンガポールにおいては連休となると家族とどうお過ごしされるのでしょうね?
僕は1964です。それではお身体には御留意下さい。
Posted by dと呼ばれて at 2015年04月27日 13:43
>dと呼ばれてさん
返事が遅くなり、申し訳ありません。
仕事の合間に記事を更新し、コメント返信も書いています。

ここも年がら年中暑いところで、デンゲの心配があるところです。
よってコンド敷地内にちょっとした公園がありますが、藪蚊が多いので虫除けスプレーを買うまで、立ち入り禁止にしています。
それと家の中で何か虫を見つけると、しとめるまで追い掛け回しています。
心配し過ぎとは思いますが、できることはやっておかねばと思ってがんばってます。
明日からミニ連休なので、今日は既に、仕事に身が入りません(汗)
Posted by Mark at 2015年04月30日 12:28
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