フィリピーナと共に
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2019年05月04日

相対性理論

 先日、実にセンセーショナルな雰囲気をかもし出しながら、ブラックホールの写真が公開された。
 M87銀河? (間違っていたらすみません。ウルトラマンのふるさとと混同し、いつも分からなくなる)ブラックホールはその辺りにある? 
 そもそもその銀河が何処にあるか、僕にはさっぱり分からないのだけれど。
 それが太陽系から五千五百万光年くらい離れている、つまりものすごく遠いということ、そしてあの写真の光の輪が、太陽系をすっぽり包み込むほど巨大だということだけはよく覚えている。
 快挙とか、躍進とか、今後の物理学の進展に期待とか、様々な賞賛と共に世界中が沸いたということだから、なるほど、何かすごそうなことが達成できたんだろうことは分かった。
 そこに我がフィリピーナ妻より、これの何が凄いの? と素朴な質問が飛んできた。素朴な質問ほど厄介なものはない。どうして地球には空気があるの? みたいな質問に答えるのは苦労する。夫の威厳を保たなければならない僕は、慌てて理屈を整理した。
 ブラックホールの存在は、元々アインシュタインが特殊、一般相対性理論を発表し、もしそれが正しければブラックホールなるものが存在するはずだというところから始まった論議だと認識している。
 ブラックホールに関する調査は物理学が理屈を主導し、その正しさを証明するために天文学者が奔走する構図となった。
 様々な観測結果により、アインシュタインの理論の正しさが実証され、戯けた理屈と言われた相対性理論を信じる人が増えていった。
 やはりアインシュタインの理屈を決定的にした一つの観測は、皆既日食(月と太陽が重なり、太陽が月に隠れる現象)を待ち、本来太陽の向こう側にいて見えないはずの星が見えることを確認したことである。なぜ皆既日食を待つ必要があったかといえば、普段は太陽が明るすぎて星など見えないためだ。ならば夜に確認すればいいじゃないかと言いたい人のために言っておくと、太陽が近くに無ければ太陽の重力の影響を確認できないから、夜の観測には意味がない。
 結果、太陽の横に、見えないはずの星が見えた。本来あるはずの場所と違う位置に。
 重力は時空を歪ませる、というアインシュタインの主張に基づいて、太陽の裏側に位置する星の光の通路(空間)が太陽の重力によって歪み、その結果光の進行方向が変わり、太陽の脇にその星の虚像が見えるはずだと計算されていたのだ。光は空間に沿って直進する性質を持つ。その空間が歪んでしまえば通過する光も曲がるはずだという理屈だ。そして見えないはずの星が、予想通り、実際と違う場所に見えてしまった。
 今回のブラックホールも、予め仮説があり計算もされていた。ブラックホールには核となる何も見えない黒の部分があり、その周辺に影があり、更にその外周に光が見えるはずだと。
 ブラックホールとはそもそも、膨大な質量の点が大きな重力を持ち、その核から半径xxkm内に入った物体を全て吸い込んでしまう事象を生み出す天体だ。それは光でさえ例外なく吸い込むという、恐ろしい魔物のようなものだ。そんな恐ろしいものが、光の速度でさえ五千五百万年もかかるほど遠くにあるのは幸いだった。
 ブラックホールに吸い込まれた光は波長が変わり可視光ではなくなるため、そのものを直接捉えることはできない。つまり真っ黒な部分が見えるだけとなる。
 しかし重力によって空間が歪むとなれば、先程のxx km範囲外の光は辛うじてブラックホールに吸い込まれることを免れ、ブラックホール周辺の歪んだ空間を通過し進路を曲げられる。計算に寄れば、それらの光はブラックホールの周りをぐるぐる回り、何度も回るうちにこちらから見える光の強度が上がり、ブラックホールを取り囲む光の輪として見えるはずと予想されていた。それがその通りに見えたものだから、科学者たちが一斉に色めきたったということだ。
 アインシュタインの提唱した相対性理論は、まさしく画期的であった。画期的過ぎて、疑いを持つ人も多かった。
 時空は相対的に変化する。
 なるほど、そうですか……。で? それは一体何ですか? と言いたくなるような、そんな格言じみた法則だった。
 時間も空間も絶対的なものではないと言っているのは分かる。しかし実際、時間や空間が相対的であるとはどんな事象を指すのか、これを感覚的に理解するのが難しい。
 先ず、それを理解するためには、光の速度が(慣性系で)絶対的なものであることを知らなければならない。
 なぜ光の速度が絶対的なものなのか、実は自分にはよく分かっていないのだけれど、そう決めないと話が進まないから僕は仕方なく納得するようにしている。(このことは実験で確認済みらしい。どうやって実験したのかは分からないけれど、光を発してそれがどこかに反射し戻ってくる時間を計測する箱でも用意すれば、その箱を色々な速度で移動させても光の速度が変わらないことは確認できそうな気がする)
 とにかくその前提で話を進める。
 宇宙を飛ぶ巨大なロケットがあったとする。その中に、三十万キロの長さを持つ筒が、ロケットの進む方向に対して垂直に立っている。(光の速度が秒速三十万キロだから、筒の長さも三十万キロにしている)
 ロケットの中に、Aさんが乗っていた。
 ロケットが進んでいる中、筒の底でストロボの光が発射される。すると光の速度は秒速三十万キロだから、その一秒後に、Aさんは筒の上から光が出るのを見ることになる。
 その様子をBさんが地球から観測していた。
 Bさんから見てロケットは右から左に進んでいるため、筒の底で発射された光は左斜め上に進んでいく。
 すると何が起こるのか?
 Aさんが一秒後に見た筒の上に到達する光は地球上のBさんにも見えるが、Bさんの見た光は斜め上に進んだため、筒の上に到達した光は筒の長さである三十万キロより長い距離を進んで筒の上端に到達したことになる。
 しかしここで、思い出さなければならない。
 光の速度は常に一定で、ロケットが進んでいようが止まっていようが、秒速三十万キロという絶対的なものであることを。つまり地球上にいるBさんにとって、左斜め上に進む光の速度も秒速三十万キロである。
 すると、Aさんにとっての一秒間(光が真っ直ぐ上に三十万キロ進んだ時間)に、地球上のBさんにとっては、光が斜めに三十万キロ以上の距離を進んで筒の上端に達しているので、一秒以上の時間が経過しているということになる。
 つまりこれは、状態の違う二人 (Aさんはロケットに乗って移動中、Bさんは地球上でそれを見ている)の上に流れた時間が違うことを意味する。だから時間は状況次第で変化する、相対的なものということだ。
T=T'√(1-(v/c)2)
という式が導かれている。T'は先の例で言えば静止しているBさんの時間。Tは速度vで移動するAさんの時間、cは光の速度となる。
 これは、Aさんが光の速度で移動 (v=c) するとT=0となり、Aさんの時間が止まることを意味する。
 このことを深く考えすぎると頭が変になるけれど、例えば有名な話に双子のパラドックスがある。
 双子の兄が光速の9/10の速度で三十年間宇宙を旅して地球に戻ると、双子の弟の時間は六十八年経過していて、弟はすっかりおじいさんになっているという話だ。相対性理論の世界では、こんなことが起こりうるとされている。
 これを先ほどの式に入れて実際に計算してみると
T/T'='√(1-(9c/10/c)2)=√(1-(0.9)2)=0.4358894354
となり、三十年間の三十をこの値で割ると68.8という結果になるから、双子の間に流れる時間は違うことになる。(お疑いの方は、電卓を叩いてみて欲しい)
 ということは、光速に近い速度で旅に出ると、未来を見ることができると言える。そのくらいの速度で三十年旅をして地球に戻ると、そこは更に三十八年先の世界になっているのだから。
 ならば光速そのものの速度で旅に出たらどうなるのか。理論上、旅に出た人の時間は止まるので、やはり未来を見ることが可能となる。しかしおそらく、このパラドックスの話でも速度を光速の9/10としている通り、光速での旅にはどこかに無理がある。
 ここで時間が遅くなる、あるいは止まるというのは、つまりそれほどの高速で動いた場合、物質の原子レベルの運動が遅くなる、というのが実態に近い把握の仕方となる。つまり機械で動く時計も、その規則に則り実際の動作が遅くなる。ならば、もし物質が光速で移動すれば、人体を含めた全ての原子運動が止まることになる。そうなればなったで一体何が起きるのか想像し難いから、素人には9/10くらいの速度で考えておくのが無難なのかもしれない。
 ついで申し上げておくと、高速で移動する物体は、長さも変化する。
 L=L0√(1-(v/c)2)
 ここでLは速度vで移動する物体の長さ、L0は物体が静止しているときの長さとなる。つまり、物体が高速で移動するほどその長さは縮まり、光速に至れば物体の長さはゼロになる(ゼロに見える)。移動速度が光速の9/10だとしても、先程導いた結果と同じでL/L0は0.4358894354と、物体の長さは半分以下に見えることになる。
 このことも、すれ違う電車を使った例を使い説明可能だ。
 頭の中でイメージしてもらいたいが、例えば電車一は左方向に走っていて、電車二は右方向に走っている。
 電車一の中心にはAさんが乗っていて、電車二の中心にはBさんが乗っている。
 電車一の長さは百万キロで、電車二の長さは八十万キロとする。つまり左方向へ向かう電車一の方が長い。
 この電車がすれ違うとき、電車一の先頭(左方向に進むから左端)と電車二の最後尾(右方向に進むから左端)がある瞬間に揃う。そのタイミングを狙い、揃った左端の場所からAさん、Bさん目掛けて光を発射する。
 すると左方向に走る電車の中心にいるAさんは光の方へと向かい、右方向へ走る電車の中心にいるBさんは光から逃げる方向へと向かっていることになる。
 そうこうしているうちに、今度は電車一の最後尾(右端)と電車二の先頭(右端)がピタリと重なるタイミングがやってくる。このタイミングで今度は、揃った右端の場所からAさん、Bさん目掛けて光を発射する。
 今度はAさんが光から逃げるように進み、Bさんは光に近づくように進む。
 ここで、もし二つの電車のすれ違う速度が光速の0.6倍である秒速十八万キロであれば、Bさんには、左端から発射された光と右端から発射された光が、発射されたタイミングが違うにも関わらず同時に届く。
 Bさんにしてみれば、電車一あるいは電車二の両端から発射された光が自分に同時に届くのだから、電車一は自分の乗る電車二と同じ八十万キロの長さを持つように見えてしまう。実際は百万キロの長さだから、Bさんから見ると電車一は縮まって見えるのだ。
 これを先程の式に入れて計算すると
L=L0√(1-(v/c)2)=100√(1-(6c/10c)2)=
100*√(1-0.36)=100*√(0.64)=100*0.8=80
 となる。
 計算結果は、百万キロの長さの電車が確かに八十万キロに見えることになる。
 そしてAさんにとっては先に発射された光が早く届き、後に発射された光が遅く届くことになり、その時間差から計算した電車二の長さは八十万キロより短くなってしまう。(この場合、元の長さの0.8倍になるため、Aから見た電車二の長さは六十四万キロに見える)
 さて、ニュートン力学にも相対性理論は存在するが、この理論の基礎は、ガリレイによって最初に導かれた。
 これは、力が働かなければ運動量(質量と速度の積)は一定に留まるという法則である。
 ある物質が等速運動(一定の速度で動いている)しているとする。移動方向はx軸とする。時刻tと時刻t'の関係を座標系で表すとすれば、
t'=t、x'=x-vt、y'=y、z'=z
となる。
(t'はt時間後だからt、x方向に等速度vで移動すればその移動距離はvtであり、x'はxからvtだけ移動した座標、移動はx座標方向のみであるからy`もz'も変わらない。)
 この数式は正しいと思われてきたが、マクスウェルが電磁方程式(電子、電気工学を学ぶ人にとっては、非常に重要で有名な方程式)を発表すると、このガリレイの式との矛盾が指摘されるようになった。
 これが特殊相対性理論の次式で解決される。
t'=(t-vx/c2)/√(1-(v/c)2)、x'=(x-vt)/√(1-(v/c)2)、y'=y、z'=z
 数式が多くて申し訳ないが、言葉だけでは上手く説明できないためどうか勘弁して欲しい。
 ここで何を言いたいかと言うと、物体が動く速度vが光速cに比べて非常に小さい場合、この式はガリレイの式と近似的に同じとなることだ。しかし電磁気学は光速が関与するため(電波の速度は光速と同等)、ニュートン力学とは矛盾が生じてしまう。この矛盾が、先の方程式(これをローレンツ変換式という)で解決された。
 このローレンツ変換式の大きな特徴は、時間も変換されるということだ。ニュートン力学ではt'=tであったものが、電磁方程式とニュートン力学の矛盾を解いたローレンツ変換式では、t'とtが一致しない。もちろんvがcに比べて小さければ近似的に一致するものの、そうでないケースでは一致しない。例えば光速に近い速度で一分移動したあとの時間は、移動した本人にとっては一分でも、それを見ている静止した人にとっては違う時間ということになる。
 これが先程から述べている、双子のパラドックス事象と関係している。
 次に重力が光を曲げるという説明は、比較的簡単だ。ここで再びロケットに登場してもらう。
 宇宙空間に存在するロケットが、地球の重力によって地球に落下しているとする。しかしロケットの中は重力と慣性力が釣り合い、無重力状態という設定だ。つまり、ジェットコースターが落下する際体がふわりと浮く感覚があるけれど、まさしくそれが持続している状態を設定する。
 このロケットに乗っているAさんの目の前に、ボールが浮いている。それをAさんが真横に押すと、ボールは真横に移動する。しかしこれを地球上から見たら、ロケットは地球に向かい落下しているため、ボールは放物線を描いて地球に落下している。
 このボールを光に置き換えると、全く同じことが言える。
 この光はAさんには水平に飛んで離れていくように見えるが、地球上から見ている人には放物線を描いて光が落下するように見えるのだ。これをアインシュタインは、光が重力によって曲げられたと考えた。
 重力により空間が歪む件は次のように説明できる。地球の重力により落下するロケットの中で、ボールを適当な間隔で二個並べる。重力と慣性力が釣り合っているため、ロケットの中が無重力であることは変わらない。
 二つのボールがロケットと一緒に地球に落下する場合、厳密に言えばそれぞれのボールが地球の中心に向かっているため、その軌跡は平行ではなく角度がついている。つまり二つのボールは、落下と共にじわじわと近づいていき、最後には地球の中心で重なることになる。ロケットの中でその様子を見ていれば、それは何も力が加わっていないのに、勝手に動いてボールが近づいていくように見えることになる。
 アインシュタインはこれを、重力が空間を曲げた、つまり歪ませたと考えた。空間に存在するボールは、空間が歪んだために勝手に動いた、ということだ。
 もう一つの重要な法則は、質量mがエネルギーEと等価ということである。
 馴染みの深い
E=mc2
 という式がある。cは光速であり秒速三十万キロメートルであるから、質量に光速の二乗をかけたエネルギーは莫大なものになる。
 その数式は若干補正され
E=√(m2c4+p2c2)
が導かれた。ここでpは粒子の運動量であり、その粒子の全エネルギーがこの式で表される。この式により、原子力エネルギーが、質量のわずかな部分がエネルギーに転化されていることを理解することができるけれど、頭の痛い話はこの辺で止めておく。
 こうして相対性理論を俯瞰すると、時空やエネルギーは光と密接に関係していることが分かる。
 それでは、歪んでしまう空間や時間とはそもそも何で、宇宙で最速の光とは何か、などと考え出すと、また頭がおかしくなってしまう。
 とにかく、アインシュタインの理論がなければ、今やみんなが便利に使っているGPSはなかったかもしれない。GPSは、GPS衛星が発信する複数の位置データと正確な時刻データ(GPS衛星は、非常に正確な原子時計を少なくとも二個実装している)を端末で受信し、端末に届くまでの時間と届いた位置情報を計算しながら自分の位置を計算している。(衛星と端末の距離=電波の速度×届くまでの時間)しかし、高速で移動する衛星の時間は地球上の時間と違うため、相対性理論を使い補正している。端末側に原子時計などは実装できないため、端末内の時刻は衛星から受け取る時刻情報によって常に補正されている。
 GPSの位置の誤差を補正する仕組みも中々興味深く、正確な位置が分かっている特定の場所で誤差を検出し、そのエラーを衛星側にフィードバックし誤差を修正する方法などが取られているようだ。
 こんな話をフィリピーナ妻にすると、超常現象でも幽霊話でも何でもすぐに信じるフィリピーナだから、細かい内容をどこまで理解しているかは疑わしくても、未来に行きたいとか、過去に戻ってみたいという話になる。
 アインシュタインの説によると、この世に完全な固体は存在しないらしい。例えば大きな質量を持つ天体は自らの重力で縮み、最後は点になるようだ。それがブラックホールなのかもしれないが、そんな話もフィリピーナ妻にすると、数年後には地球も点になるとパニックに陥る。
 とにかくこの世にはまだまだ不思議なことがたくさん残されているけれど、フィリピーナの不思議さも、解明に至るには当分時間がかかりそうだ。
posted at 08:33
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カテゴリー:フィリピン生活
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