フィリピーナと共に
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2013年01月08日

652.Nさんの冒険3

(前話の続き)
 朝食をゆっくりし過ぎたせいで、昼前のホテルチェックアウトが慌ただしいものになりました。ばたばたとしている中、そろそろ連絡を取ってみようとNさんが彼女に電話をすると、彼女はまだマリキナの自宅にいるということでした。
 僕とNさんが驚きどうしたのか確認すると、彼女は「昨夜Nさんは、僕とNさんがマリキナを訪れると言っていた、だから今家で待っている」と言います。そのような話をした覚えはなく、待ち合わせの場所もMOA(モールオブエイシア)にしようと決めていたはずなので、ランチタイムを一緒に過ごす計画に、たちどころに暗雲が立ち込めました。と言うのも、その話が、彼女が僕たちに会いたくないための言い訳に聞こえたからです。

 電話を代わってもらい、もう一度僕から彼女に説明をしました。
「僕のフライトの関係で、僕たちはマリキナに行くことができない。もしこれから来るのであれば場所をマラテのロビンソンモールに変更し、そこまでタクシーで来て欲しい、タクシー料金はこちらで支払うから心配いらない」と伝えました。
 しかし彼女は、まだ何かを心配しているようです。それは、マリキナからタクシーで来ても、タクシーを止めた場所に僕たちが居なければ、料金を払えない自分たちにタクシードライバーが怒るというものでした。彼女がその心配をするのは当然です。
「ロビンソンモールの詳しい場所は、僕からあなたの携帯にメッセージを送るから、それをタクシードライバーに見せなさい。そこは簡単に出会える場所で、僕たちはあらかじめタクシーが止まる場所に居るから心配は要らない。モールに到着する前に電話をして欲しい」と僕は話しました。
 そこまで話し、ようやく彼女は「分かった、あなたを信じる」と納得してくれました。
 それでもこちらは、まだ半信半疑です。フィリピーナタイムというものもあれば、約束が約束でないフィリピンでもあります。もしこのまま僕たちが彼女に会えなければ、僕はNさんに、とりあえずボーディングハウスに泊まることを勧めなければなりません。一度はMOAで会うと言った言葉をひるがえした彼女に、僕は少し心配になっていたのです。

 僕たちは二人はロビンソンモールに移動し、ロビンソンモールのどこにタクシーを止めてもらうか、ストリートの名前を含めた場所情報のメッセージを彼女に送り、後は相手の出方を待つことにしました。
 待つ間、Nさんの現地で使う携帯を購入し、ロードも入れすぐに使えるようにしました。
 すると、僕の携帯に着信がありました。すぐに折り返し電話をすると、電話口からは車に乗っているらしい雑音が聞こえてきます。
「今キリノにいる」
 そう聞いた僕は、目の前の道がパッとひらけたような嬉しさを感じました。彼女たちが、すぐ近くまで来ているのです。僕とNさんは、慌ててロビンソンモールのタクシー乗降口前に移動しました。
 僕はNさんに「外は暑いので、タクシー乗降口がよく見えるここで待ちましょう」と言い、二人がロビンソンモールの中で待っていると、ほどなくして一台のタクシーが目の前に止まり、Nさんがすぐに気付いて「来た!あれだ!」と叫びました。Nさんも、彼女たちが本当に来てくれたことに、喜びと興奮を覚えているようです。
 停車したタクシーからは、ぞろぞろと人が降りてきます。数えてみると、七人いました。
 タクシードライバーが、Nさんに五百ペソを要求しています。料金をふっかけていることを自覚しているドライバーは、僕の高いという言葉ににやけた顔で渋滞があったなどと言いますが、時間的にみて道路ががらがらであったことはとうにお見通しでした。しかし、まだ可愛い料金です。これを千ペソと言われたら喧嘩でしたが、高いけど仕方ないとわざと軽い文句を言ってから、五百ペソを渡しました。

 それよりも、ようやくミーティングが実現したわけです。よくぞ来てくれました。来てくれたのは、彼女本人、そのお姉さん、お姉さんのフィアンセ、母親、弟、そして彼女の伯父さんの子供二人。
 モール前で全員と挨拶を交わし、彼女の御一行に食事は和食で良いかを確認し、すぐにレストランに移動しました。
 レストランに落ち着いてから、Nさんが突然、これだけの人数があのタクシー一台に収まっていたのか? と、今頃気付いたのかと言いたくなるようなことをぼそりとこぼしたのが、僕には少し笑えました。
 直接会ってみると、Nさんの友人女性は、英語がやや怪しいことが分かりました。お母さんは簡単な英語を理解できるようですが、話すのは苦手なようです。お姉さんは割と英語が達者なようでした。
 しかし高度な会話は不要です。コミュニケーションを取るには十分でした。
 特に僕は、彼女たちにとって得体の知れない日本人です。できるだけ相手の不信感を払拭するよう、フィリピーナの妻を持ち、フィリピンに住むこのような人間だということを、まずは相手に伝えました。
 それが功を奏したのか、相手は僕に次第に心を開いてくれ、会話が弾むようになってきました。Nさんも一生懸命さが伝わってくるほど、話題を切らさないよう英語でがんばって話していました。

 その会話の中で、お母さんはモナのママに似た真面目で優しく、少し厳しさが垣間見られる方だということ、友人女性やそのお母さんが、普段お世話になっているNさんをもてなしたい気持ちを持っていること、その場で食事を御馳走になることに遠慮や感謝の気持ちがあることなどが感じられ、どうやら彼女たちは、変な考えや目的を持たない、普通の一般的なフィリピン家族でありそうだと思われました。
 注文した料理を全て食べきれず、普通であれば持ち帰りをするところですが、彼女たちは日本人の自分たちに対する恥ずかしさで、それを言い出すことができません。僕がそれらの料理を持ち帰ろうと言うと、お母さんが首を縦に振って嬉しそうな笑顔で賛同してくれたことも、少し安心できる材料の一つでした。その時の様子で、お母さんがそれらを持ち帰りたいと思っていたことがすぐに分かったからです。人の出すお金で頼んだものに、もったいないという気持ちが起きないフィリピン人は、それだけで少し疑問が生じます。

 食事が一息ついて話も一通り済むと、少し間ができました。僕がモールでもぶらつくかと言うと、今度はお姉さんが嬉しそうな顔を作って勢いよく頷きます。ロビンソンモールを見たことがなく、今後も滅多に来れないので、せっかくだからどのような所か見学したかったようでした。
「ウィンドーショッピングだけれどいい?」
 僕が敢えてそのように言ってみると、彼女はにこやかに「もちろん」と答えてくれました。
 ロビンソンモールでは本当にぶらぶらするだけでしたが、彼女の家族は物珍しさにキョロキョロしながら、それを楽しんでいるようでした。しかし何もせずに終わっても少し寂しいので、「この中に美味しいケーキを出すコーヒーショップがある、そこに行って食べてみない」と言うと、皆さんから控え目に賛同を頂きました。

 彼女たちは、自分たちがお金を出すことはありません。普段から、そのような贅沢をできる生活をしていないのです。よってこちらがお金を出すイベントには、一つ一つ彼女たちの遠慮が感じられます。
 それでも実際にコーヒーショップへ行ってみると、みんなお腹が一杯のはずでしたがケーキが美味しかったようで、ワンホール(丸ごと)で頼んだそれは見事に完食寸前。僕は丸ごと頼めばおそらく半分は残るので、後はそれを持ち帰ってもらおうと考えていたのですが、結局残ったのは一切れだけとなりました。本当にケーキは美味しかったようです。
 僕とNさんは、取り分けてもらった一切れを二人で食べるのがやっとでした。ワンホールから九切れのケーキが取れるのですが、皆さん一人一切れを食べたようです。

 このように、Nさんと彼女の最初の出会いは明るく楽しい、お互い好印象の持てる良いものとなりました。当然Nさんは、その場で彼女の家にお世話になることを決めたのです。

 マラテからマリキナまでは、僕が知り合いのフィリピン人ドライバーに車をお願いしていました。僕とそのドライバーの付き合いは、もう七年か八年になります。彼との付き合いは車をお願いする以外に、家族ぐるみの友人付き合いがあり、これまで僕がたくさんお世話になっている方です。その彼に空港経由でNさんと彼女の家族を、マリキナの彼女の自宅に送ってもらうようお願いしていました。それを彼にお願いした一番の目的は、Nさんに何か問題が発生した場合、その友人にNさんをサポートしてもらうことです。そこで顔合わせをし、更に彼女の家の場所を確認してもらえば、電話一本で何とかなることもありますし、僕やNさんの安心感が違います。
 ビジネスを手広くやっているドライバーの彼は、マニラの警察や役人に幅広く知り合いもいます。このようなケースでは大変頼りになる方として、その友人にNさんを紹介しました。

 友人ドライバーはNさんと彼女たちの様子を見て、たぶん大丈夫だと言ってくれました。
「言葉が通じない、それ、一番危ないね。でも彼大丈夫。問題ない。何かあったら電話だけ。それで大丈夫」
 日本語も少し操ることができる友人は、英語と日本語を混ぜながらそう言って引き受けてくれました。彼はいつでも、一度引き受けるときっちり責任を全うしてくれます。時間にも常に正確な人物で、フィリピン人らしくない、僕が最も信頼しているフィリピン人二人のうちの一人です。
 これで僕のできることは、全てやりました。あとはNさんに、自力で頑張ってもらうだけです。
 僕も既に彼女の家族と親しくなっていたので、僕は空港で、Nさんや皆さんと名残を惜しみながら空港で別れました。

 こうして僕はマレーシアにやってきたのですが、やはりNさんのことが気になります。
 僕はNさんに、「まだ生きてる〜?」と連絡を取り、彼の生存確認をしていましたが、スカイプの画面には、元気なNさんと彼女や彼女の家族が登場します。僕もすっかり、彼女や彼女の家族とお友達になってしまいました。
 その会話の中で、Nさんがいきなり現地の家庭に入り込みホームステイをしながら、何を驚き何を感じているのか、色々な話が飛び出します。
(次回に続く)



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カテゴリー:Nさんの冒険
エントリー:652.Nさんの冒険3
2013年01月07日

651.Nさんの冒険2

(前話の続き)
 僕の携帯から、Nさんの知り合い女性に電話をしてみました。中々応答がないので、知らない番号の着信に出ないかもしれないと思われた頃、ようやく彼女が電話に出てくれました。
 その時Nさんと女性の会話で気付いたのは、Nさんの英語がやや頼りないというものでした。いや、僕が初めてフィリピンを訪れた時よりは、今のNさんの英語が格段に上手です。ですから基本的な意思疎通は問題ありませんが、それでもミスコミュニケーションはあるだろうことが心配されました。
 そこでこちらの携帯音声をスピーカーにし、僕も会話に参加させてもらうことにしました。きちんと確認しなければならないことがいくつかあったからです。
 まず彼女は、Nさんの連絡が遅いことを心配し、やや怒っているようでした。あなたたちは今どこにいるのかと聞かれ、食事を済ませてマラテのホテルにいることを伝えると、そのことで彼女は安心しているようでした。どうやら彼女は最初、僕たちがマニラのバーにいると思ったようです。
 次に、Nさんがあなたの家に泊まることになっているのは本当か、それは問題ないかを確認すると、その認識は合っているようでした。

 そこで肝心の翌日のランチに誘う件ですが、これが中々彼女の同意を得られません。彼女は最初に、恥ずかしいという言葉を繰り返していましたが、これはフィリピーナによく見かける反応です。勿論彼女にとっても、こちらは異国人の会ったことのない男二人です。そこで簡単に同意しのこのこ来るとは思えません。彼女は電話口の向こうで、同居する母親に相談しているようでした。そして、母親、姉などの親族が一緒でも良いか聞かれたので、そこは「もちろん!」と即答しました。ちゃらんぽらんな女友だちを連れてやってくるより、家族を連れてくる人の方がこちらも安心でき、そして家族の様子が確認できれば、Nさんの宿泊に関する判断も確度が高まります。そのことはむしろ歓迎でした。

 彼女は明確に約束しないものの、できるだけ行くという話をし、詳しいことは翌日の電話で取り決めすることで一旦電話を切りました。
 Nさんは、まだ彼女がやってくることに半信半疑です。今回の渡比の目的は僕に会うことで、それを果たした今、あとは安いアパート(ボーディングハウス)にて現在抱えている仕事をするだけになっても構わないと言いますが、そう言うNさんの顔には、本人が気付かない寂しげな表情が浮かびます。
 とにかく僕がいなくなってからNさんがどうなるか分からず、せめて少しでもフィリピンを体験してもらいたいと考えていた僕は、その電話の後Nさんを、近くのKTVに誘ってみました。日本ではPPに行くのが好きなNさん、本場がどのようになっているのか、やはりその実際を御自分の目で見てもらうのも面白いだろうと思ったのです。
 焼き肉屋の前でKTVへのお誘いをかけてくれたお姉さんがいたので、とりあえずラーメンを食べてから考えると答えていたのですが、そのお姉さんのところへ二人で行き店に案内してもらいました。
 するとその店、以前僕とモナの二人で行って、高い料金をふっかけられてモナがとても怒ってしまった店でした。僕らに嘘をついた呼び込みのおばちゃんも店の前にいたので思い違いではなく、二度と入らないと決めた店です。しかし元旦にうろついても仕方ないので、店に入る前にもう一度料金を確認し、店の中に入ってからはママさんに以前の顛末を説明し、今度は大丈夫だろうねと念を押してからスタートしました。
 元旦早々ということもあり、店の中は女性が十人足らずと少なかったのですが、まずは女性を指名してしまうことにしました。指名せず代わる代わるやってくる女性のドリンクいいですか攻撃をかわすのが面倒だったからです。選ぶと言ってもそれほど女性がいないのですが、Nさんは特に希望はないと言うので、僕とNさんは二人で適当な大きさの数字を言い、端から数えてその数字の場所にいる女性に横に座ってもらいました。
 早速最初の伝票確認で、店に入る前に取り決めした料金と違う金額の入ったものが登場しました。この店、どうも確信犯っぽく、しっかり内容を確認しないと迂闊にサインできません。料金の違いを指摘し、その場で直してもらってからサインをしましたが、最初の指摘が効いたのか、その後はきちんとしていました。今時このようなやり方で客を騙そうとする店も珍しいのですが、僕は頭の中で、最後に騙されないようしっかりトータルの料金計算をしていました。
 しかしせっかくですから、Nさんと二人で積極的にカラオケを楽しみました。日本でPPに好んで行くとおっしゃっていたNさんだけに、歌と会話を十分満喫されていたようですが、ワンセット九十分が終了した時にNさんは体力の限界だと言い、そこでママさんに終わりを告げ、横についてくれた女性にチップを渡して店を出てきました。確かに丁度よい頃合いだったと思います。
「日本と同じシステムなんですね」
 Nさんがそのようなことに驚いていたので、僕はもっと違うシステムの場所も案内してあげたい衝動がこみ上げてきたのを、何とか抑え込みました。僕が驚いたのは、Nさんがちゃっかり、横についた女性と電話番号を交換していたことです。もっともNさんの横についた女性はベテランぽい人で、その女性から強いプッシュがあったのかもしれません。

 部屋に戻ってから少しの間二人で話をしたのですが、そこで初めて、彼女の家がマリキナシティにあることが分かりました。最初はケソンだと聞いていたのですが、マリキナだと自分たちがいる場所からはやや離れており、道路が空いていたら車で一時間、混んでいたら二時間以上かかる場所です。
 Nさんにお風呂を勧め彼が入浴している間、僕は前日の寝不足がたたり、さてマリキナならどうするかと考えている間、着替えもせず不覚にも寝てしまいました。
 翌朝、Nさんは随分早い時間から起きて、風呂に入ったりがたがたやっているようでした。その物音に目覚めた僕は、着衣に乱れもなく、無事に一夜を過ごせたようです。
 僕はシャワーを浴びるのも面倒になり、そのままNさんを誘いホテル最上階のレストランに朝食に行きました。朝食を食べながら、そして食べ終わってから、ようやくNさんと落ち着いて、色々なことを話すことができました。

 Nさんが突然フィリピンを訪れたのは、僕のブログがきっかけになったことで間違いなさそうでしたが、Nさんはちょうど、自分の生活に疲れを感じ始めていた時期でもあったようです。特に仕事で疲れ、自分が一体なんのために仕事をして生きているのか、それを見失いかけているようでした。
 家族に対する責任があることを頭では承知していても、心が塞ぐ日々が続いていたようです。かといって、自分のご家庭に不満があるわけではないようでした。Nさんに自分の家庭を壊すつもりは毛頭なく、それゆえ知り合いフィリピーナとどうにかなりたいなどとは全く思っていないようで、逆にそうなったら困るとおっしゃっていました。
 日本で窮屈な思いを感じられる方は大勢いらっしゃると思いますが、仕事があり、日々の生活が普通に何とかなることの幸せというものを、日本にいるだけでは中々分かりにくいのかもしれません。
 お話を聞く限りNさんの奥様は賢い方のようで(御本人は決してそのようには言いませんが)、そのようなNさんの心の葛藤に勘づきながら、仕事だと言ってフィリピンに来たNさんを何も言わず送り出したように感じられました。Nさんも、おそらく妻は全てお見通しではないかと言っています。
 奥様はフェイスブックで知り合った女性のこともよく知っておられ、これまでNさんは奥様の前で、堂々と彼女とチャットやスカイプでの会話をしていたようです。奥様には、彼女は自分の英語の先生だと伝えているようでした。
 そして日々の生活の中で、その英語の先生に困ったことが起こると、Nさんは奥様に内緒で送金して助けるということが、一年間続いているようです。

 その全てが、僕にはとてもよく理解できる話でした。
 歯止めが効かなくなると僕のようになるよと警告はしましたが、人生に迷いが生じること、疲れが出てくること、自分でも分からない何かを自分が求めていることなど、まさに自分が通ってきた道です。
 そのような話をする時のNさんの顔に、一瞬影がさしたり、同意してもらえた時にホットする表情が出現することで、僕にはNさんの話に嘘がなく、ある意味深刻であることがとてもよく分かりました。そのようなNさんを見ていて、彼がとても正直な方であることも伝わってきました。
 とすれば、ますますNさんのフィリピンステイがうまくいくことを考えてあげたくなります。その日の昼、フィリピンのその彼女は、本当に僕たちの前に姿を現すのでしょうか。そして彼女やその家族は、Nさんが思っていたような方々なのでしょうか。
 とても気になるところでした。
(次回に続く)



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カテゴリー:Nさんの冒険
エントリー:651.Nさんの冒険2
2013年01月06日

650.Nさんの冒険1

(前話の続き)
 今思えばNさんは、「僕に会いに来るのが目的だ、目的はそれだけだ」ということを申されながら、それを僕に伝えてきたのはNさんがフライトチケットを既に取り、渡比日程が確定してからでした。
 Nさんのフライトスケジュールは、一日の夕方にマニラに到着するものでした。最初Nさんはタバコシティーに来るとおっしゃっていたのですが、僕は三日にはマレーシアのペナンに入っていなければならず、もしNさんがタバコに来られると完全なすれ違いになってしまいます。そこで僕のマニラへの移動を一日にし、マレーシアへのフライトも二日の夜にし、僕の時間が取れる最大限のスケジュールを決めてから、マニラで会いましょうということにしました。
 Nさんはフィリピンが初めてのため、僕が空港へピックしに行った方が良いだろうことも考え、地元からマニラへの僕のフライトは、余裕のある早めの時間に決めました。僕の飛行機が予定通り飛べば問題ありませんが、天候に左右されやすいフィリピン国内便です。万が一僕がマニラに飛べない場合、僕の代わりに誰かがNさんをピックする手筈も考えました。
 それをNさんに伝えると、「涙が出ます。本当はホテルまでどうするか、それが大きな悩みでした」という言葉が返ってきました。Nさんは自分の周囲の友人に、危険だ、無謀だと散々脅されていたようです。

 今回のNさんのフィリピン訪問は突発的な思いつきで、Nさんの旅行が大変な節約旅行であることも知った僕はツインベッドの部屋を予約し、Nさんが気にならなければ、とりあえず初日は僕の部屋に一緒にどうですかとお誘いしました。
 Nさんはその申し出に大変恐縮していた御様子でしたが、元旦のマニラがどのような様子か分からず、とりあえずレストランが揃いお酒も飲めるパンパシフィックホテルを予約したと伝えると、「そこは一度泊まってみたかったホテルです」と嬉しそうな御返事を頂き、新年早々マニラの夜に、男二人でファイブスターホテルの一部屋に泊まることが確定した訳です。
「さて、その後はどうするのですか?」という僕の問いに、Nさんは変なことを言い出しました。マニラに知り合いがいるので、料理、洗濯、掃除をするという条件で、そこにただで泊めてもらうことにしたと言うのです。泊めてもらうのは女性の家ということでしたが、Nさんとその女性がどの程度のお知り合いか分からず、また余計な詮索をするのも憚られたので、その件に関しては気になるものの「そうですか」ということにし、詳しくはマニラでお会いした時に相談しましょうということにしました。
 念のため僕のフィリピン人友人の持つボーディングハウスに、五日間格安料金で泊めてもらえる確認はしたのですが、Nさん御本人は、それをどうするかはマニラで決めさせて下さいということでした。

 事前のやり取りの中で、Nさんに少々間の抜けたところがあることを、僕は気付いておりました。例えば現地での電話についてNさんが悩んでおられたので、Nさんの日本の携帯はローミング対応ですかと聞くと、それに対する肝心な回答が中々得られず、すぐに的の外れた会話になってしまいます。しばらくその会話に付き合い、ひと段落してから「さて、ローミングは?」と再度尋ねると、「あ〜、肝心なことを忘れていましたね、ローミング対応です」などという話になる人でした。このようなことが頻繁にある方でしたので、僕はNさんが、気が発散しやすい方でありそうなことも最初から気付いておりました。
 参考までに現地電話の解決方法について申し上げれば、最初空港でローミングによる連絡が取り合えるなら、日本で現地電話を借りて持ってくると高いため、フィリピンで一番安い携帯(千ペソ以下)を購入したらどうかということにしました。
 このように非常に危うげな状態で事が運んだ中、僕はNさんがどのような人だろうと、心を躍らせながらマニラに行ったのです。

 マニラの空港から外に出ると、メータータクシー乗り場には驚くほどの長蛇の列ができていました。しかもその場にタクシーが全くおらず、タクシーがやってくるペースも遅い。これはただ待っていると大変なことになるので、固定料金タクシーに切り替えるためその場を引き返し、その道々でギョウちゃんに電話をしました。
 実はその日の夜、ギョウちゃんやフィリピン在住のKさんがNさんとの食事会に合流する予定になっていたので、アラバンから車で来る予定のギョウちゃんに、予定通りマニラに到着したことと、ホテルの駐車場が無料で利用できることを伝えようと思ったのです。
 するとギョウちゃんが、「空港まですぐに行けるから、これからマークさんを拾いに行きますよ。その後アラバンに一緒に戻り、Nさんが到着するまで待って一緒に迎えに行きましょう」という有難い申し入れを頂き、僕はそのお言葉に甘えることにしました。僕はギョウちゃんの家で、正月用の日本酒を軽く飲み、美味しいスパゲッティーをたらふく御馳走になりました。

 そのギョウちゃんとの間では、当然Nさんの話題が出ます。
「マークさん、そのNさんと会ったことはあるんですか」
「ないですよ」
「でもテレビ電話くらいは?」
「それもないです、メールだけのやり取りです」
「え〜? それで一緒に部屋に泊まっちゃうんですか? それ、大丈夫?」
「メールの文章から受ける印象は、ぜんぜん変な人ではないです。大丈夫だと思いますよ」
「でも夜になって、マークさん好きですなんて言ってマークさんのベッドに入ってきたらどうします?」
「そっ、それは、考えていなかったですねぇ」

 さすがギョウちゃん、あらゆる角度から心配されているようです。それはあり得ない話ではありませんが、以前それに近い経験のある僕は、万が一そうなってもどうにかさばけると思っていました。
 僕がマニラを立ってからのNさんの宿泊先についても、ギョウちゃんは興味津々のようで、既に目が輝いています。少し心配になった僕は、Nさんは少し気の弱そうなところがあるので、あまり根掘り葉掘り聞かない下さいねとギョウちゃんにお願いしました。

 そのギョウちゃん、Nさんを迎えに行く前にかなり酔っぱらってしまったようで、奥様よりお叱りを受けておりました。
「あなたはお酒に関してディシプリンがない!今晩もあまり酔ったら、帰らないでマークさんの部屋に泊めてもらいなさい」
 Nさんにその気はないか、などとギョウちゃんに言われた僕は、二人きりより三人の方が安心だし、僕と同じベッドで良ければ今晩は是非たらふく飲んで僕たちの部屋に泊まって下さいと言いながら、僕とギョウちゃんはアラバンの家を後にしたのでした。

 僕とギョウちゃんが空港に到着し、さていよいよ御対面です。元旦にフィリピンに帰国するOFWの方も多いようで、空港はかなり混雑しておりました。この混雑ぶりを初めてフィリピンを訪れる人が見たらきっと驚くだろう、少し会えない振りをしてびびらせてあげようなどと、ギョウちゃんと悪いことを企てながらNさんを待っていたのですが、僕はNさんにいとも簡単に見つかってしまいました。
 実際にお会いしたNさんは、事前に頂いていた写真よりもはるかに若く、僕とギョウちゃんはまずそれに驚きましたが、実際の年齢が僕たちより二つ若いだけと知り、その若さにますます驚いたところから、この出会いがスタートしました。

 車に乗り込むと、早速ギョウちゃんのNさんに対する尋問が始まりました。もちろんギョウちゃんが尋問しなければ、僕も確認しなければならないことはいくつかあったので僕が質問をするところですが、そこはギョウちゃんが得意とするところです。僕は二人のやり取りをしばらく黙って聞いておりました。
 すると、意外なことが分かりました。Nさんが宿泊でお世話になると言っていた女性は、フェイスブックで一年ほどやり取りをしていただけの方で、実際に会ったことがない方でした。その女性の年齢は十九歳。母親、姉と姉のフィアンセ、弟、伯父さん、伯父さんの子供という家族構成でその家に住んでいるということでした。
 Nさんはその彼女に、毎月些少ながら仕送りをしているそうで、そのようなやり取りの中で相手の女性を信じておられるようでしたが、そこへギョウちゃんがワーストケースをあげて危ないと脅かします。
「Nさんが何もしなくても、家族が口裏を合わせて娘がレイプされたと言い出せば、Nさんは大変なことになりますよ」
 悪いことを考え出すと、様々な事件が想定されます。最悪は殺されるなどという話にビビってしまったNさんは、彼女の家に泊まることを断念し、僕が用意するボーディングハウスに泊まることを真剣に考え始めました。
「マークさんはどう思います?」
「Nさん次第です、全ては自己責任です」
 僕はそのように答えたのですが、Nさんが、できれば彼女の家に泊まりたいと思っていることを僕は分かっていました。そしてもしNさんが僕の知り合いのボーディングハウスに泊まったら、毎日退屈に過ごすだけで、Nさんのフィリピン滞在はあまり得るものがないだろうとも思っていました。

 ただしギョウちゃんの話しはもっともです。会ったことのない女性の家に、初めてフィリピンを訪れた日本人が泊まり込むのは、普通に考えれば大変無謀で危険です。
 しかしそれまでのメールのやり取りで、Nさんのその暴挙や愚劣とも思える行動は、Nさんの思慮の浅さというよりも、Nさんの人柄ではないかと僕は感じていました。そしてまたフィリピンの女性も、そのNさんの人柄を感じて自分の家に泊まりなさいと進言してくれていた可能性があったのです。事前のやり取りの中で、Nさんの間の抜けた様子を少しだけ紹介しましたが、それすらクスっと笑ってしまうようなNさんの憎めない、そして真面目な人柄を僕は感じていました。もちろんNさんは、その十九歳の女性に変な下心を抱いていないことも十分感じておりました。僕の中には、そのようなNさんの判断を信じ、できるだけNさんの意向に沿えるようにしたい気持があったのです。
 その時僕は翌二日に、一緒にランチをしようという名目でその女性を呼び出し、直接会ってから判断しようと考えていました。それから決めても遅くはありません。そして最終決断をするのは、あくまでもNさん御本人です。

 ホテルに到着すると、Kさんが奥さんとお子さんを連れて既にホテルロビーにいました。僕はチェックインを済ませ、一旦みんなで部屋まで移動し、そこでNさんの紹介を済ませました。ホテル近くの焼き肉屋がやっていることが分かったので、Kさんの奥さんの意向を尊重し、みんなで焼き肉屋に行き話が盛り上がりました。Nさんは初顔合わせでしたが、打ち解けて楽しい宴会になったと思います。

 会計の段になると、ここは出させて下さいとお金を差し出すNさんにギョウちゃんが、今日はあなたの歓迎会だからと言ってくれました。僕のお客さんなので食事代は僕が支払うつもりでいましたが、ギョウちゃんはそう言って出がけに奥様より頂いた手持ちをそっくり出してくれ、残りを僕とKさんで支払いました。僕のお客を、自分のお客として考えてくれる気持ちを持ってくれる友人とは、本当にありがたいものです。これは金額の問題ではなく、気持ちの問題として素直に嬉しく感じたことでした。

 Nさんがトイレに立ち席を外した時に、ギョウちゃんが僕に言いました。
「マークさんの人を見る目は、冴えてるねぇ」
 つまりギョウちゃんも、Nさんのことを大変気に入ってくれたようです。もちろん僕も、その頃既に、Nさんがずっと前から知り合いだったような親近感や安心感を抱いておりました。
 その後家族連れのKさんは自宅に帰られましたが、ギョウちゃん、Nさん、そして僕の三人は、日本橋亭が元旦からやっている情報を焼き肉屋で仕入れ、そこにラーメンを食べに行きました。腹が膨れ、これ以上食えない、呑めないと言いながらギョウちゃんはアラバンに帰られたので、そこでようやく僕とNさんは、ホテルの部屋からNさんの知り合い女性に電話をしてみたのです。
(次回に続く)



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