フィリピーナと共に
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2009年06月04日

リン69 ロエナのさよならパーティー

預金が100万を切ってからは少し焦り出した。
フィリピンパブ通いも自嘲したが、しかしそれが底をつくまで早かった。
最後に急激に減ったのはロエナの店で使ったためだが、しばらくは節約しようと思っていると今度はリンへ送金しなければならなくなる。
そのうちにやけくそになり、なくなるまで使ってやれという気分になっていた。

そんな頃にロエナの親友から電話がかかってきた。
彼女は毎日泣いている、せめてさよならパーティーだけでも来てあげて欲しいという話だった。
本当は気が進まなかったが、やはり最後まで冷たくできなかった。
そして彼女にも面子がある。
僕は自分からロエナに電話をし、さよならパーティーの日には同伴すると伝えた。

周囲の人間は、僕たち二人が恋人同士だと思っている。
さよならパーティーに恋人の僕が顔をださなければ、二人の間に何かあったと彼女が勘ぐられ噂も立つ。
それでは彼女がかわいそうだと僕も少し無理をした。
みんなはっきりと口に出しては言わないが、彼女たちはプライドが高く、そんな面子も結構気にしているのだ。

同伴といってもさよならパーティー当日は、当人は美容院へ行ったりいろいろ準備に忙しく、二人でのんびりするというわけにはいかない。
僕は車で彼女を美容院へ連れて行き、そのあと店と住まいが一緒になっているビルまで彼女を送り届け、そしてコーヒーを飲んで開店まで時間をつぶすという甲斐甲斐しさで、彼女に最後のご奉公をした。

そして予定通り、開店からラストソングが流れるまで、僕は店の中でずっと人形のように座っていた。
その日は当然ロエナの指名客が多く、彼女が僕の隣にくるのはほんのわずかだった。
店に入りきれない客も相当いたようだった。
2時間待って、ロエナがようやく来たかと思うと10分でいなくなってしまう有様で、自分がそこにいる意味など全くないような気がしていた。
しかし彼女にとっては僕がいるということ自体に意味のあることらしかった。
恋人が最初から最後まで自分のさよならパーティーを見届けることが、彼女たちにとっては光栄で嬉しいことらしい。

だから僕はじっと耐えていた。
店の女の子はほとんどが顔見知りだったから、誰がヘルプについてもそれなりに話はできたがみんなつまらなかった。
中には、ロエナが帰ったら今度はわたしを宜しくなどとちゃっかり営業するずうずうしい女の子もいたが、はいはいと生返事をしていた。

閉店ラストソング前に店のスタッフが気をきかせ、彼女を僕のテーブルに連れてきた。
閉店までの残り時間はほんの10分たらずだったが、別れを惜しむような気の利いた会話もなく、短い10分はあっさりと、あっという間に終わった。
彼女はまるで何かの見せ物のようにあちこちを引きずりまわされ、本当に疲れ切っていた。
彼女はラストソングで僕とチークダンスを踊りたいと言ったが断った。
本来はとても光栄な申し出であったが、ほとんど彼女の客で埋まっている店内で、当日のヒロインとラストダンスを踊るなど、とてもそんな勇気は持てなかった。
今思えば、彼女はそのチークダンスで僕に何かを伝えたかったのかもしれない。

僕はその日ずっと退屈だったので、9時間飲みっぱなしで相当酔っていたようだ。
ロエナの店を出た後に路上の呼び込みに捕まり、地下の怪しい飲み屋に連れ込まれたことは覚えていたが、その後にいつどうやって帰ったのか全く記憶を無くしている。

朝目覚めてから財布の中身を確認したが、2軒目では1万円を払ったようだった。
その次に携帯に、ロエナからの着信履歴がたまっていることに気がついた。
しかしその時彼女は機上の人だったので連絡の取りようもなく、しまったと思った反面、一応義理も果たしたしこれでしばらくはお金を使うこともないだろうという安堵感があった。

彼女がフィリピンの自宅へ着く頃を見計らって電話をした。
彼女は最後に日はありがとうと言ってくれた。
本当は成田に一緒に行って欲しくてすぐに電話したと言った。
僕の場合は店のスタッフもよく知っているから、車に一緒に乗っていこうと思えば問題無かったと話していたが、僕は相当酔っていたからそれはきっと無理だったと話した。

その後彼女とは時々電話で話をした。
僕はそのたびに、新しい恋人は見つかったかどうかを尋ねた。
彼女がその気になるまで1年かかり、彼女はようやく新しい恋人を見つけ再スタートを切った。
相手はフィリピン人で教師をしているとのことだったので安心していた。
フィリピンで教職をについている人間はまじめな人が多いし、それにちゃんと職があるというのが良いと思った。
だから本当によかったねと僕も喜んでいた。
しかし彼女はその彼とは半年たらずで別れてしまった。
その男は実は既婚者で、彼女にそれを秘密にしながら付き合っていたことが判明したそうだ。
彼女は電話で、自分のことをだめな女だと悲しそうに話していたが、それが彼女との最後の会話となった。
今はどこで何をしているのか全くわからない。

元気で幸せに暮らしていればいいなぁと、今でも時々思い出す。
  
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2009年06月03日

リン68 フィリピンパブ通い

リンと出会って3年が過ぎた。
リンとは最初の1年間にかけがえのない思い出をかけ足でたくさん作り、そして次の1年間はその思い出を温め、更にその後の1年はその思いでに縛られた期間であった。
だから別れそうでいながら結局は繋がっていて、心境は複雑だった。

そしてモナとの糸も、切れそうで切れずにいた。
彼女からは、ずっと不定期にメールが送られてきた。
僕は時折返事を出すだけであったが、そのつれない返事に彼女が「返事をくれて心からありがとう」という感謝の気持ちをまたメールで伝えてくるのだった。
モナと直接電話で会話することはなかったが、近況報告のようなありきたりの返事でも彼女の支えになっているのかと思うと、それを完全に断つことができないでいた。

そして僕には、もう一つの問題が起ころうとしていた。
それは、あるフィリピンパプに出入りするようになっていったことだった。
僕はそこで働いていたロエナという女性と、周囲から恋人と呼ばれる間柄になった。

ロエナはその界隈では名の知れた人気店で働いていた。
初めてその店に行ったのは、友人に誘われてのことだった。

その時ロエナはフィリピン帰国の3日前だったが、たまたま初来店した僕の隣に座わり、普通に自分の仕事をしていた。
彼女は背の高いグラマラスな女性で、顔立ちはアメリカ人とフィリピン人のハーフを思わせるような、堀の深い、そして少し厚めの唇と哀愁が漂うよう大きな眼を持つ美形だった。

僕は最初、かつて出会ったことのないような美人フィリピーナにただただ珍しを覚えていた。
彼女の性格は明るく陽気で、それでいて控え目なところがある女性だった。
リンとは勿論、モナともまた違ったタイプだった。
その時二人の間にはありきたりの会話しかなかったように記憶しているが、閉店前のラストソングで突然一緒に踊ろうと誘われた。

フィリピンパブでは閉店間際に、営業終了を告げるようなムードのあるラストソングを照明を落とし流すのが普通である。
その時にステージや店内で、指名している女性とチークダンスを踊るという光景は珍しくなかったが、僕はそれまで一度もダンスを踊ったことはなかった。

断わる僕を彼女は強引にステージへ連れ出した。
そしてすでに5組ほどのペアがダンスを踊る中へ入っていき、二人は抱き合うようにしてチークダンスを踊った。

その時彼女が僕の耳元で
「なぜもっと早く来てくれなかったの?」
とささやいてきた。

最初意味がわからなかったが、自分はあと3日でフィリピンへ帰るのに、なぜ今頃来たのか、もっと早く出会いたかったという意味だとわかった。
その言葉を僕は、その手の女性によくあるリップサービス程度にしか思っていなかった。

彼女はその後フィリピンへ帰国し、僕は彼女の事など忘れありきたりの日常を送っていた。
電話番号も教えていなかったので、その間は彼女と連絡を取り合うこともなかった。

ロエナがフィリピンへ帰国してから、約1か月ほど経過したある日のことである。
一緒にロエナの店に行った友人が僕のところへやってきて、彼女が日本へ戻ったと伝えにきた。
その友人が店に行った際に、彼女が自分が戻ったことを僕に伝えてくれるように頼んできたそうだ。

それでも僕はそれを、営業熱心なことだという程度にしか捉えていなかった。
そのうち友人の2度目の催促がきた。
店に行ってくれないと伝言板としての自分の責任を果たせないから、ちょっと顔を出してくれると有り難いと言った。
有りがちな話だと思いながらも、僕は彼女に会いに行くことにした。

それがきっかけで、僕は彼女の店に顔を出すようになったのである。
ロエナとは話もあったし、店の中で一緒にいる時は本当に楽しかった。
彼女は頻繁に僕に対して「I love you」を口にするようになっていたが、僕の返事はいつも「信じられない」だった。
彼女は心が痛いと言ったが、その時僕はその言葉を実際に信じていなかった。

彼女は頻繁に、会いたい、店に来て欲しいと電話してくるようになり、そのうちに同伴もするようになった。
カメラが好きだった僕は同伴のたびに彼女の写真を何枚も撮り、二人一緒の写真も数枚撮った。
モデルのような彼女は写真写りがよく、まるでポスターか雑誌に掲載できそうな写真ができるので、僕は初めて人物写真に夢中になった。
写真をとるために、二人でいろいろな所へ出かけた。

ある日ロエナと一緒に暮らす女の子が、ロエナのベッドの前の壁に僕とロエナの二人の写真がたくさん貼ってあるということを教えてくれた。
それをロエナに確認すると、恥ずかしい言いながらも「その通りよ」と教えてくれた。
ついでに自分の好きな人だと言って、フィリピンの母親にも二人の写真を送ったこと告げられた。

「だからわたしはあなたを愛してるって言ってるでしょう。今は信じる?」
「50%信じるよ」
「あ〜、心痛いな」

僕はさすがにロエナの言葉をほとんど信じていたが、100%信じているとは言えなかった。
ロエナは僕の家族や恋人に関するプライベートな話をほとんど聞いてこなかった。
もし恋人がいるなら、その話は聞きたくないと言われていた。

そんなロエナには、リンやモナの話は教えていなかった。
言わないでと言われたから申告しなかったわけではなく、たぶんそれは自分のずるさだと自己分析していた。
それでも僕は、チャンスはいくらでもあったが、決して彼女に手を出さなかった。

そして一度は彼女に、リンやモナのことを話そうとしたことがあった。
「僕がなぜあなたに手を出さないかわかる?」
「それはわたしのことを大切に思ってるからでしょ?」

そう言われ僕はその先の言葉を飲みこんでしまった。
僕は自分の身辺をすっきりさせないと、ロエナとはそれ以上踏み込んだ付き合いができないことを告げようとしていたのだが、彼女を大切に考えてると言われるとそうとも言えた。
彼女は全てを清算してまでも、真剣に付き合っていいと思えるほど素敵な女性であったが、一つだけ気になる点があった。
それはリンと共通するフィリピーナ特有の計画性の無さだった。
1セット4万円もするカラーコンタクトを2セット買っきたり、他にも僕には理解できないものを大枚をはたいて購入することがあった。
しかし自分のお金で買っている分には僕も文句を言う筋合いはなかった。


こうして二人は、いつの間にか店で働く女性たちから恋人同士だと認知されるようになっていた。
そしてロエナの店に行くことが、いつの間にかあたり前のようになっていた。

周囲が二人をいくら恋人だと言っても、二人の間ではそれは微妙だった。
肌を合わせることもなければ、何かをプレゼントをするわけでもなく、恋人らしいことを何もしていなかったからだ。
しかしそれは彼女と付き合う上で、騙しているわけではないという安心感にも繋がっていた。


一番の問題はお金だった。
ロエナの働く店は料金が高めの設定で、同伴後にラストまで店にいると、店の中で特別な飲み食いしなくても支払いが6万円にもなった。
通常でも一回の来店で最低2〜3万は使うのである。そのために急速に預金が目減りしていった。
ロエナには、お金やプレゼントをあげることは一切なかったので、それはほとんどが店に落したお金だった。

一人になると、そんなところで使うお金があったなら、リンやモナにあげた方がずっとましだと分かるのだったが、それでも魔力に取りつかれたように店に通ってしまった。
僕はあの頃、ロエナという綺麗な女性に愛していると言われ有頂天になっていたし、そのことが心地よかったのだ。
そして店を出て一人になると、自分の馬鹿さ加減を本当に呪うようになっていった。

リンの真意がどこにあるかを悩んでいた時よりも、深刻にお金のことで悩み始めた。
リンへの送金が滞りぎみになり始めたのだ。
それが後にリンの大きな問題へと発展していき、僕の人生を大きく変えるでき事へとつながっていくのである。


僕はロエナの店に通うことをきっぱりとやめ、同時に彼女ともけじめをつけた。
僕は全てを彼女に話し、彼女の心を傷つけてしまったことへ真摯に謝罪した。
せめて店には顔を出したいが、お金の事情がそれを許さないという話も伝えた。

ロエナとのコンタクトは、彼女がフィリピンへ帰ってからも続いた。
彼女に心から納得してもらえ、二人の間のコミュニケーションが完全に途絶えるまで、それから1年かかった。
最後に彼女は、僕を寂しがり屋だと分析し、そこにつけ込んだ自分も悪かったのだと話してくれた。
僕はその話を聞いてハッとした。確かに寂しさ故の行動だったのかもしれないと思った。

結局自分は心の弱い人間なのだということをあらためて思い知った・・・。

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カテゴリー:国際恋愛
エントリー:リン68 フィリピンパブ通い
2009年06月02日

リン67 モナとリン - 二人のはなし

屋外レストラン「カオナグリル」で、リンがモナとのやり取りを話始めようとしていた。

まだ日が高く気温は最高値で平衡状態を保っていたが、吹き抜ける風が蒸し暑さを和らげている。
二人が座っているテーブルの場所には屋根がかかっているので、強い日差しを直接受けることはない。
昼の屋外といっても、それなりに落ち着いて話ができる場所だった。

「彼女からメールをもらった時に、最初はこれ誰って思ったわ。だって全然知らない人でしょ。でもメッセージを読むと、あなたの名前も書いているし、ただのいたずらじゃないって思ったから電話したの。」
「それで何を話したの?」

「わたしはなんでこんなメールを送ってくるのって聞いたわよ。そしたら彼女があなたのことを話しだした。」
「なにを?」

「自分は日本であなたの恋人だったって。あなたのことをまだ愛しているからメールしたって。わたしのことはあなたからいろいろ聞いてるって言ってたわ。でも最初は彼女が何を話しているのかよくわからなかった。」

確かにモナにはリンの事をいろいろと話している。
しかしそれをリン本人に話すのはルール違反のような気がした。
いや、それ以前にコンタクトを取ったこと自体が腹立たしいことであった。

モナはリンに、僕たち二人が日本でどのように出会い深い仲になっていったのかを、自分が強烈にアプローチをしたことも含めて、正確に伝えているようだった。

「そのうちわたしがあなたのことを本当に愛しているのかという話になったの。
もしそうじゃなかったら、あなたがかわいそうだって・・。
それにあなたもわたしの愛を疑っているって。
だからあなたのわたしに対する愛は小さくなってるって。
それは身に覚えがあったからそうかもしれないと思ったわ。でもハニー、それを彼女に話したの?」

「いや、そんなことは一言も言っていないよ。絶対に言ってない。」

僕はモナに期待をもたせるような話をはしないように気を付けていたくらいで、絶対にそんな話はしていないはずだった。
しかしモナの話した内容は的を得ていた。内心彼女の洞察力に舌を巻いていた。

「わたしはそんなことないって言ったわ。だってわたしはいつもハニーの愛を感じるもの。それでね、それじゃそのことを彼に電話して確かめるって彼女に言ったの。そしたら・・・」
「なに?そしたらどうしたの?」

「ハニー、怒らないで聞いてね。それにもし聞きたいことがあっても黙って聞いて欲しい・・・」

リンの話している意味がよく飲み込めなかったがとりあえず了解した。

「そしたら・・・モナがわたしの前の恋人の名前を言うの。あなたと会う前に、少しの間日本人と付き合ってたことを話したことがあるでしょ。その日本人の名前を彼女が知ってたの。」

「恋人だったかどうかははっきり聞いてないけど・・。でも確かに少しだけ日本人の話は聞いたよ。その話はちょっと気にしていたからよく覚えているよ。モナはなんでその日本人の名前をしってたの?」

「それはわからない。教えてくれなかった。セブに友達がいるのか、それとも彼が日本でモナのお客さんだったか・・。」

「ふ〜ん、なんか不思議な話だね。」
「彼女はわたしのフルネームも知ってたわ。あなたはそれをモナに教えた?」
「いや、教えてないよ。そこまで教える必要ないでしょ。それで?」

聞くほどにミステリアスな話しであったが、まだ肝心なところまでは到達していない。
僕はリンが話を進めるのを促した。

「それでその時は喧嘩になったのよ。だってその昔の恋人の話なんて関係ないでしょ。」
「は〜、やっぱり喧嘩したんだ。そんな気がしてたよ。」
「その時はわたしもひどいことを言ったかもしれない。それでわたしは電話を切ったの。そしてすぐにあなたへ電話しようと思った。でもできなかった。」
「なんで?」
「それは何となく・・・・」

僕は彼女の口ごもった様子を見て、すぐにピンときた。
彼女は昔の恋人の話を蒸し返されるのが嫌だったのだ。
リンには何か過去があると思っていたが、きっとそのことに関係があるのだと思った。

「その2日後に今度はモナから電話がかかってきて・・あなたにこの前の二人の会話のことを話したかって聞いてきたの。だからわたしはしてないって言った。
そしたらモナが、それじゃわたしも彼には二人の話のことは何もいわないって言ったの。
それで少し話をしたいけどいいかって言って、彼女は自分のことをいろいろと話し始めた。

自分が苦労して大学を出て、その後すぐに子供を産んで、子供の父親に捨てられた話もその時聞いたわ。
その頃は深い絶望感をかかえて生きていたって。そんな時に日本であなたに出会った・・。

モナは家族の生活の責任も全部自分に託されていて、日本で働いていた時もいつもそのプレッシャーと闘っていたって。でも子供のことがあったから、両親には何も言えなくて一人で頑張っていたけれど、将来の夢も希望もなくてものすごく疲れていたという話をしたの。
でもそこであなたに出会って、家族のことだけじゃなくて、自分自身の幸せも考えたいと思ったんだって。」

その話はモナ自身の口から僕も聞いていた。
彼女は自分を捨てた恋人のことをあっさり忘れたが、妊娠と同時に捨てられたことは彼女のトラウマとなり、彼女はずっとそれを引きずっていた。
そんな重たい扉を開け、暗闇から救いあげたのが僕だという話であった。

「彼女の気持ちはよくわかったわよ。だってわたしだって同じだから。家族のためにしたくない仕事をして、それでもいつもお金のことを考えて眠れないことが何日もあった。そんな生活をしている時にあなたが現われて・・・。
だからわたしも同じだと言ったの。大変なのはあなただけじゃないし、彼と一緒に幸せになりたいって本気で考えているのも同じだって。」

その話しを聞いて、僕は身につまされる想いだった。
フィリピンの大きな問題点を象徴しているような話しであった。
おそらくこの国では、そんな話はどこにでも転がっているのだ。
中にはそんな事情につけ込む日本人やアメリカ人・韓国人がいることも知っている。

「でもね、わたしはお金のためにあなたに近づいたわけじゃないわよ。最初はわたし、あなたのことを信用していなかった。いや、信用できるかどうかを考えていたの。遊ばれて捨てられたら、心の痛い想いをするのはわたしでしょ。いくらお金をもらったって傷つくのはいや。わたしはそこまで自分を捨てていないわ。だからわたしはずっとあなたのことを観察していたのよ。それであなたのことを愛するようになったから、今こうしているのよ。」

「うん、それはよくわかってるよ。お金のために簡単に体を許したりしたら、僕だって真面目に付き合わなかった。」

「でもモナは何か勘違いをしている。わたしがお金のためだけにあなたと付き合っているって思ってる。
前の日本人の恋人もそうだと思ってるの。
もしそうだったら、あなたと別れてくれって。そうじゃないと彼がかわいそうだって言われた。
だからわたしも怒ったわ。そんなことを勝手に決めないで欲しいって。

そしたらモナは彼を取り戻すためにそんな話をしてるんじゃないって言ったわ。彼にはもうセパレートされたからって。
それでわたしはまた彼女の話を聞いたの。あなたがなぜ彼女を怒ったのかを・・・。

わたしはすぐに分かった。彼女には言わなかったけど、あなたがお金の話に敏感に反応したのはわたしのせいだって。
それでもわたしは彼女に言ったわ、わたしは彼のことを心から愛しているって。
彼女は納得したかどうかはわからないけど、でもわかったって言った。

そして彼女に言われたわ、最後に彼がどうするかは彼自身が決めることだって。それはその通りよ。
だから二人でいろいろ話をしたことはあなたには内緒にしておこうって約束したの。これで全部よ。
彼女と約束をしたから、彼女にはこの話を聞いたことはだまっていて欲しいの。それはどうか約束して。」

リンはそう言って、汗をたっぷりかいているグラスを手に取りマンゴシェークを勢いよく飲んだ。


僕は少し落ち込んでいた。
あれほど知りたかった話なのに、聞いてはいけない話を聞いてしまったような後悔の念があった。

それはモナとリンそれぞれの気持ちが痛いほどよくわかったからだった。
リンとモナが何か共謀しているかもしれないなどと疑いを持った自分を恥じてもいた。

「ハニー、話はよくわかった。ありがとう。今の話は聞かなかったことにする。モナにも何も言わないよ。約束する。
もしモナがその日本人の話をしてきても、聞かないことにするよ。」

僕はその程度の気づかいをすることしかできなかった。

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