フィリピーナと共に
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2009年05月05日

リン43 フィリピーナ アキ

ほどなくして、ボーイが僕らのテーブルに二人の女性を連れてきた。

「シンディーさんとアキさんです」

年齢はどちらの女性も25か26歳か?
二人はしなやかな細い体を持ち、体によくフィットする薄い布地の黒いロングドレスを着ていた。
女性らしさを強調する細いウエストと、それを滑らかに結ぶ腰までのラインが印象的だった。
シンディーは肩までのストレートショートヘアー、アキが肩より下までのロングヘアーで髪の色はどちらもブラウンだった。
二人ともメタル系の色をしたハイヒールサンダルをはいており、それがロングドレスの下から見えた。

シンディーもアキも背が高く見え、かわいい女の子というよりは大人の女の匂いを漂わせていた。
下から見上げているせいもあるが、ハイヒールの効果もあり実際には160cm未満の身長が170cmはあるかのように感じられた。
二人は化粧が薄く、きめの細かい淡いピンク色の肌が彼女達の美しさを際立たせていた。

顔のつくりは違うがどちらも美人であることに間違いはなく、シンディーはショートヘアーのせいで明るい活発そうな女性、アキは静かでおしとやかな女性という印象であった。

ショートヘアーのシンディーが僕に右手を差し出し挨拶をしたあと、最初から決まっていたかのように後輩の隣に座った。
「久し振り」
という言葉が聴こえ、後輩が指名している女性であることを確信した。

「はじめまして、アキです」
もう一方のロングヘアーの女性が、僕の前で手を差し出している。

「はじめまして」
僕は差し出された手に握手で挨拶を返したあと、彼女を自分の隣へどうぞと促がした。

彼女は座ると同時に
「飲み物は何にしますか?」
と流暢な日本語で聞いてきたので、ウィスキーを水割りでリクエストした。

アキは無言でウイスキーの水割りを作っていた。
余計な事を一切言わず水割りを作る彼女の指先を、僕はだまって見ていた。
何か言わなければならないような気がしているのに、何を話してよいかわからず落ち着かなかった。

思わずタバコをくわえた瞬間、アキがウィスキーを作っている手を止めて「どうぞ」とライターの火を差し出した。
その時初めて僕は、ライターの炎に照らされている彼女の顔を正面から間近でとらえた。

形が整えられた眉の下に、薄いブルーのアイシャドーが似合っていた。
二重の大きな瞳の照準が、しっかりと自分に合わせられているような気がして慌てた。
そして特に僕の心に食い込んだのは、落ち着いた雰囲気の彼女が唯一挑発を試みるような、真っ赤な口紅だった。
照明が反射しているような輝きを放つ艶が、少し厚めの唇の上でその赤い色を際立たせていた。
美しい人だと思った。
一瞬僕の中で時間が止まった。

「初めてですか?」
「うん、この店は初めてだけど、フィリピンパブも初めてだよ。落ち着いたいい店だね。」
「ありがとう」
「アキさんもフィリピン人だよね。日本語うまいね。」
「そんなことないわよ。でも日本は長いから少しはね。」
「あっ、乾杯の飲み物を頼んでくれる?」

後輩に飲み物の一杯くらいは出してあげてと教わった通り、僕はドリンクを勧めた。
4人でグラスを合わせ乾杯をした。
「Happy Birthday!」
と後輩がいい、鞄の中から何やらプレゼントを出していた。
乾杯の後、後輩はシンディーと二人の世界を作っていた。

僕は後輩に取り残された格好となり、必然的に単独でアキと向き合わなければならなかった。
どうも二人の距離が近すぎて、息苦しい感じがした。

あまり話題はなかったが、フィリピンでの出張の話や日本での仕事の話をした。
アキは終始静かで聞き役に徹していた。

「なんか元気がないように見えるけど・・何か僕がまずいこと言ってる?」
「ううん、そうじゃないの。今日ね、恋人と別れたの。その人さっきお店から帰ったばかりなの。このテーブルに来る前に座っていた人。だからちょっとね。ごめんね。」
「あ、そう。余計なこと聞いちゃったみたいだね。うん、いいよ。僕もあまり話しをする気分じゃないし。無理に話をしなくてもいいよ。この店の雰囲気に合わせて静かに飲むのが落ち着いていいな。」

がんばって話をしなくてもよいことになり、気が楽になった。
仕事の疲れを癒しにきたようなものだったから、静かにしてもらえた方が本当に有りがたかった。

僕はソファーの背もたれに深く寄りかかり、店の中を眺めながらボーっと水割りを飲んでいた。
アキは自分が落ち込んでいるせいか、それとも僕に合わせてくれたのか、ほとんど無駄口をはかなかった。
ソファーでリラックスしている自分とは対照的に、背筋をピンと伸ばしている座る彼女の姿が印象的だった。

久しぶりに穏やかな時間に浸っていた。
まるで殺伐で騒然とした都会の中で見つけたオアシスのような場所だった。
アキは自分と僕の心を癒すかのように、態度も言葉も全てがしなやかで優しかった。

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リン42 初めてのフィリピンパブ

僕はなんともやりきれない気持ちで帰国した。
極端に落ち込んでいたわけではなかったが、もやもやとしたものが心の中に渦巻いていて、それが何に対してのうっぷんなのか自分自身で整理できずにいた。
その感覚は、仕事をしている時には忘れることができたものの、日常的に続いていた。

国際電話でのリンとの会話は、普通にしていた。
話を終える時にはこれまでと同じように「I love you」とお互い言って電話を切っていた。
時にはあの帰国前夜の話題にもなったが、お互いに謝って、二人のあの状況を事後分析するかのように話し合ったりした。
しかし僕が正直に「時々リンの愛が感じられなくなる」という話をすると、喧嘩にはならないが二人の会話にそれとなく緊張感が生まれるのだった。
そうなった時にはお互いに、この話はもうやめようと、無理やり話題を変えたりした。


ある日会社で、突然事業部の責任者に個室へ呼び出された。
そして突然、僕に部署を変わってもらえないかと考えているが、どうかと打診された。
僕は元々どの部署でもどんな仕事でも楽しく取り組めると思っていたので、他のみんなのように現在の花形部署にはこだわらないと返事をした。
「わかった。それでは@?+部へ異動して欲しい、部門長として・・・。」
僕は最初聞き違いかと思い、その言葉には全く反応しなかった。

しかしその件で深く話を掘り下げていくうちに、やはりさっきの話は・・・と思い直し
「わたしの新しい部署での立場を再度確認したいのですが、先ほど部門長と言いましたか?」
と確認をした。

「そう、あそこの部門長として移動して欲しいんだ。」
まだ管理職試験を通り日も浅いのに、いきなり部長職を言い渡されたのは僕自身驚いたし、実際にそうなった時には周囲の人間も驚いていた。
しかし不思議と嬉しさはなく、荷が重すぎて憂うつな気分の方が大きかった。。

新しい部署へ行くと、かつての上司が課長として二人もいた。
部長と呼ばれることに対しても半年は慣れず、名前で呼んで欲しいとお願いすることも度々だった。

慣れない職場と仕事、そして役職に最初は二人の元上司が親身にサポートしてくれた。
それにしても仕事の内容は大変であった。
新規に決まった大手のお客さんの要求が厳しく、その対応だけでも毎日仕事を終えるのが午前様になった。
必然的にリンとの連絡も疎遠になりがちだったが、リンも僕の仕事や役職の事は承知しいて文句を言うことはなかった。

いきなり部長に抜擢された気負いもあったが、その時は誠心誠意仕事に取り組んだ。
問題が起こるとお客さんに呼びつけられ、針のむしろのような会議の中で、神経をすり減らしながら対応案を説明し、質疑応答をこなさなければならなかった。
体力的には問題なかったが、精神的には気が狂いそうになるほど追いつめられることも多々あり、なんとか踏ん張っているのが精一杯であった。

そんなある日に会社の後輩が、今日フィリピンのお店に行くけれど一緒にどうかと声をかけてきた。
以前指名していた女の子の誕生日だから久しぶりに行くけれど、一人では行きづらいという。
僕のフィリピンパブに対するイメージは、外国人が接待する怪しい店というものだったので、それまで行きたいとは思わなかったが、フィリピンの経験が自分のそのハードルを下げていた。
僕は気分転換に行くことを決めた。

車で移動している間に、後輩がフィリピンパブのシステムや雰囲気などを教えてくれた。
その後輩がそんな場所に時々行くと聞き驚いていたが、彼の話では他にもたくさんの人間が出入りしているとのことで、名前をつらつらと聞きながらその意外性にますます驚きを覚えた。

その店は、会社から車で30分ほど走ったところにあり、大きな街であったが閑散とした裏通り沿いにあった。
ビルもまだ新築に見えた。
4階でエレベータの扉が開くと、店の入口の大きく重そうな木製ドアがすぐ目の前にあった。
後輩が先に入り、僕がその後に続く。

店も中も新築間もないということで、新しく綺麗だった。
そそくさとやってきた白シャツに蝶ネクタイのボーイが、二人をステージから一番遠いテーブル案内した。
僕はソファーにもたれかかりながら店内を観察していた。

その店はフィリピンで行った店とは全く趣きを異にし、銀座のクラブのようなシックな雰囲気が溢れていた。
壁沿いに並んだ白熱球の間接照明と、天井の2箇所に配置されたシャンデリアが、落ち着いた雰囲気を作り出していた。
店の奥にはステージがあり、ミラーボールに反射した明かりが海中の魚群のように、ステージのあたりで揺らめいていた。
ステージの両脇には南国風の大きな観葉植物がそれぞれ置かれ、そのすぐ奥上には壁掛け用カラオケモニターは海外の美しい浜辺を映しだしていた。
店内には既にお客が数人入っていたが、どのテーブルも隣の女性と静かに会話を交わしており、居酒屋のような騒々しさはなかった。
隣にいる後輩は、片ひざをついておしぼりを差し出すボーイと何かを話していた。
おそらく自分の指名を告げていたのだろう。

「へぇ、いいねこの店。意外と静かで落ち着いてるよね。もっとけばけばした所を想像してたよ。」
「お店によるんですけどね、ここはほんとに落ち着いてますよ。なかなかいいでしょ。」

僕がその落ち着いた空間を気にいるまで、それほど時間はかからなかった。

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エントリー:リン42 初めてのフィリピンパブ
2009年05月04日

リン41 噴出

帰国前日の夜、また当分会えなくなるのだからと、僕はベッドの中でリンがシャワーを終えるのを待っていた。
しかしリンは、シャワーが終わっても何かをやっていてなかなかベッドにやってこなかったため、僕は少しイラついていた。

僕は早くリンを抱きたいからイライラしていたわけではない。
最後の夜なのに二人のコミュニケーションがなんとなく希薄で、リンは今この時間を大切に思っていないのかと勘ぐっていたのだ。

リンが何をしていたかはわからなかったが、僕が寝るのを待っているような気さえしてきた。
僕はリンの気持ちを確かめる意味も含めて、
「オッケー、僕はもう寝るよ。何かすることがあるんだったら、ゆっくりやればいい。もう僕のことは気にしなくていいよ。」
と皮肉を込めて声をかけた。

その時リンが

「疲れてる」

とぼそっと言ったように聴こえた。

「今なんて言ったの?疲れてる?そう言ったの?」

「ノー、そんなことは言ってないわ」

「いや、そう言ったよ。そう、わかった。それだったら僕はもうほんとに寝るよ。おやすみ。」

僕の声は少し大きくなっていたかもしれなかった。
疲れるの一言を聞いた途端、これまで鬱積していた疑問や不満が吹き出し、僕は本当にふて寝をするようにベッドの端で、ベッドの外向きの姿勢で布団をかぶった。

リンが慌てて僕のそばに駆け寄ってきた。
リンは僕の唇に自分の唇を押しつけながら「ごめん、冗談だけでしょ」と取り繕おうしたが、彼女の本心を聞いたような気がした僕は「もういい」という投げやりな気持ちになっており、そんな彼女の態度も言葉も無視した。

リンがしつこく食い下がってきた。
しかしそれから突然甘い言葉をかけて許してあげるほど、僕もできた人間ではなかった。
僕はリンの顔を見ずに、そのままの態勢で彼女に話しかけた。

「ハニーは明日から会えなくなることを淋しいと感じないの?もし愛が無いのだったら、無理にベッドの上では付き合わなくていいよ。援助は続けるから本当のハニーの気持ちを教えて欲しい。」

「またその話をするの?あなたはわたしの気持ちを信じられないの?どうして?わたしはハニーのことを本当に愛しているわよ。なんでそれがわからないの?」

「言葉でそれを言われても、今は信じられない。口ではなんとでも言える。」

「どうしてそんなふうに考えるの?」

「今だってそうでしょ?普通はしばらく会えなくなると思ったら、もっと甘い時間を過ごすものじゃないの?」

「ハニーは誰かとわたしを比べてるの?」

なんとなくリンが話題を逸らそうとしている気がした。

「違うよ。比べてなんかいないよ。僕がそうしたいと思ってるだけだ。僕はハニーの体が欲しいんじゃないよ。心が欲しいだけだよ。でも本当の心はメイキングできないでしょ?だからもし心がないのだったら正直に話をして欲しい。」

「わたしはハニーを愛してるわ。どうしてそんなことを言うの?わたしはどうすればいいの?」

「そんなことを聞かれても僕にはわからないよ。それはハニーの気持ち次第だ。」

僕は同じような繰り返しの応酬に疲れを感じていたため、かなり投げやりな口調になっていた。
そしてあくまでも僕はリンの言葉を突っぱねる発言をした。

僕はリンに、僕の要求通りの言動をしてもらいたかったわけではなく、もし気持ちがあるならその気持ち通りに自然にふるまって欲しかった。
既にそれだけ文句を言ってしまったら、リンがどのような行動を起こしても、それが彼女の本心からくる行動かどうかはわからない。
もしリンがどこかで無理をしているのなら、それを正直に話して欲しいと思っていたのは本当で、その時リンに投げかけた言葉の数々は、決して駆け引きで発した言葉ではなかった。

僕は口を閉じた貝のように、身動き一つせずベッドの上で同じ態勢をキープしていた。
もう今は何も受け付けられないということを、言葉や態度でリンに訴えていた。

「わたしの態度で気分を悪くしたのならごめんなさい。たぶん、わたしが悪かったわ。」

「たぶん?」
僕は心の中で「たぶん?」というのは何だと考えていた。
リンは僕が話した内容を理解していない?
それとも僕が悪いかもしれない?
僕は自分の気持ちに正直になっただけだった。
しかしどちらが悪いか、よく考えるとわからなくなっていた。

「いいよ。とにかく今日はもう寝なさい。出発は早いから。」

そう言いながらも時間は既に4時であった。

リンはベッドに入ったが、背中を向ける僕に対して寄り添うことはしなかった。
僕はリンの様子を背中で探りながら、ホテルを出発する6時まで一睡もしなかった。
リンは眠りに入ったようだった。

朝6時には出発の最終チェックを済ませ、しリンと一緒にホテルのロビーへ降りた。
二人とも無口のままチェックアウトを済ませた。
僕は無造作にタクシーに乗り込み、リンも黙って僕の後に乗り込んだ。

「マクタンエアポート」

その一言だけをタクシードライバーに告げ、僕は隣に座っているリンを無視するかのように一言の言葉も発せず、窓の外の流れる景色を眺めていた。
空港が刻々と近づいてくる。
窓の外を眺めながら、僕はどうしたらいいのかずっと考えを巡らせていた。
このまま意地を通しきるか、それとも和解するか。
どうして良いかわからず、しかも心の中はもやもやとし、昨夜の出来事を完全に引きずっていた。
何も言葉が出てこなかった。

空港まではあと少しであった。
僕は無言でショルダーバッグから現金US$2000の入った封筒をリンにさし出した。
当面の生活費を手渡ししようとUS$で持ってきていたのだ。
当時はレートの関係で円よりもUS$が喜ばれた。
リンも黙って受け取ったが、中身は確認しなかった。

左側にいるリンが僕の顔の前から頭の右に手を回し、僕の顔を自分に引き寄せた。
そのまま引き寄せられ、僕の唇がリンの右頬に触れた。
僕はリンのこの仕草が以前から好きだった。
それでもお互い言葉は交わさなかった。

空港前でタクシーを降りる時に、お互い気を付けてとだけ声を掛け合って別れた。

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エントリー:リン41 噴出

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