フィリピーナと共に
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2009年04月18日

リン10 リンという女

お互いの国へ帰国した二人は再び離れ離れになったが、相変わらず国際電話は毎日欠かさなかった。

寂しさで元気がなかった僕とは対照的に、リンははつらつと、家族や友人にお土産を配った話をしていた。

香港に連れて行ってくれるような恋人を持って、あなたは幸せだと、友達に言われたらしい。
羨ましがる友達の言葉に、リンはvery proud(誇りに思う・鼻が高い)だと、ふざけ口調で言った。
そんな時のリンは、かなり上機嫌で、口数も多くなる。

普段のリンは、恥ずかしがり屋で、他の陽気なフィリピーナとは少し違ったテンションを持っていた。
よくいうと物静か、悪く言うと冷めているような雰囲気を持っていた。
久しぶりに空港で会っても、抱きついたりキスをしたりすることは勿論、会えて嬉しい、恋しかったというたぐいの言葉もない。
ハーイ!もしくはそれに加えた、Long time no see!(久し振り)だけである。

かと思うと、ひと前で僕を抱き寄せたり、キスをしたりすることがある。
それも陽気ついでに勢いでするのではなく、静かにゆっくり、突然そんなモードになるので、かえってドキッとしてしまう。
そんなリンに、翻弄されているような気がしないでもなかった。

直接は会っている時は言わないくせに、電話では、I love you の言葉を頻繁に言う。
それに対して、こちらも I love you の言葉を返さないと、絶対に許してはくれない。
自分の周囲に人がいる時は、恥ずかしさのあまり口ごもってしまうが、しっかりと I love you を返すまで、何度でもリンは、Love you を繰り返す。
この I love you・・何度も言われていると、まるで挨拶代わりのように聞こえてきて、どこまで本気で話しているのか、だんだんとわからなくなってくる。
ついつい You really love me? (ほんとに愛してるの?)などと聞いたりすると、なぜそんなことを聞くの?あなたは私のことを信じてないの?と本気モードの逆襲にあい、それを収めるにひと苦労するのだった。

リンが寂しい気分になっている時は、その時の話し方、雰囲気でそれが分かる。
今にも泣きそうな寂しい口調で、I miss you と訴えかけてくる。
なぜ?なにかあった?と聞いても、just feeling (そんな気分なだけ)なのだった。
そんな時には仕事を投げ出し、すぐにでも彼女のもとへ駆けつけたくなるが、次の日にはケロッと元気になっているので、拍子ぬけすることもしばしばであった。
山の天気とフィリピーナの気分は、変わりやすいのである。

普段はクールでシャイなリンであったが、一度怒ると激しい一面も持っていた。
人は怒ると無口になるタイプと、攻撃的になるタイプに分かれるが、リンは攻撃的タイプだった。
暴力はお互いふるったことはないが、きつい言葉で攻めてくる。
そんな時には僕も応戦する。
怒っている時は、僕も英語が不思議なくらいすらすらと出てくる。
応戦しながら、俺ってこんなに英語が話せるんだっけ?などと、間抜けなことを考えたりしているものだから、ついついリンに言い負けてしまう。
喧嘩の原因は、今思うと、言葉や習慣の違いによるミスコミュニケーションが多かった。

リンの事はずいぶんと理解しているつもりだった。
いや、勉強させていただいた。
しかし、僕はリンの過去については何もしらなかった。

僕は、おそらくリンの過去には何か秘密があると思っていた。

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2009年04月17日

リン9 スタンレー/ビクトリアピーク

3日目もやはりホテルを出たのは昼頃であった。
敢えて急がない。
リンのペースに合わせ、過密スケジュールを避けながらあくまでものんびりと・・である。

リンは前日に購入したブラックのシャツとパンツを早速着用した。
片側だけ肩ひもがあり、もう一方の肩は大きく露出している。
もともとそのようなデザインの服なのだったが、リンは、そのアンバランスがファッションなのだと主張した。

有名な2階建てバスに乗り、香港島南端にある、赤柱(スタンレー)まで行った。
そこは欧米人が多く住む高級住宅地で、サングラスをしたアメリカ人がBMWのオープンカーなどを飛ばしている光景に、頻繁に出くわす。

海沿いにあるスタンレーマーケットでは、衣料品、雑貨、食品などの店が集まっていた。
そして赤柱尾大街のレストラン通りには、おしゃれなレストランやバーが並んでいた。
のどかな町並みは、のんびりと過ごすのに適している。
ヨーロッパの風情が漂っているこのエリアは、フィリピンや香港の中心部とはまた違う情緒があり、そんな町並みをリンに見せたかった。

海沿いにはおしゃれなレストランも並んでいた。
そんなレストランの一つで、遅めのランチを取った。
どの店も、ランチで一人2000円以上は取られるので、全体的に高めの値段設定だったが、それにも関わらず、味はイギリス風の薄口で、見た目ほど美味しいものではなかった。

イギリスへ行くと、見た目こってり味さっぱり(あっさりと全然の両方の意味)という料理によく騙されたものだったが、香港の味付けも、イギリス統治の影響を受けているのだろうと勝手に解釈していた。

赤柱には、他にも見所はいろいろあるのだが、とにかくのんびりが趣旨であったから、海岸沿いを散歩し、おしゃれなカフェでお茶を飲んで休息し、そしてまたのんびり歩きながら、時折お土産さんをのぞいたりした。


帰りもバスを利用した。
少しリンが疲れているようだったが、その日はどうしても行きたい場所があった。
香港で最も有名な観光地、ビクトリアピークである。

標高373メートルまでは、急勾配を登る登山電車、ピークトラムを利用して登る。
ピークトラムの発車駅に着いたのは夕方5時ころであったが、既に乗車待ちの人たちが長蛇の列を作っていた。
一瞬ひるんだが、この機会を逃すと、次はいつになるかわからないので、長い列の最後尾についた。
日本人は行列に並ぶのは慣れているが、リンにはそれが苦痛のようだった。

ピークトリムの終点に到着する頃には、既に日が暮れ、電車の中からも香港夜景が見え始めていた。
上から見た景色は、ホテルから見たものとはまた一味違った美しさがあった。
ホテルとは全く反対の方向から夜景を見ていることになる。
100万ドルの光を放っていた摩天楼が、今度は眼下に大きく広がっている。
既に疲労困憊のリンも、その景色を見た時には驚嘆の声をあげ、その美しい景色をバックに、何枚も写真を撮っていた。
山の上にレストランがあり、夕食は窓際の席を予約していたが、リンの要望でキャンセルした。

二人ともあまりお腹は空いていなかったこと、もう疲れていたこと、そしてゆっくりしていると帰りも電車に乗る人の長蛇の列に巻き込まれることが予想されたからだった。
あくまでも無理をしないのが、フィリピーナと観光をする時のコツであった。
夜景を見ながらの食事をあっさりと諦め、早々に下山した。

その日が二人で一緒に過ごす香港最後の夜であったが、二人とも疲れていた。
そして風邪気味だった僕は、疲労でのせいか、軽く熱が出始めていた。
夕食はルームサービスで簡単に済ませた。

お風呂に入り、ベッドに寝そべった時の開放感がたまらなかった。
ホテルの有名メーカー製であろう贅沢なベッドが嬉しかった。
僕が疲れているのだから、リンは相当大変だったろうということを身にしみて感じた。

疲れてはいたものの、リンはずっと上機嫌を保っていた。
様々な初体験に興奮しているようで、フィリピンと香港の違いについて、一生懸命話していた。
ベッドの上でそんなリンの話をしばらく聞いていたが、話が途切れたと思ったら、いつの間にか彼女は、僕の腕の中で静かな寝息をたてていた。
そんな彼女に気づいた僕も、いつしか眠り込んでいた。

こうして二人でいく初めての海外旅行は、幕を閉じようとしていた。

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カテゴリー:国際恋愛
エントリー:リン9 スタンレー/ビクトリアピーク

リン8 香港散策

香港は3泊4日の予定だった。
狭い香港で、次々に観光名所を回るつもりはなかった。
リンにのんびりと、異国の雰囲気を楽しんでもらおうと思っていた。
ハーゲンダッツのアイスや吉野やの牛丼を食べたり、セブンイレブンというコンビニを見てもらったり、地下鉄に乗ったりと、普段の会話でなかなか伝わらないものを、体験してもらいたかった。

朝食をホテルで済ませ、ホテルの外に出てみた。
ホテル周辺の散歩も、リンにとっては刺激でいっぱいだったようだ。
ホテル前の通りは、様々なショップや両替え屋、偽物ブランドショップなどが乱立している賑やかな通り。
通りを歩いていると

「しゃちょーしゃちょー、ロレックス、オメガ いっぱいあるよ」

と、しゃちょーの意味を分かってか、変なおじさんたちから声をかけられる。

リンが何かを発見するたびに、あれは何?これは何?と聞いてくる。

リンが早速、道端で布きれを広げ香水を積み重ねている店をロックオンした。
ブランド香水が道端に山積みされている。

箱には30ドルや40ドルのプライスシールが貼られている。
リンが自分の手首に振りかけた香水の匂いをチェックしながら、これはペソでいくらなのかを聞いてくる。
1香港ドルで15円くらいだから、ペソだと7.5・・その香水は約250から300ペソくらいだと教えた。

偽物だよと念を押したが、リンも承知していた。
偽物の方が匂いが薄くてベターだといい、お土産用と自分用に何個か購入した。
プライスシールはそのままでいいと言った。
フィリピン人は、みんなUSドルだと思うから、そのままにしておいた方が良いと言って笑っていた。

僕も試しに一個買ってみた。
リンは本物のブランドショップにはあまり興味を示さず、もっぱら安物の露天に立ち寄っていた。

ペニンシュラで午後のティーを楽しみ、その後は対岸の香港島へ向かうフェリーに乗った。
数十円で乗れる上に、本数がたくさんあり待ち時間も不要なため、気軽に利用できる。

ビクトリアハーバーは、船舶交通量が世界一であることで知られている。
夜になると摩天楼が放つきらびやかな光が、100万ドルの夜景を生み出していることでも有名だ。
昨夜部屋から眺めていたビクトリアベイを横断するフェリーは、進行方向に逆らう潮風で気持ちが良かった。

対岸の高層ビル群が近付いてくる。
特に目当てはなかったので、フェリーをおりた後は街をぶらぶらと散歩した。

リンは高層ビルを見上げっ放しなので、首が痛いと笑っていた。
ビルの中にある中華料理店や日本食レストランの展示メニューをチェックしてみた。
和食も高いが、高級中華料は眼の玉が飛びだすくらいの値段だった。
リンがはしゃいで手当たり次第に注文したら、二人で10万円は簡単に越えるだろうと思われた。
リンに値段を教えたら、彼女も驚いていたが、幸いにも彼女はそれ以上に、高級レストランには興味を示さなかった。

彼女がすぐにはまり込むのは、洋服だった。
あれこれ見だすと、中々出てこない。
何点か選んで購入したが、どれもフィリピンには売っていないスタイルだと言って喜んでいた。
やはり肩が露出するタイプの服が選ばれていた。

カラーはブラックが多い。
彼女のスタイルと顔立ちは、ブラックが良く似合うと、僕も思っていた。
そして細い肩を露出させる洋服は、彼女をよりセクシーに見せた。

帰りは地下鉄を利用した。
リンは、その電車がどこを走っているのか、最初理解していなかった。
地面の下を走っているというだけで、リンにはそれが驚愕に値することだったようだ。

色々歩きまわっている時はリンは元気だったが、ホテルに帰ると、疲れたといってぐったりしてしまった。
フィリピーナは電車や歩きに弱い。
すぐにタクシーを使いたがる。
最初はただの我がままだと思っていたが、体が弱いのかそれとも栄養が足りないのか、ほんとうに疲れてしまうようだった。
それはリンだけではなく、ほとんどのフィリピーナに共通している特徴のようだった。

睡眠時間も日本人より多く必要とする。
それを理解してペース配分を考えておかないと、そのうち電池の切れた人形のように、ベッドの中から出てこなくなってしまう。

彼女がベッドの中で休息を取っている時は、僕はゆっくり本を読む。
かつては時間がもったいないとイライラしたものだったが、その頃には本を楽しむ時間がきたと思えるくらい、余裕をもてるようになっていた。

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