フィリピーナと共に
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2011年08月10日

315.鴨になるかも(後編)

フィリピンは、とにかく国の仕組みやルールがころころと変わる。
行政組織の管轄ががらりと入れ換わる、必要書類の書式が変わるなどは勿論、前回の飲食税のように、直接支払う税金が変わることもあれば、行政窓口手数料なども変わる。そして行政窓口が大変不親切。
お金に関して変わるのは、僕の知る限り取られる金額が増える方向で、安くなりましたというのは一つも覚えがない。

これまでイミグレーションでは、散々VISA更新の手数料を払ってきた。
一気に長期VISAにできないか、もしくは永住VISAにはできないかと尋ねていたものの、1か月VISAから順番に進める必要があると言われ続けてきた。しかし前回突然、十分事務所の身入りを稼いだと判断されたのか、マニラで手続きをしたら格段に安く長期や永住VISAの申請ができると言われた。こちらにしてみれば、なぜ最初からそれを言ってくれないのか不思議で仕方がない。

このようなことだから、この国で住むためには安全情報に加え、フィリピンの経済状況、政治・行政状況、行政情報、税金情報などにも常にアンテナを張っておく必要がある。
特に僕のような無知な外国人は、知らぬ間にお金を取られる対象になっている可能性がある。
全体の動きを見て、何か不穏な空気を感じたら、より一層注意をしなければならない。
それがフィリピンのような国で暮らす時に、身の安全、お金の保全に繋がる。

何故そうなのか、後編ではこの国の実態というものに、少し迫ってみたい。
フィリピンという国が如何に不安定で、危険な国かを知ってもらうために、フィリピン大統領、及び国会議員が汚職にまみれやすい、フィリピン国家の体質について触れることにする。
将来フィリピンに移住したいと考えている方には、特に知って頂きたい内容である。
フィリピンはパラダイスのような国という、美しい幻想だけを抱いて移住を考えるべきではなく、現実を知って移住を計画された方が良いと思われる。
現在でも、フィリピンは外国人に優しくない国と言われる面があるが、これからますます外国人には住みにくい国になる可能性を秘めている。
我が家では、実はこれらのことを既に話し合っていて、いざとなれば国外逃亡しようという心づもりもある。国外逃亡先には、もちろん日本も含まれている。
それが5年先になるか10年先になるかはわからない。本人希望は、できればフィリピンに骨をうずめたいと思っている。

前編で、アロヨ前フィリピン大統領の事に少し触れた。
彼女はとにかく評判の悪い大統領で、大統領就任直後にわずかに上がった支持率が、その後引退まで一度も上昇することなく下降し続けた珍しい人である。
アロヨが大統領に就任後、フィリピン国内では、反アロヨ体制をうたう知識人・マスコミ関係者・利害関係者が、相次ぐ謎の死を遂げた。
歴代大統領の政権下でも同様の事があったようだが、過去を遡ってこのような謎の死(疑いが濃厚な死)を遂げた総数の約半数が、アロヨ政権下に集中しているという異常ぶりである。
現在身柄を拘束されたとされるアロヨは、横領だけでなく、軍を使った殺人、人権侵害等で、次々と法廷に訴えが上がっている。

アロヨが大統領時代、フィリピンの国内情勢は大変悪化したと言われる。
アロヨ後継大統領選では、アロヨの息がかかっていると噂が立つだけで、得票に影響が出ると言われたほど国民から忌み嫌われた。しかし、任期中は国民から常に辞めろと言われ続けながらも、彼女はたっぷりと私腹を肥やし、図々しいほどに任期最後まで権力の座に居座り続けた。

なぜそれほど権力の座にしがみ続けるかと言えば、当然ながら、フィリピン大統領はとても美味しい職業だからである。
公的に定められたフィリピン大統領のサラリーは、月に10万ペソを若干上回る程度である(確か12万ペソ・・24万円)。
これはフィリピン国民なら、誰でも知っている。そんなサラリーで、アメリカに大豪邸をいくつも買えるはずがないことも、フィリピン国民はみんな知っている。
しかし歴代のフィリピン大統領は、各自裏ルートを作り、例外なく私腹を肥やしてきたが、アロヨの場合、それを派手にやり過ぎた。
そしてマスコミで散々叩かれたことは、フィリピン社会の内実が、次第に近代化してきた証とも取れる。これからますます、腹黒いことができない社会になってくれることを期待したい。そうでなければ、クーデターでも起きない限り、この国は決して変わらない。

さて、フィリピン大統領のうまみに話を戻せば、大統領には行政統括権、国軍統帥権、戒厳令発動権、条約締結権、海外借款締結権、予算案・各種法案拒否権、上級公務員任命権など、あらゆる権力が集中する。とりわけそれら権力の中でも魅力的なのは、国の金を左右する権力である。

一つ分かりやすい例がある。
フィリピンでは下院議員一人当たり、年間7000万ペソ(1億4000万円)、上院議員は2億ペソ(4億円)が、優先開発支援資金(通称ポークバレル)として分配される。
この大金を各議員が自分の裁量で使えることになるが(半分は各議員のポケットに入ると言われている)、ポークバレルを執行するためには、大統領のサインが必要となる。
国会議員の最大のうまみで、権力の源泉となるポークバレルの執行権が大統領の胸先三寸で左右されるとなれば、誰も大統領に逆らわなくなる。
これによりフィリピンの国会は、実質大統領独裁状態になってしまう。つまり国家予算3兆円の使い道で、大統領に逆らう人が皆無となる。野党だった議員が厚顔で与党側に乗り換えることも珍しくないほどだ。
憲法上は国会により大統領を罷免できる定めもあるが、実際には国会議員と大統領にこのようなお金の繋がりがあるため、いくら大統領の評判が悪くとも、国会で罷免されることはない。

更に大統領には、各種人事の任命権があるが、これは公的ギャンブル、宝くじなどを取り仕切る行政組織のトップをも任命できるということだ。
これにより、国民が夢を追いせっせと買うロトの上がりも、直接・間接に大統領のポケットを潤すことになる。(年間売上500億、払戻金55%、運営費15%、30%の150億円の上がりはチャリティー資金として使われることになっており、大統領の思い通りにできる)
バーの営業許可を取り仕切る行政組織も思いのままで、先日アンへレスに行政の手入れが入ったが、元をただせば上納金を払え、払わない、のトラブルが発端。
このように、あらゆるところへ触手を自由に伸ばせるのが、フィリピン大統領である。

前述した通り、大統領があこぎなことをして私腹を肥やそうと、大統領に絶対服従の国会議員は見てみぬふりをする。それどころか、皆同じ穴のムジナ、お互い持ちつ持たれつの関係を日頃から堂々と認識し合い、国の金をみんなで私物化している。こうして腐敗の芽は、どんどん大きく育っていく。
志のある人間が立ち上がり、周囲の議員がまずいと感じるほど頭角を現したら、おそらく誰かがヒットマンを雇うだろう。濡れ手で粟状態の特権を手放すことなど、大方が反対側に回る。

少ない国家予算を大統領や議員が横領・・・。国民は変わらず貧乏のまま、一向に暮らし向きが良くならないどころか、最近はますます悪くなっている。
これで国が良くなるわけがない。

何の罪も無い子供たちを救いたい、教育を受けさせたい、食事をしっかり取らせたい、貧困を絶滅したい、でもオカニない、となれば、大義名分をたてにそのつけを広く国民に・・、そして少々羽振りのよい外国人や外国企業に回してくる。更には日本国に、オカニ貸して!となる。そうやって手にしたお金の何割かは、また誰かのポケットに入る。
フィリピンエアライン専用の、ピカピカでご立派なNAIA国際空港第2ターミナルも、日本のODAで建設された。あれには僕の納めた税金の一部が使われている。
このままではどうあがいても、僕はこの国で、鴨になるかも。

※(フィリピンに対する日本のODAは、http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/gaiyou/odaproject/asia/philippines/contents_01.htmlで閲覧可能。)

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2011年08月09日

314.鴨になるかも(前編)

フィリピンに乗り入れる国際便のうち、フィリピン以外の航空会社に新たな税金を課すことが、大きな波紋を呼んでいる。
これは従来の貨物・旅客収入に対する2.5%の課税に加え、新たに航空税3%を徴収するというもの。
この課税は、フィリピンエアラインやセブパシフィックのような、フィリピンの航空会社には適用されない。それゆえに、フィリピン以外の航空会社団体は、不当で不公平な税金システムだと、文書でフィリピン政府に撤回を申し入れている。
このまま実施されれば、JALなどのフィリピン便航空運賃に影響が出る可能性もある。そしてフィリピンエアラインは、ますます図に乗り、サービス低下、もしくは便乗値上げをするかもしれない。

先日マニラのバーに出かけた際は、トイレの貼り紙に、2011年の7月1日より、従来12%の飲食税がバーのような飲食業に限り18%になるため、客への請求を通達通り変更している旨が書いてあった。
実はこれら以外にもフィリピン国内では、輸入酒類の課税徴収を厳しくするなど、あちらこちらで税金に関する変化が見受けられるようになっている。

国際空港では、それに絡んでかどうか分からないが、最近出国者に対して、持ち出しタバコの検査が厳しくなっているようだ。
フィリピン国内へ持ち込むたばこや酒類の検査が厳しくなるのは理解できるが、持ち出したばこに難癖をつけられるのはどうなのかと調べてみれば、フィリピン国内で購入したタバコの国外への持ち出しは、400本まで(2カートン)までという規定があった。
http://www.jtb.co.jp/kaigai/Country.aspx?CountryCD=A14 による。別の資料では1カートンまでというのも見かけた記憶があるが、どこで見かけたのかわからなくなった・・要注意)
もしおかしなタバコが見つかれば、詰問されて、規定内であってもチップ(空港職員サービス税?)を要求される場合があるとのことだから要注意である。

マニラ国際空港は一時良くなっていたが、最近は再び、空港職員の何かにかこつけた不当チップ要求、出国カード書き込みの際、用紙が違う、もしくは書き方が違うとアドバイスし、ついでに空港利用料を支払うと客から1000ペソを受け取り、おつりの250ペソ横領するなどの事件が発覚するなど、小賢しいお金の巻き上げが目立つようになっている。

最近はマニラの治安が悪くなっていることを記事で紹介したばかりだが、タクシー料金のふっかけ、タクシー強盗、空港でのそのような悪さも増え、もともと荒んでいる国が、益々荒れてきたように思われる。

現在フィリピンでは、前大統領アロヨ(女性)の数々の横領が明るみになっているが、彼女や彼女の政権下のお偉方に国家予算をごっそりネコババされ引退されたために、国の金(予算)が追いつかないのだろうか。
現大統領は、アロヨ前大統領の悪事を全て明るみにし、国民の税金をしっかり取り返すと息巻いている。既にアロヨは身柄を拘束されたという情報があるが、お金を取り返すのは難しいのではないだろうか。
アロヨが横領した金は、アメリカの複数の不動産に化け、現金はスイスのどこかの銀行に入ったとみられている。

フィリピンでは、大統領が辞任する際、自ら築き上げた集金ルートを手放さないために、新しい大統領は自分用の集金ルートを新しく開拓しなければならないと言われる。
前大統領の不正暴きにやっきになり正義を振りかざす現大統領も、実は、現在様々変わりつつあるルールの中に、自分用の集金ルートを盛り込み済みかもしれない。
(これは根拠のない推測。しかし新しい集金ルート開拓のために、大統領が変わると国の様々なルールが変わると言われるのは事実)
国や自治体の窓口手数料、各種登録手数料もかなり値上がりしているが、それが私腹を肥やすもとになってはいないかと疑いたくなるほど、フィリピン政府が徴収するお金は、疑惑に満ち溢れている。

このようなことが常に行われ、取りやすいところから安易に金を取るという形になれば、海外の人はフィリピンに寄りつかず、国内のフィリピン人さえも海外に逃亡する。
特に収入の高い人が危ない。これは世の中の常で、高所得者ほど税金の安い場所を探し求めて移住する。
現実に自分のフィリピン人知り合いは、現在フィリピン国内でやっているビジネスをたたみ、オーストラリアに移住しようとし、既に現地下見を済ませている。

現在フィリピン国内では、日本と同じように低所得者は税金を免除されている。
我が家を振り返ってみれば、メイドを含め9人の成人者がいるにも関わらず、現時点で国に所得税を納めている人が一人もいない。(僕は固定資産税を払ったが、実はまだ日本に、所得税、健康保険、厚生年金を払っている)
これだけ大人がガン首を揃え、それってどうなの?・・という気がしないでもない。

みんなが税金を納めることなく、何気にどこかにぶら下がっている。
税金を納めるにしても、みんなサラリーが少ない。仮に政府が、サラリーが少ない人は通常の何分の一で、ほんの数パーセントだけ所得税を頂くと言っても、暴動が起きる可能性がある。(それ以前に無視される可能性はあるが・・)
そしてそんなことを言った大統領と政府の支持率は間違いなく低下するだろうから、政府は安易に取れるところから絞り取ろうとする。

やはりこの国は、何かが狂っている。目先の利益に囚われ、長期的な展望など持てない。
僕のような人間も、税金や各種お金を絞り取られる対象になるのだろう。
既にいろいろなところで、手続き関係のお金を結構支払っている。
一番新しいVISA更新では、1万5千円以上(エイリアンカードの発行料金を含む)を徴収された。その期間内に永住VISAが間に合わなければ、ツーリストVISAをもう一度更新しなければならない。
このVISA更新代内訳をみると、特にお願いしなくとも、特急手続き料金1500ペソなどが含まれている。
パソコンを操作し、パスポートにスタンプを押すだけの作業で、もともとすぐに終了する作業である。しかもレガスピの事務所など、大勢の人で混んでいるわけではない。
職員は事務所で遊んでいるか、僕の申請を処理するか、どちらかしかない。
何とも不思議で納得性のない料金だが、国外退去を命じられたら困るので、おとなしく従い支払う。

既にあちらこちらで、余分なお金を払っている気もする。
先日バイクのタイヤ空気圧が足りないので、近くの小さな個人工場(バイクや自転車の修理屋)に行った。
以前エアを入れた時には2ペソだったが、その日は5ペソだと言われた。
モナは文句を言ったが、相手は聞く耳持たず。
なぜ3ペソ値上がりしたかと言えば、僕がモナに日本語で話しかけていたので、日本人客だとばれたせいである。
然もありなん。ここフィリピンでは、そんなことが良くある。
だからモナが買い物で値切り交渉をする際、僕は彼女から少し離れて他人を装うことがある。

フィリピンでは日本人(外人)は相変わらず鴨られ対象であるが、政府が益々本気でそれをやり出したら、本当にフィリピンから逃げ出さなければならないかも。


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2011年08月08日

313.ハッピーアニバーサリー

8月6日の土曜日は、ダディーとママの結婚記念日だった。
何周年のアニバーサリーかは知らないが、モナが29歳だから、30周年か31周年と思われる。
ママは記念日前日から、ダディーと二人、レガスピでデートしたいと張り切っていたが、またもやダディーが、レガスピに行って何をするのだとぶっきらぼうに言い放っていた。
それでも当日になれば、きっと仲良く二人で出かけるだろうと思っていた僕は、レガスピに行ったらマヨネーズとワサビを買ってきて欲しいなどと呑気に言っていた。

しかし当日、ダディーは午前中からTVの前に陣取り、映画を見ながら居眠りを始めた。
昼食後もダディーは早々に部屋に引きこもり、ドアの外にはダディーのいびきが大きく漏れていた。
全く出かける様子がないことに、僕はマヨネーズとワサビを諦めていたが、モナはそんなことよりも、ママが可哀そうだとやや憤慨気味になっている。
ついでにモナは、自分たちの結婚記念日が同じようだったら承知しないようなことを、ダディーに対する憤慨を引きずった勢いで僕に言うものだから、何も悪くない僕まで怒られているようで、とんだとばっちりであった。

とりあえず内輪で、二人のために美味しいものでも作ってささやかなパーティーをしようかと、僕は夕方から献立を考え始めた。
これまでテンメンジャンが無くて断念していたが、マニラで買ってきたばかりの味噌があるので、一点はマーボーなすを作ることに決めた。
モナになすを買ってきてくれるようにお願いし、なすが届くまで下ごしらえを済ませる。
しょうが、にんにく、ネギのみじん切りをごま油で炒め、そこに豚ひき肉を加え炒め、更にトウバンジャン、ミソを加え混ぜ炒める。醤油、砂糖、酒、鶏ガラスープの素、水を混ぜたスープをそこに加え、加熱したところへ素揚げしたナスを入れ、少々(2分)煮込んでから素揚げしたピーマンを入れる。通常水で溶いたカタクリ粉を入れとろみをつけるが、ひき肉を多めに使ったのでこれは省略。
もう一点はやや手抜きで、親子どんぶりの具。これは簡単で、丼ものに適した濃度に薄めた麺つゆで鶏肉とネギを煮て、鶏肉に火が通ったらとき卵を全体に回すようにかけるだけ。その後少々蒸らせば出来上がり。
ほぼ料理が出来上がった頃に、突然来客。魚売りをしている叔父さん夫婦とその息子、そしてママの弟のノエルである。
どうやらダディーが呼んだらしく、客が増えたので、慌ててトン汁を追加作成。味噌大活躍である。

お酒はあるのか分からずダディーに確認すれば、モナが買ってくれたらあるし、買ってくれなければ無いという訳のわからない返事だったが、覗けば安ブランディーだけはあるようだった。
やましい気持ちが、ダディーに何か言い訳じみた言い方をさせたのかもしれない。
買い物から戻ったモナも、来客について何も聞いていなかったと驚いていた。

たまたま僕が料理を作ろうと思い立ってキッチンに立ったが、それまでは誰も何も作る気配が無かったから、それが無かったらどうしたのだろうとモナに言えば、彼女は、ダディーが自分で作ったんじゃないのと冷たく言い放つ。
既に玄関先のフロアーで叔父さん、ジュンさんと3人で酒を飲み始めているダディーの姿に、モナは料理を手伝いながら、ママが可哀そうだと一旦収まりかけた憤りを再燃し始めたようだった。
確かにそんなダディーは、お酒が飲めればそれだけで幸せだという姿勢が見え見えで、モナやママの反感をかっても仕方がない。
客がいなければ、ママはダディーをどついていたはずだと、ナスを切る包丁を持ちながらモナがぽつりとこぼす。
妙に包丁がなまめかしく見えるので、僕は無言で頷いただけで、触らぬ神に祟りなしと二つのキッチンを使った調理に忙しく動き回っていた。

それにしても最近、僕が汗をかきながら料理をし、メイドが調理の完成を待って、出来上がったら食べるという逆転現象が頻繁にある。
メイドは食器やごはんなど、テーブルの準備はしてくれる。勿論野菜などの皮むき、カットはお願いすれば手伝ってくれるが、お願いしなければ何もしない。
僕も自分の食べたい物を作るわけだから仕方がないが、これらの料理を覚えてくれたら有り難いといつも思いながら、メイドの料理の腕を信用していないので、ついつい自分で作ってしまう。

料理は大変好評だった。特にマーボーなすは、各自がそれを一口含んで親指を立てたグッドサインを作ってくれた。叔母さんやママからは、作り方を聞かれた。確かに自分で食べても美味しかった。
僕の中華料理は、これまで海老チリ、餃子、マーボー豆腐であったが、海老チリとマーボー豆腐は、先日マニラの老舗中華料レストランのものより、自分で作った方が美味しいというのが、僕とモナ二人の一致した意見だった。
中華料理店で餃子は食べなかったが、今のところ我が家(いまや餃子は、モナが一人で作れる)の餃子は、フィリピンのどこで食べるものより美味しい。それらにマーボーなすが加わり、確実にレパートリーが増えている喜びを感じる。

先日日本から来た方からお土産の一つとして頂いた金箔入り焼酎があった。
僕はマニラから家に帰るなり、これはダディーへのお土産だとママにそれを見せたところ、中にゴールド(金箔)が入っていることに大変驚いて、そのような高価なものをお腹に納めるはもったいないからディスプレイする、ダディーにこのお酒のことは言わないようにと口止めされ、お蔵入りした。(インターネットで調べてみれば、金箔入りでも千円弱の値段)
しかし結婚記念日であれば金箔入りのお酒は相応しいではないかと、あらためてハッピーアニバーサリーという言葉を付け、それを二人に進呈した。

食事の後に、大人全員のグラスをあらためて用意し、ロック焼酎で乾杯した。
全員グラスを照明にかざし、きらめく金箔を眺めながら、これは本物かと訊いてくる。
ゴールドを飲むということが、大変な贅沢に感じるらしく、この金箔入り焼酎効果は絶大で、ようやくママ、モナを含めた全員がハッピーアニバーサリーという雰囲気に包まれた。
この焼酎、味もなかなか好評で、少し前まで憤慨気味のモナも酔っぱらい、いつしか饒舌、上機嫌になっていたが、その後飲みすぎでベッドに倒れ込んでしまった。
お酒に極端に弱いママもたった一杯のロック焼酎に酔っぱらい、モナとは逆に、そのせいで夜は遅くまで眠れなかったと翌朝話していたが、遅い時間まで起きていたのが本当に焼酎のせいなのか、それは定かでないと思っている。


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