フィリピーナと共に
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2009年12月19日

54.視点の相違

今回はマラッカという観光地に泊まりこんで仕事をしている。
しつこいようであるが、もう一度だけ、監査先のスタッフの様子がわかるエピソードを紹介する。

これはプリント基板の話であるが、それがよくわからない人のために簡単な説明をすると、プリント基板とは、電気製品の中に入っている回路が構成された基板で、よく緑や青色をしている。基板の上には電気部品が載っていて、その部品が基板の上にある銅パターンで接続されることで、回路が形成される。時には銅ではなく、金を使用することもある。必要な箇所には、金をメッキで貼り付けるのである。金は厚く塗りたいところであるが、高価なので必要最小限の厚みにしなければならない。
次のやり取りは、その金メッキの厚みの話である。

「過去に金メッキの厚さが足りない不良がありますね。それについて、詳しく話を聞かせてください。厚みがカスタマー要求を下回っていますが、これは客が見つけた不具合ですか?」
「そうです」
「こちらの方では、金メッキの厚みは測定していないですか?」
「しています。その不具合についても、客先との測定値相関を取りました。こちらで測定した値は、カスタマー要求を全て満たしていました」
「それは客先と相関が取れていないということを言っていますか?」
「・・・・・・」

「ちょっと話が逸れますが、僕は今回の訪問で、今一番不具合の多い外観問題、そしてこの金メッキの厚みと表面状態の管理、最後はレジスト厚みと剥離強度管理、この3点を重点確認項目を考えています。客先は抜き取りで金メッキの厚みを測定しますので、もし金メッキに問題があると、まちがいなくロットアウト(一部の基板に不具合が見つかった場合、一緒に納入した物全てが不良扱いになり返品となる)になります。今回のビジネスは、数量がとても大きく、ロットアウトになればあなた方にも多大な損害がでるので、この問題はとても重要です。ですから時間がかかっても、かなり詳しく確認をしたいと思っています。さて、カスタマー要求は、厚みが0.1um(1umは1/1000mm)以上ですよね。その認識は間違いないですか?」

「はい、ラインではそのように管理しています」
「それでは厚みのターゲットはいくつに設定していますか?」
「規格は0.1mm以上です」
「はい、それはよくわかりました。それでねらっている厚みはいくつなのでしょうか?」
「だから工程の規格は最低0.1umです」

この辺で、僕は話がかみ合っていないことに気が付いた。相手はしっかりと答えているのに、僕が同じ質問を繰り返すのでキョトンとしている。

「この過去の問題の対策を見ると、工程スペックを0.14umに変更していますよね?この値はどのようにして決めましたか?」
「・・・・・」
「それでは少し別の質問をします。金メッキの厚みは、工程で全数検査をしていますか?」
「いいえ、抜き取り検査です」
「わかりました。では、この金メッキの厚みがあなたの工程で、どの程度ばらつきを持つのか、把握していますか?」
「わかりません」

この辺りで、僕も相手の様子がなんとなくわかってきた。
彼らは自分たちの工程で、金メッキの厚みがどの程度ばらつくのか、正確な基礎データを持っていないのである。そして経験値でターゲットをなんとなく決めている。つまり、金メッキの厚みに関係するパラメータを、この程度にしておけばできあがった物の厚みが客先要求を満たすだろうと、経験に基づく直感で決めているのだ。そして出来上がったものを測定して、不十分であればまた何かのパラメータを変更する。
しかし客からクレームが付いたので、やはり直感でターゲットをあげて、かつ工程スペックを安全を見越して高めに設定し直したのである。

「わかりました。この問題が発生した時の客先データを見せて下さい」

しばらくして、相手は顧客から示された約100個分のデータを持ってきた。その中で不具合は10%ほどである。しかも自分たちが再測定したデータがその横についており、彼らの測定値はぎりぎりで全て客先要求を満たしている。

「このデータに関して、相関グラフを作りましたか?」
「いいえ」

相手は不安げに答え、首を左右に振る。
「データを見る限りは、客先とこちらの相関は取れていると思っていいですね。測定誤差と思われるような範囲で、不良になっています」

話を聞くと、自分たちの測定値は全て規格を上回っているので、彼らは不満があるにも関わらず工程内の規格を上げてそれに対処したようであった。もしかしたら客の測定が間違っているかもしれないと思っているのである。

「このデータから、あなた方の工程における金メッキ厚みのばらつきがわかりますね」

QAリーダーは僕の話していることを理解しているが、工程エンジニアはわかっていないようであった。そこで、僕が正規分布の絵を書いて、同じ条件で物を作った時には、出来上がった物はこのようにばらつくという話をした。そして、最低値が客先要求を超えるようにセンター値を決めれば、それが効率の良いターゲットになることを説明した。ついでに3シグマの話をして、ついでに温度や薬品濃度などのパラメータが変化すると、その正規分布全体がが上がったり下がったりするので、それが少なくなるようにパラメータを管理しなければならないこと、X BER R管理図は、それを簡易的に観察していることになることなどを説明した。
工程エンジニアは、その話を真剣な眼差しで聞いた後に、ターゲットの決め方について
「それはすごいグッドアイディアだ」
と、驚きを隠さず感心していた。目から鱗という言葉があるが、まさにそれである。

僕は逆に、そんな基本的な説明をしただけで、それほど感心してしまう相手に驚きを隠せなかった。
3シグマを知らない、その細かい計算の仕方を知らない、もしくはX BER R管理図の意味を知らないなどということでは驚かないが、ばらつきの概念や、少なくともばらつき具合からターゲットを設定するという考え方ついてすごいアイディアだと言われたのは、初めての体験である。
まあ、その程度で開眼してくれたら僕も言うことはないのだが、このままいくと、僕はその会社の中で神様のような存在になるのではないかという、余計なことまで頭をよぎるのである。

しかし僕は日本にいる時でもそうであるが、相手が知らないということを決して馬鹿にしない。知るきっかけがなかっただけの話である。もしくはきっかけがあっても、失念しているだけの話である。要はやる気があるかどうかが問題で、その工程エンジニアはすぐにばらつきデータを詳しく調べて、ターゲットも見直すという話になったから、僕も大満足であった。

その工程エンジニアは、一緒にタバコを吸っているときに、次のようなことを言ってきた。
「あなたの考え方はまるで自分たちと違う。自分たちはいつも、物事を見るときに一つの目しか使っていないが、あなたはいつも二つの目を使っている」

これは決して自慢話ではない。その証拠に、僕が彼らに話した内容は、基本中の基本の話で、全く自慢できるような高度な話ではないからである。あくまでもこれは、自分の視点はまだまだ甘いということを実感したという話である。

彼の言葉は、なるほど中々良い表現方法を使うではないかと思った。
同時に彼らが開眼している感触を、その言葉から感じ取った。
(それでもやっぱり疲れます。歳のせいですかね・・・トホホ)

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2009年12月18日

53.疲労困憊の議論

ほんの数時間寝ただけで、クアラルンプールのホテルをチェックアウトした。
数時間だけであっても、宿泊料金はきちんと一泊分支払うので、貧乏性な僕はとても勿体無いような気がしていた。
寝不足で重い頭を抱えながら、再びマラッカへ車で移動。途中の朝食のパンを買うために、ガソリンスタンドと一緒になったコンビニに立ち寄った。
国が違うとパンの味もまるで違う。パンの包みにブドウや、とうもろこしや、大豆のような豆の絵があったりするのだが、その絵からはどんな味がするのか全く想像ができない。結局無難なチョコレートと、少し冒険したとうもろこしを一つずつチョイスした。
それを車の中でかじりながら、ハイウェイを快調にマラッカ方向へとばす。

車の中で今回のスケジュールを確認すると、最終日の23日はシンガポールに行くことになっているらしい。シンガポールで最後の仕事を終えた後に、車で5時間かけてクアラルンプールに戻ると聞いて、いささかげんなりした。そうとわかっていれば、シンガポールからフィリピンに戻る便もチョイスできたからである。
そういえば財布の中にシンガポールドルが入っていたことを思い出し確認をしてみたら6SDだった。今のレートで日本円で380円である。シンガポールではタバコ一つが1000円近くするはずなので、それすら買えない金額であることに少しがっかりした。
財布の中には他にも中国元・香港ドルがそれぞれ少額入っている。お札の枚数だけはそれなりで、ちらっと見る限りではリッチに見える。

マラッカは、前回訪問した基板会社の追加品質オーディット(監査)の為に行くのであるが、どこの会社も同様、監査を心から歓迎するとこはない。通常はにこやかな顔でウエルカムと言いながらも、心の中では厄介な奴が来たと思っている。

この基板会社の場合、前回の対応は決して良いものとは言えなかった。
しかし今回は、前回終始ムスッとしていたMDが、最初から笑顔で深夜にマレーシアに到着したことを労う言葉をかけてくるなど、愛想を振りまいて握手を求めてきた。
しかもオープニングの会議には、前回顔を見せなかった営業マネージャー・営業アシスタント・各エンジニアの面々がずらりと顔を揃えており、会議の冒頭で僕の最初の発言をじっと待っている。こちらがやりにくいほどのプレッシャーを感じる場面であった。

実は前回、自分のクライアント(僕に品質確認を依頼してきた会社)に提出したレポートに、この会社に関してマネージメントレベルの品質に対する姿勢が今ひとつであることを書いたのだが、それがそのまま英訳されてその基板会社に渡っていた。よって、早速そのレポートの効果が出たのかという考えが僕の頭をかすめた。
理由はどうであれ、MDが協力的だととにかくやり易い。初日だけで、当初予定していた仕事の半分が片付いてしまうほど、進捗が好調である。もし時間に余裕があるようであれば、僕のクライアントがその会社から購入している製品に関して、やや掘り下げたオーディットも行うと宣言したにも関わらずであったから、その対応ぶりは前回とは雲泥の差があると言えた。


マレーシアやフィリピンをはじめとしたアジア圏の人たちの品質に関する考え方は、日本人と随分開きがあることを、以前記事の中で簡単に紹介した。
今回も基板会社のスタッフとのやり取りで、同じことを感じた話し合いが数多くあるので、今回は具体的にその一つを紹介してみようと思う。

今回の僕の仕事の一つは、過去の発生した問題に対して、基板会社がその原因をどのように分析し、再発防止対策をどのようにしたのか、そしてそれが効果がある形で継続実行されているのかを確認することである。
次の内容はそんな確認の中で、基板会社が作ったサンプルで外形不良が発生した件について、二人のエンジニアと品質リーダーを相手に行ったやり取りの一部である。

「この基板外形について、あなた方が調べた原因を説明して下さい」
「原因は、当社のエンジニアが、外形は前回のサンプルと同じものだと勘違いして、外形データについて前回の物を流用したからです」
「なぜ勘違いしたのでしょうか?」
「この図面を見てください。外枠の形は全く同じで、基板内部のこの部分の形だけが違います。よく注意して見ないと、全く同じように見えます」
「この時カスタマーは、サンプル用として新しいデータを送ってきましたか?」
「データは受け取りました。しかしデータの処理に手間がかかるために、エンジニアはできるだけ効率的に進めようと考え、外形データは前と同じだから流用しようと思ったようです」
「わかりました。それでその問題の原因を、あなたたちは何だと考えますか?」
「・・・エンジニアの怠慢です」
「そうですか。それで、その怠慢に対する対策をどうしましたか?」
「カスタマーから送られたデータを、100%使用することにしました」
「つまり問題が発生する前は、カスタマーデータを100%使用しなくても良いというルールだったのでしょうか?」
「いえ、そうではありません。ただそのエンジニアが古いデータを流用したので、これからは100%使用しようと考えました」
「以前のルールはどうだったのですか?カスタマーデータをきちんとフォローするようになっていましたか?」
「もちろんそうなっています」
「そうなっていたにも関わらず、以前はそのような問題が起きたわけですよね。あなたたちは、ルールは変わっていないけれども、以前は問題が起きたが、これからは起きないということを話しているのでしょうか?」
「はい、そうです」
「なぜこれからは同じ問題が起きないと、自信を持って言えるのですか?」
「それはこのようなチェックリストで管理しているからです。各プロセス用のデータについて、テクニシャンが間違いのないデータであることを確認したらチェック印が付けられます。そしてダブルチェックで、エンジニアが各項目を同様に確認し、それぞれにチェック印を入れて、最後に確認済みのサインをします。これで間違いはなくなります」
「そのチェックリストは、いつ作られましたか?」
「・・・・・・」
「質問の仕方を変えます。過去にこの問題が発生したときに、そのチェックリストはありましたか?」
「・・・・はい、ありました」
「わかりました。それでは質問を変えます。問題が起こった時と現在で、カスタマーデータの使用に関して変更したルールや仕組みは何ですか?」
「何も変わっていません。変わったのはエンジニアです」
「ルールも仕組みも変わっていないのに、なぜこれからは問題が再発しないと言い切れるのでしょうか?なぜそれほど自信があるのか理解できないのですが・・・」
「だからそれは、前のエンジニアの怠慢が原因で、これからは私たちが間違いなくカスタマーデータを100%使用するから問題は起きないということです。これはヒューマンエラーです。別の言い方をすれば、アクシデントなんです。でもそのエンジニアはもう辞めたので、このような事故は二度と起きません」

基板会社のスタッフは、あえて誤魔化しているわけでも悪びれているわけでもなく、真剣にそう信じ込んで話している。
相手は基本的にはまじめに考えていて、考え方がこちらと違うだけなのである。だからこちらがぼんやりしていると、何か違和感を感じるものの、どの視点にずれがあるのかわからなくなってきたり、こちらの考えをわかってもらうためにどのように説明すべきかを悩んでいるうちにこちらが混乱してくる場合もある。
だから僕は、あまり悩まないようにしている。わからない時には質問を繰り返し、自分の理解を、言葉を変えて相手に確認する。
相手もなぜ僕が理解できないのかと、真剣に悩んでいるのである。

「あ〜、わかりました。つまりあなた方が言いたいことは、前のエンジニアは悪い人だった。でも今のエンジニア、つまりあなたたちはまじめで立派な人だから、もう問題は起きないということを言いたいわけですね?僕の理解は正しいですか?」
「あ〜・・・イ、イエス、イエス。そうです。その通りです」
相手から笑いがこぼれ、僕がようやく納得したのかと安堵しながら、喜んで相槌をうっている。

「あなた方が言いたいことは、とてもよくわかりました。でも僕は常にエンジニアを信用していないし信用できません。それは僕がエンジニアだから良くわかります」
僕が笑いながら冗談を言ったので、相手もゲラゲラと笑っている。

「少し僕の考えを話してもいいですか?」
「ええ、どうぞどうぞ」
「あなた方は僕と違って、とても立派なエンジニアだと信じます。だからあなた方がこの仕事をしている限り、同じ問題は起きないかもしれない。しかし新しく入社した人がこの仕事をした時にどうなりますか?」
「しっかりと教育するので大丈夫です」
「しかし世の中にパーフェクトな人間はいないですよね。それについてはどう思いますか?」
「その通りです」
「つまり人間はパーフェクトではないから、間違いもするし、時々は怠慢になるわけですよね?そして能力も人によって違います」
「はい、そうですね」
「だからシステムがあるわけです。システムを作る目的は、どんな人が作業をしても問題が起こらないようにするためで、作業者の怠慢や能力の不足をカバーするのがシステムなんです。そのためにあなたたちもシステムを作り、それに従って仕事をしているのですよね?」
「・・・そうです」
「つまり悪い人が作業をして問題が起きたということは、システムのどこかに欠陥があると考えるべきではないですか?問題が起きないように考えた仕組が不十分だから、問題が起きると僕は考えるのですが、それについてはどう思いますか?」

ここで初めて、相手は僕の言いたいことを理解し始めたようだった。
それまでは気付かないふりをしているわけではなく、基本的に考え方が違う、もしくはそのようなだめな人間のしたことに対策を打つのは、最初から無理があると信じ込んでいるのである。だめな人間がしたことは、その人が悪いわけでシステムは十分だったと考えている。

ようやくそこから相手は、それじゃあどうすれば良いのかを真剣に考え出した。そしてどうすれば良いのか、何かアイディアはないかと逆に訊いてきた。
ここまで話をして、ようやく共同歩調が取れるベースができるわけである。
これが日本人相手であると、そんな回り道をする必要はない。

アジア圏の人には、これは命令だといわんばかりに、言うことをだまって聞けという態度を取る日本人もいる。それが手っ取り早いと信じている日本人もいるが、工場のスタッフがこれからも発生するだろう様々な問題に真剣に取り組む姿勢を築き上げるためには、やはりこちらの考え方をわかってもらう必要がある。
実はこのようなやり取りはこちらもかなり体力を消耗するので、怒り出す日本人いることも理解はできる。しかしこれは大事な議論である。だから僕の場合は、忍の一字で何度でも同じような議論を繰り返す。その後に相手がこちらの言いたいことを理解し始めると、そこで初めて信頼関係ができるような気がいつもするのである。

相手がこちらの考えに理解を示した時に、僕はこんなことも言った。
「このように自分の考えを英語で説明するのは、日本人の僕にとってはとても難しいです。時々自分が何を言っているのか、自分もわからなくなるときがありますよ。あなた方は僕が話していることが、理解できますか?」
相手は笑いながら頷いていた。正直に話をすることで場が和む。下手な緊張感は、議論の邪魔になることが多い。

さて、それでは何か良いアイディアがないかと訊かれ僕がどう答えたのか・・・。

「いやぁ、これは難しい問題だから、実は僕もどうしたらいいのかわからないんですよ」

実際にわからなかったから、正直にそう答えた。相手もなぜか安心したような表情を見せる。
「わからないから、これから一緒に考えなければなりません」
「ふ〜む」
ここまでくると、相手もいよいよ真剣に悩み出している。最初からそれを狙った発言ではないのだが、結果的にそうなる。

「作業者や新しく入った人間の教育方法や習熟度のチェックをする方法を考えるという案もありますが、この件については一旦議論をやめて、お互いにアイディアを考え抜いてから、もう一度話し合うということにしましょうか?」
「わかりました。それがいいですね」
「議論を止める前に、一つ確認したいことがあるのですが、前回はデータを間違えたことで図面と形が若干違う基板ができたわけですよね?その時にQA(品質管理)の検査で、その間違いはつかまらなかったのですか?」

ここで品質リーダーが口を開いた。
「実はQAでは、基板の外形が違うのではないかと気付きました」
「え?気付いた。僕の聞き間違い?QAの検査で、基板の外形ミスに気が付いた?」
「はい、気付きました」
「気付いたのに、なぜカスタマーにその基板を出荷したんですか?」
「QAで気付いた場合、QAはエンジニアセクションにそれで問題がないかを確認します。その時にもエンジニアに確認をしたのですが、エンジニアは図面を再確認せずに、問題がないと判断したために、その指示に従い出荷しました」
「それではこの問題は、組織の問題も含んでいるということですね?」
「・・・・・」
「問題の対策は大きく分けて、2つあります。一つは問題が発生しないための対策。そしてもう一つは、万が一問題が起きても、それがこの会社の内部にとどまり、カスタマーに流出しないための対策です。この問題については、どちらにも問題があるようなので、その2つについてもう少し考える必要がありそうですね」

少々長くなってしまったが、このような流れで話が進んだ。
結局この問題は、データチェックの方法変更、チェックで問題が見つかった場合の処理方法、QAの権限見直し、QAで問題が見つかった時の社内連絡ルーチン見直しなどを行うことになった。QA問題はMDに報告するルーチンを付け加えた。

山積する問題について、一つ一つこのような議論を繰り返して、不具合原因を掘り下げ対策を見直す。そして実際の工程もチェックをして、作った仕組み、作り変えた仕組みがしっかりと日常作業の中に根付いているかも見るわけである。
1日の仕事が終わると、ほとほと疲れている自分に気付くハードな仕事である。

長々と書いた具体的なやり取りから、南国気質の考え方と日本人の考え方の違いを少しでも読み取っていただけら幸いである。

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カテゴリー:フィリピン生活
エントリー:53.疲労困憊の議論
2009年12月17日

52.クアラルンプールでのアクシデント

今回のマレーシア訪問は、初めてのセブパシフィック国際線の利用。前回の記事はマニラのセブパシフィック国際線搭乗ゲート付近で書いたのだが、そこはWiFiサービスが無かった。
持ち込んだスマートBroという端末デバイスも電波がなく、せっかく書いた記事をアップしたい一念で、インターネットは何とかならないかと近くのコーヒーショップの女性に尋ねてみたら、スマートBroはたまに入ると言われ、そのコーヒーショップで繋がるまで粘ってみた。
祈りが通じたのか搭乗前ぎりぎりでようやくインターネットに入ることができた・・・が、なんとも遅い。とにかくじれったいの一言で、搭乗時間は迫ってくるし、ノートPCのバッテリー残量も乏しくなっている。とにかくぎりぎりで記事を一つアップした。

その後PCを慌てて鞄にしまい、ばたばたと飛行機に搭乗して驚いた。飛行機は国内線の機体に毛の生えたような小さなもので、中央通路を挟んで両側3列シートがあるのみ。まあ色々なものを節約して安くしている(といっても、往復で6万円だったが・・)のだから仕方ないかとも思ったのだが、もう一つ、更に驚いたことがあった。

離陸後間もなく、機内サービスが始まった。最前列と最後列からフライトアテンダーの女性が挟みうちでワゴンを運んでくる。
後ろからやってくるワゴンが近づくと、カップラーメンの匂いが・・。もしかして機内食は、ヌードル系?などと思いながら、不思議に思っていた。
ようやく隣にワゴンが到着すると、僕の隣に座っている女性が突然「シーフードヌードル」と言う。次の瞬間フライトアテンダーは「100」と言い、オーダーした女性が100ペソを支払う。アテンダーは日清のシーフードカップヌードル(ジャンボサイズ)をワゴンから取り出し、蓋をあけてお湯を注ぎ出した。
「あの〜、食事は有料?」
「はい、食事もドリンクも有料になります」
「全て?」
「はい(きっぱり)」

なんと水一杯のサービスも無い。国内線のセブパシフィックはそうだということを知っていたが、まさか国際線でも同じだったとは驚くばかりであった。
8:55pm発とやや遅めの離陸であったため、僕は搭乗前に食事を済ませていたからお腹は空いていなかったが、コーヒーくらいは飲みたいと思っていた。しかし有料と聞いて興ざめした僕は、何も頼まずにその後ふて寝を決め込んだ。

更なる不幸がクアラルンプールで待っていた。
到着後イミグレーションを何事もなく通過し、到着ロビーへ出てみると、いつもと全く雰囲気の違う場所である。
(なんか前と雰囲気が違うなぁ・・・こんな場所だっけ???)

そして迎えのくるはずの人間が見当たらない。今回は機内持ち込み荷物しか持っていないため、外へでるのが少し早かったからか?と思い、少し待ってみた。しかし30分待っても迎えが来ない。
自分が持ち込んだ携帯はローミングができず、使用できないことが既に判明していた。

幸いマレーシアのコインを持ってきていたので、公衆電話を探し彼の携帯に電話を試みるが、公衆電話の使い方がわからずに、今度は繋がらない。詳しく言うならば、カントリーコードの入った携帯番号は知っているが、マレーシア国内ではどの番号から押せばいいのかわからないのである。何度かけても、この番号はサービス外であるとの機械音声アナウンスが聞こえるばかりである。これは海外に行くとよくあることで、国内から電話をする場合にはどの番号押したら良いか、確認をしておかないとはまってしまうことがある。エリアコードが入った番号の場合、特にわかりにくい。
たまたま側に居た女性に訊いて、ようやく電話がかけられるようになったが、受話器から聞こえてくる音がイレギュラーを示す音なのかリンギングトーンなのか、それともビジートーンなのか、それも判別つかず。
受話器から聞こえる音が、普段よく聞くリンギングトーンとは違っていたからだ。

電話が繋がらないまま、コインの返却口の扉が開かないというトラブルまで発生した。押しても引いてもびくともせず、持っていた貴重なコインの半分が公衆電話に食べられてしまった。

到着ロビーに着いたのは夜中の12時半。出迎えの人間と会えないまま、時間は既に1時半を過ぎていた。PCを開き、もう一度彼の携帯番号を確認した。かなり前のメールに、彼が自分の携帯番号を伝えてきたことがあったことを思い出したからだ。

PCのバッテリー残量を示すインジケータが真っ赤に染まり、残り時間が一分となっている。焦りながらも彼の古いメールから、違う携帯番号をようやく発見。再び公衆電からその番号に電話をすると、2時にようやく繋がった。
「あれ?もう着いてるんですか?到着時間は1時半だと思ってましたよ。今空港に着きましたから、ちょっと待ってて下さい」
僕は、今もう2時を過ぎてるぞと思いながらも、そんな嫌味は飲み込んで
「到着ロビーがいつもと違うところのようだから気をつけて。スターバックスとゴールドカフェというコーヒーショップがあるところだから・・・」
と、更に詳しく話そうと思ったところで、コイン切れで通話がぷつっと切れた。

更に待つこと1時間。3時半にようやく彼が、恐縮しながら目の前に現れた。なぜ到着ロビーが違うのか、なぜ到着時間が早かったのか、空港でマニラからの便を確認したがよくわからなかったなど、よくわからない言い訳が口から次々と飛び出す。

実はマレーシアに行く前に、到着は深夜だから出迎え不要、タクシーでホテルに行くと申し出たにも関わらず、彼に、大丈夫、迎えに行きますと言われたのだ。それで僕は、航空会社、搭乗便名、到着時間をメールで伝えていたが、彼はそれをしっかりと確認していなかったようだ。
しかも僕は、あなたの携帯番号はこれで正しいかと、前日彼からフィリピンへもらった電話番号をメールに書いて、再確認をしていた。

まあ、お互いバタバタであったから仕方がない。しかも相手は生粋の南国気質である。アバウト精神は彼らの専売特許で、日本人が几帳面すぎるのだ。そんなことにいちいち腹を立てていては、こちらが精神的に参ってしまうだけである。

彼は彼なりに焦っていたのか、よく知っているはずの空港周辺の道を3度も間違い、そのたびにUターンをしていた。

結局昨日ホテルで眠りについたのは、明け方の4時半であった。起床は7時の予定だったが、ベッドの上に眠れるのだから幸せだと思わなければいけないと自分に言い聞かせながら、僕は目覚ましをセットしていた。

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