フィリピーナと共に
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フィリピン生活:カテゴリの記事一覧です。

2009年12月04日

39.気まぐれ天気

空に重そうな雲が垂れ込めている。おかげで月も星も見えない。
ミンダナオに台風が来ているそうである。その影響だそうだ。
フィリピンは暑いと思っていたが、意外と涼しい。ここタバコでは、ほとんどエアコンが要らない気温である。夕食後にタバコを吸うために外へでると、風が涼しく気持ちがいい。
夜は扇風機を回していると、寒く感じることさえある。
マニラではそうはいかないから、都会の街に溢れている車や冷房の室外機が吐き出す熱が、相当影響しているのだろう。東京が暑く感じるのと同じである。

最近自分の足を手に入れた。折りたたみ式5段変速機付き自転車で、以前日本から送ったものである。パンクしたまま、ジャマイカの新居でずっと眠っていたものを修理して、自分専用で使い出したものだ。自転車を手に入れるまでは、どこかへ移動するにも誰かの助けが必要だったが、ようやく自分が出かけたいときに、一人出歩けるようになった。
実は原付バイクもある。ホンダのスクーターで、まだ買って1年たらずのピカピカのバイクだ。所有者はモナであるが、今は2番目の弟が自分の専用車として使っている。
2番目の弟は、問題を起すたびにこのバイクを取り上げられるのだが、先日ダディーと喧嘩をしていたママは、何か用事があるたびに彼を使い、バイクで出かけるので、なし崩し的に、またバイクの運転権を取り戻したようだ。

実はこのバイク、僕に使えと言われていたのだが、僕は国際ライセンスを取得しておらず、勿論フィリピンの免許もない。たまに日本の免許が通用する国もあるが、調べてみたら、フィリピンでジャパニーズライセンスは、そのままでは通用しないようである。
もっとも、免許があったとしても、いきなりバイクを運転する度胸はない。小さな町とはいえ、セントラルと呼ばれる町の中心地は、人やトライスケル、車がごった返しているから、運転にはそれなりに慣れが必要となる。

自転車で出歩くのでさえ、セントラル付近は大変である。右側通行のフィリピンでは、おそらく自転車も右側通行なのだろうが、とにかく道路に人やトライスケルなどの障害物が多く、その際、バイクや車、トライスケルが右や左へと蛇行運転している道路側へ回避するのが怖いのである。きちんと後ろを確認しないと、いつの間にかすぐ左脇に、トライスケルやバイクが近接しており、気を抜くと接触となる。左側を走れば、前方から車が来るのでその分楽かと思いきや、トライスケルのパッセンジャーカート(サイドカー部分)が道端ぎりぎりで向かってくるので、今度はそれと接触しそうになる。それでは歩道はというと、段差が多くて自転車で走るには不向きだ。

もう一点自転車で困るのは、買い物で下手な所へ停めておくと、すぐになくなってしまうということである。特に僕の自転車はコンパクトなので、キーワイヤーを付けていても、丸ごと持っていくのは簡単である。よって、ポストなどに一緒くくり付けておかないと危険なのであるが、いざどこかへくくりつけようとすると、適当な場所がほとんどない。
なんとも不便であるが、それでも風を切って走っていると気持ちがいいから、自転車でがんばっている。


先日ジャマイカの新居から古い家へ帰る際、ものすごいスコールに見舞われた。
ポツポツと雨が降ってきたかと思った次の瞬間、町を歩いている人たちが一斉に走り出した。そんなに慌てなくても・・・と思った更に次に瞬間、僕はまるでシャワーのような豪雨の中にいた。バケツをひっくり返したような雨とは、このことを言うのかというような急展開である。
さすがに地元の人はよくわかっている。みんな、この豪雨を瞬時に予測して、慌てて避難したのだ。
このスコール、半端じゃない。アッ!思った瞬間、体は既にずぶ濡れになっている。幸いパソコンを持っていなかったから、そのまま自転車を走らせたが、途中で後悔した。

前が見えないだけではなく、とにかく雨が顔にあたり痛いのである。手の平で顔をガードしないと走行不可能なほどである。手で顔をガードすると、ますます前が見えなくなるから、更に危険である。
勿論前方や後方から来る車、バイク、人との接触も怖いのであるが、道路が日本ほど整備されていないから、穴があったり、予期せぬ段差があったり、時には何らかの障害物があったりするので、それらに不意に遭遇すると転倒しそうになる。

ずぶ濡れで帰った僕を見たモナやモナの家族は、大笑いしていた。スコールの中で自転車を走らせるのは、普通ではないらしい。

それからは僕も、空の雲行きをよく観察するようになった。
しかし中々当たらない。今日は豪雨になると予測し、自転車で外へ出るのを控えていたのだが、結局は降らなかった。
結局気まぐれな天気にまともに対抗しようとしても、無理なようである。
こちらも気の向くままに行動し、雨が降ったらその時考えるというスタイルが良いと思い始めたのだが、もしかしてこれがフィリピンスタイルなのか?・・と、ふと思った。
こうやって自分もフィリピンスタイルになっていくようである。

フィリピーナの気まぐれも天気と同じだろうか。全てをまともに受けとめるのは無理があるかもしれない。
もしフィリピーナの気まぐれに翻弄されている方がいらっしゃるようであれば、御参考まで。

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カテゴリー:フィリピン生活
エントリー:39.気まぐれ天気
2009年12月03日

38.なぜか疲れない

仕事をしていると、足が痒くて仕方がなくなってくる。無意識にぼりぼりと足をかいているから、僕が蚊に悩まされていることは一目瞭然らしい。
ふと、慣れない香りが漂ってきた。モナが見かねて蚊取り線香を焚いてくれたようである。
ただし、形は日本のぐるぐる巻き蚊取り線香と同じだが、匂いが全く違うし、色も黒い。日本と同じ緑色も売っているようで、おそらくその匂いは日本で馴染み深い蚊取り線香の匂いだと想像するが、モナはその匂いが嫌いだということで、いつも黒い色の方を買うそうだ。

名前は「カトール」と言うらしい。
「は?それ何語?」
「フィリピン!」

おそらく日本語で書くと「蚊取る」だと思われるが、フィリピンではそれが日本語から派生した商品名だとは認識されていないようである。

フィリピンで普通に飛び回っている蚊は、日本のやぶ蚊の類だ。大きめで黒い体を持つ蚊である。だからそれに喰われると、ものすごく痒い。御近所の所々にジャングルのような密林エリアがたくさんあるのだから、やぶ蚊が飛び回っていても不思議はない。マニラのような都市部では、それほど気にならなかったから、やはり田舎には蚊が多いのだ。
最初はこの蚊のせいで夜は眠れなかったが、今はもう慣れてしまった。ここに来た当初は、よくこんなところで暮らせるなぁと思ったのだから、人間の順応性は馬鹿にできない。

この家にはボテキ(ヤモリ)もたくさんいる。ボテキが壁を歩き回っていることは日常茶飯事であるが、たまに天井に張り付いている。夜、自分の眠っている真上に張り付いたボテキを発見した時には、僕は固まったまま、「あれ、顔の上に落ちてこないよねぇ・・・」とモナに確認せずにはいられなかった。
害は無いとわかっていても、自分の真上からいなくなるまでは目が離せない。まるでスパイダーマンのように、逆さのまま自由に天井を歩き回っているから、一体どんな手足の構造になっているのだろうと不思議に思う。

実はこのヤモリ、蚊を食べてくれるのである。もし蛾がいれば、それも餌として食べてくれる。その意味で、家を守ってくれるから「ヤモリ」と名が付いたようだ。
ヤモリはフィリピンでも、家に幸せをもたらす生物であるとされ、家の中を堂々と歩き回っていても誰も気にしない。
安いホテルに泊まると、その部屋の中にもボテキは登場する。もしかしたら外国人は、ボテキの登場にクレームを言う人もいるかもしれないが、フィリピン人は「やれやれ」と大して気にも留めないかもしれない。

憎き蚊を食べてくれるのだから、その意味ではボテキの登場は歓迎なのだが、しかし寝るときだけはどうしても気になってしまう。顔の上を歩き回ったり、口の辺りをペロペロと舐められたりしていないだろうなと、心配になってしまう。
爬虫類が絶対に駄目だという人は、フィリピンの田舎に住むのは諦めた方が良いかもしれない。

家の裏に広がる草むらには、昨日の記事の中で書いたカラバオやバカがいる。それらについては昨日詳しい説明を書かなかったので、写真で紹介する。
小さく見える黒い牛のような動物がカラバオである。

小さく写っているのがカラバオ
カラバオ.jpg

次の写真は、家の裏口のドアを開けたら、すぐ近くにバカがいたので、「オーイ」と声をかけて撮ったものである。
「オーイ」といったら「モー」と言ってこっちを向いてくれたとモナに教えたら、モナは笑って信じてくれなかった。「モー」は嘘であるが、こっちを向いてくれたのは本当の話である。

バカがこちらを振り向く様子
バカ1.jpg
バカ2.jpg
バカ3.jpg

カラバオやバカは、道路を車やバイクで移動していると、いたるところに見ることができる。川のほとりを一人で散歩していたりする。ちなみに野生のカラバオはこの辺りにはいないと思うので、誰かが飼っているものだとは思うが・・。
田んぼの中で、農作業の手伝いをしているカラバオを見かけることも多い。おそらく田を耕すために、このカラバオが活躍しているのだろう。1年で3回〜4回の米の収穫があるフィリピンでは、この手の動物が重宝するに違いない。アフリカでも畑を耕すときには牛を使い、そして自分の畑が終わるとレンタル牛で収入を得るというのを聞いたことがあるが、フィリピンでもレンタルカラバオがありそうな気がする。
貧乏な国へ農業支援と称して機械を寄贈すると、日本人が脇でついているうちは良いが、引き上げた後はメンテもできず、しまいに燃料も買えなくなって、鉄くずになることがほとんどだそうである。それよりも、牛を使った方法などを伝授し、ついでにレンタル牛の知恵もつけてあげるのが、本当に住民の為になるそうだ。

昨日レガスピの路上で、犬を散歩させるかのようにカラバオを紐で引っ張り歩いている人を見かけた。まるで散歩に見えるそれは実は散歩ではなく、単にどこかへ移動中だったと思われるが、その様子を見ている限りカラバオは見かけより大人しい動物に思える。人間に従順なのかもしれない。
ちなみにバカがいるこの草むらには、立ち入ってはいけないと言われている。そこには蛇がいるからだそうだ。

今日は近所の家が、自分の家の裏庭(空き地)で飼っていた豚を売る場面に遭遇した。
買い付けの人はトライスケルでやってきて、それに嫌がる豚を無理やり縛り付けようとしている。豚の恐ろしいほど大きく甲高い「キィー」という悲鳴が100m四方に響き渡っていたが、大人が3人がかりで、事務的に泣き叫ぶ豚を縛り上げている。
その声を聞いた僕は、驚きと珍しさのあまり家を飛び出し見学に行ったのだが、近所の人は当たり前の光景として、それを傍観していた。僕はそれを、とても可愛そうだと思い見ているのだが、それを扱う人には、そのような遠慮や躊躇は全く無い。当然といえば当然だが、なんでもすぐに可愛そうと言うフィリピン人の目にも、その時の豚は、生き物ではなく、食べ物・商品としか映っていないようである。


こうしてみると、実に自然が身近に感じる。
自然の中で暮らしている、もしくは自然と共に生活しているという感じがする。

様々な植物が生い茂り、食べられる物はそこからも収穫される。ボテキや蛇が身近に存在し、そして普段何気に食べている鶏や豚がすぐそこで飼われている。食べる物が無くなれば、それらは売らずに殺して食べてしまう。
そこら中で何匹も犬が飼われていて、そのほとんどが放し飼いになっている。畜産地区でもないのに、家の裏には牛やカラバオが飼われていて、散歩をしている。
やぶ蚊の攻撃は当たり前で、ハエやゴキブリなどは気にも留めない。さすがにダンボールの中に、4匹のねずみを発見した時には大騒ぎになったが、それも珍しいことではない。
家の前の狭い庭を、大きなねずみが走り回っている姿を見かけることもよくある。

こんな生活が染み付いているフィリピーナが日本へ行って生活をしたら、それが田舎の町だったとしても、日本は綺麗で近代的な国だと思うのは当たり前であることに気付く。
初めて日本を訪れたフィリピーナにとって、体験する何もかもが目新しく新鮮で、それらに素直に驚き喜ぶのは当然である。

こんな生活であるから、フィリピンの田舎で暮らしていると、生きている、暮らしているということを実感する。
人工的なものが少なく、生活の知恵が数多く存在する。
傷や病気に効くと言われる薬草を取ってきて使ったり、必要なものをすぐに手作りで用意する。
日本では生かされている、振り回されていると感じるが、ここでは主体的に生きていると感じる。主体的だから疲れない。

僕が汗を流して走り回っていたある日、モナが訊いた。
「マハール、疲れた?」
「いや、全然疲れないよ。フィリピンに来てから、全く疲れないなぁ。たくさん食べて、よく寝てるからじゃないかな」
「日本から来たときより、イカウ若くなってるからなぁ。今、若く見えるよ」
「そう?今は何歳に見える?」
「ふ〜ん、そうねぇ、34歳!」
「よく食べてよく寝て、あとはよくやれば、もっと若くなるかな?」
「バカ、何いってる!でも早くやりたいなぁ・・・」
「はぁ・・・」

夜の夫婦生活は、ドクターの許可が出るまでもうしばらくお預けである。

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カテゴリー:フィリピン生活
エントリー:38.なぜか疲れない
2009年12月02日

37.月と星と蟻

最近よく眺めているものが3つある。それは月と星と蟻である。
月は、ママが引越しは満月の夜でなければならないという話から、毎日月の満ち欠けを見るようになった。月が大きく欠けているときには、あ〜、引越しはまだまだ遠いなぁなどと考えながら、夜空を見上げていたのである。しかし毎日月を見ていると、月の満ち欠けの周期が意外と早いことに気が付いた。ついこのあいだまで、細い三日月だと思っていたのに、今日(12/1)は満月である。ようやく満月になったのに、カレンダーは引越しに最悪と言われる12月に突入という具合である。
そして月は約30日周期で形が変わることがわかった。ついでに新月と呼ばれる月は、月の明るい部分が全く見えなくなるということも知ることになった。つまり新月の時には、晴れた夜空を見上げてもどこにも月が見えない日があるということだ。もしかしたらうっすらと影のように見えるのかもしれない。いずれにしても果たしてそんな日があったのか、46年も生きてきてまったく覚えがない。
今日満月ということは、あと15日でその新月になる。約30日周期で満月になるのだから、ちょうどその反対の時に全てが暗くなるのが、15日後にやってくるはずだ。
12月の中ほどに、この新月をしっかりと確認しようと今から思っている。


そして月を観察するようになってから、ついでに星に興味を持つようになった。
これまで星を見ることはあっても、星座に興味を持つことなどなかったが、ふと日本とフィリピンでは見える星が違うのではないかと思うようになった。
ジャマイカでは、町の余計な明かりがないから、星がよく見える。特に西の空にひときわ輝く星や、東の空に3つ縦に連なる星が一体なに星なのか気になりだした。気になりだすと、どうにも知りたくなる性分であるから、インターネットでしきりに調べた。
そして西の星はエリス、東の空の3連星はオリオンの一部だとわかった。エリスは確か、誰かの歌に出てきたような気がする。
フィリピンの船乗りは、進路方向を見極める際にコンパスなど使わないとダディーに聞いた。星座名はわからないが、あの3連星、すなわちオリオン座がある方が東だということを、船乗りはみんな知っているということだった。

毎日星を眺める僕を見て、ダディーが僕に言った。
「マーク、望遠鏡を買って観察したらいいよ」
「そうですね。生活が安定してから考えますよ。(天体)望遠鏡は高いですから」
「ん?そうか?そんなに高くないだろ」
「日本ではちょっといい(天体)望遠鏡は5万ペソ(10万円)くらいしますよ」
「あ〜、それは3脚がついて、星を覗くときに下を向いて見るタイプだな」と、ダディーは腰をかがめて、親指と人差し指で作った丸い輪を両目にあてて地面に顔を向けながら話した。
「それはフィリピンでも高いよ。俺が話している望遠鏡は、こんなやつだよ」
と、ダディーは映画の中の海賊が使う、伸縮タイプの望遠鏡を覗く仕草をしながら話した。
「あ〜、それですか?それで星がよく見えるかなぁ」
「オーオー、イナッフ(十分)だ」
「そ、そうですか・・・(^_^;A )

残念ながら最近は天気が悪くて、星がよく見えない。11月後半から12月は雨が多いそうである。もしかしたら日本と同じで、冬は雲が多いのかもしれない。日本は寒いから雪が降り、フィリピンは暑いから雨になる違いだけなのだろうか。気象学者は違うと言いそうだが、感覚的にはそう考えると納得できてしまう。
ジャマイカに引越しをしたら、安物で良いから天体望遠鏡と、パソコンの正座資料を屋上で見比べながら、もっと良く調べてみたいと思っている。


古い家の奥に台所があり、そのすぐ脇に、小さな土間がある。その土間は小さな裏口に繋がっている。扉を開けると、牧草地帯が目の前に広がる。その広場には、カラバウやバカがのんびりと草を食べながら、くつろいでいる。
僕はその景色を見ながら、白いプラスティックの小さな椅子に腰をかけて、のんびりとタバコを吸うのが好きだ。コーヒーを持ってそこでくつろぐこともある。
小さな白い椅子は幅が狭く、座るとお尻がはまってしまうために、立ち上がると椅子がけつにくっついてくる。決して座り心地の良いものではないが、狭い家の隠れ家のような場所で、涼しい風を受けながらのんびりとするには、もってこいの場所だ。

そこでくつろいでいると、地面に小さくて赤っぽい蟻が、無数に歩き回っていることに気付く。家の中でも、蟻が当たり前のように徘徊しているのだから、外に蟻がたくさんいても不思議はないのだが、その蟻の行動をジィーっと見ていると、中々面白い。
一つは、せっせと餌を運ぶ蟻をトレースしていると、蟻の巣の入り口がわかるようになってくる。数箇所あるのだが、今ではそのほとんどが頭に入っている。
モナに「蟻のバハイ(家)のエントランスがどこにあるか、知ってる?」と聞いてみたが、「わからない」と期待通りの答えが返ってきた。僕は自慢げに、実はあそこやここ、そしてこんなところにエントランスがあるんだと、自慢げに教えた。
そんな風に説明する僕に、モナは「イカウ、なにやってる?」と不思議そうに僕を見ながら笑っている。

しかし僕の蟻講義は、エントランスの場所の話ではないのである。それはあくまでも導入に過ぎない。
「まあまあ、よく聞いて。見てると面白いよ。餌を置くと蟻がバハイに運び始めるんだけど、自分より大きな餌は、蟻が3匹や4匹で協力して運ぶんだ。どこにそんなことを考える脳みそがあるんだろうね」

ここでモナが少し興味を示し始めた。テーブルの上に乗っていたパンを持ってきて、細切れにしながらばら撒き、そこでジィーっ蟻を観察し始めた。

「あ、ほんとだ。蟻がたくさん餌を運んでる。イカウすごいなぁ。よくわかったなぁ」
いやいや、蟻が餌を巣穴に運ぶのは至極当然のことであり、それを発見したからと言ってまったくすごいことではないんだよ、そんな風に言われると照れるじゃないかぁ・・なんて思いながら、僕は更に講義を進める。

「こんなにたくさん蟻がいるけれど、実は働く蟻は少ししかいないんだよ。有名な学者が、毎日こうやって蟻を観察して発見したんだって。働き蟻2・6・2の法則っていうんだけど、一生懸命働くありは20%しかいない。普通に働く蟻は60%、残りの20%は全然働かないらしいよ」
「え〜、タラガァ〜(ほんとう)?」モナの目は疑いに満ちている。
「オーオー、よく見てみなよ、あなたが餌をばら撒いても、見向きもしない蟻がいるでしょ。でも働く蟻は、すぐにそれをバハイに持っていくよ。ほら、この辺でぶらぶらしているのは、20%の怠け者だな。こっちは20%の働き者。あなた働き者が好きでしょ!」
「オーオー、ナマケモノは嫌いだよ。だってアコ大変なるもん」
「これをずっと観察していると、60%の普通の蟻もわかるようになるらしい。だから僕はいつも見てるんだよ」

そして講義の締めくくりはこうである。
「ここからよく働く20%の蟻と60%の普通の蟻をどこかへ連れて行っちゃうと、どうなると思う?」
「そしたらナマケモノの蟻だけになって、バハイは食べ物が少なくなるから大変になるでしょ」
「違うんだよ。その有名な先生が言うには、もし20%の良く働く蟻と、更に60%の普通の蟻をそこから取り除いても、今まで働かなかった20%の蟻の中で、また20%の良く働く蟻と、60%の普通の蟻と、20%の働かない蟻に分かれるらしい」
「タラガァ〜???」ますます目に疑いの色を強めながらモナが言った。
「だからそれを確かめたいんだよ。どうすればいいかなぁ・・。この法則は人間も同じだよ。よく働く人は20%しかいない。その20%の人が世の中を引っ張っている。そう思うと、怠け者を見ても腹が立たなくなるよ」
「マハール、それ違うよ。フィリピンはナマケモノがもっと多いよ」

「はあ、そうですか」と言いながらも、僕は違うと思っている。

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エントリー:37.月と星と蟻

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