フィリピーナと共に
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フィリピン生活:カテゴリの記事一覧です。

2013年03月24日

672.アイラブユー

 先日ある方のコメントに対し、大変失礼な返事をしてしまった。少々いらいらしていることもあったが、迷いながら内容を書き変え冷静に書いたものでもある。
 その僕の返事に同調する内容のコメントがいくつか寄せられた。それらの文体は丁寧だが、内容は最初にコメントを下さった御本人への意見であり、その方を糾弾するようなサイトのURLを貼りつけたものもあった。
 これらを公開するか少し迷ったが、それらのコメントは差出人の名前がなかったので公開を差し控えさせて頂くことにした。(操作ミスで一分間だけ公開してしまったがすぐに削除)コメントをくれた方には申し訳ないと思うが、それを公開しその話題で盛り上がることは自分の主旨に反することで、自分のコメントレスは自分の感じたままを自分の気持ちとして返事を出させて頂いたものであったため、どうかご理解、ご容赦願いたい。
 また僕のコメントレスに更に御本人から丁寧な再コメントを頂いた。僕はその内容を読み、まるで怒ることなく冷静に返事を頂いたことに感謝をしつつ、自分はその方を少し誤解しているのかもしれないという反省をし、御本人の直接の人物像を一切知らず文面の判断だけで書いた自分の浅はかな前回のコメントレスを恥ずかしく思った。
 しかし実はその御本人の再コメントも、僕は封印させて頂いた。なぜならそこに、更に墓穴を掘るような内容がちりばめられていたからである。頂いた再コメントの書き方は前述したように自分の反省を促す雰囲気はあったが、内容については半分理解できて半分は理解できず、更に自分が指摘した内容への答えもなかった。しかし内容はともかくそのような対応の仕方に、普段のその方のコメントスタイルというものは単なるその方独特の癖があるだけで、特別な意図はないのかもしれないという印象だった。
 これをお読みなっているそれぞれの方々は自分のことだと理解できるはずだが、僕がこれらのコメントを封印させて頂いた背景に怒りや呆れのような感情は一切なく、また発端となった方の冷静な再コメントにはある意味感服しながらも、更に波紋が広がりそうな予感に封印させて頂いたのである。それぞれ個人メールアドレスが分かればそのような自分の気持ちを個別に説明したいところだが、それがかなわないのでここで述べさせて頂いた。

 最近のフィリピン関係ブログ界は誹謗・中傷が目立ち、魑魅魍魎化している側面がある。そのような話題が立ち上がるにはそれなりの背景や理由があるのだろうが、攻撃対象が分かる形で匿名の方々が好き放題言う姿に、僕にはその方々に大人としての良識があるのだろうかと疑いたくなるものもある。さりとてインターネットという仮想世界を手にした人々が自由に集える世界では、人間の嫌らしさが露呈することも仕方ないことでそのことを強く糾弾するわけではないが、少なくとも自分はそこに加担する立場を取りたくないというのが正直な気持ちだ。
 せめて何かしら意見を述べるなら自分のブログ上でするかハンドルネームを明らかにし、一方通行にならないように行いたい。匿名の一方通行意見は自分に跳ね返ることがないため、内容が無責任になってしまうからである。意見の所在を明らかにすればそれは自分に跳ね返ることになり慎重さも増すと思われる。実際自分は過激(勝手に思っている場合も多々あるが)なことを書いた時にそれを投稿する場合、どきどきしながらポチっとパソコン上のボタンを押す場合も少なくない。自分の意見を強く押し出す場合は、いくらハンドルネームを使用しているとは言え勇気が要るものである。基本的に面と向かって言えない内容は本来インターネット上でも言ってはならないことが多く、自分の胸にしまっておく方が良いと思われる。壁の片手をつけ、猿でもできる反省をしている最中だ。

 とかく偉そうなことを言いながら、実際は大人げない自分である。フィリピンにいる時に、僕はギョウちゃんから自分のそのようなところでよくお叱りを受けていたから、自分でそれをよく自覚している。
 冒頭で少々イライラしていたことを書いたが、そのイライラの原因はモナとの喧嘩だった。喧嘩の原因を告白するとますます自分の馬鹿さ加減を露呈することになるが、人様の騒動や内情が面白いとおっしゃる方も大勢いるので、恥を忍んでここに述べることにする。

 先週から日本人設計者が我が家に宿泊している。僕を雇っている会社が呼んだ人間ではなく僕が日本から呼び寄せた人間で、費用節約のためホテル代わりに自分の住まいの一部を提供した。通算でほんの三日間だけであるから、来て頂いた方の了承ももらいそうさせてもらったのだ。もちろん設計者は男性で、年齢も自分に近く普段から話も合う方なので、居候してもお互い苦にならない。
 彼には大変なお願いをして来てもらった。僕は彼に日本から一度ペナンに来てもらい、ここで半日打ち合わせをした後インドに飛び、インドから再びペナンに戻り打ち合わせ後日本に帰るというハードスケジュールをお願いしたのである。現在の仕事の最終顧客がインドの会社で、彼はこの顧客に差し向けた僕の刺客である。とにかく無理難題をふっかけてくる顧客で、こちらの進捗を説明しながらできることとできないことについてしっかり釘をさしておきたかった。彼にはタイトな日程で設計もやってもらっているため、本来はスケジュールに余裕がないのだが、無理を押してのミーティング設定である。

 彼が深夜便(日本発深夜、ペナン着午前中)を使いペナンに到着したその日、オフィスで夜八時頃まで打ち合わせを行い、その後二人で夕食をとり部屋に戻った。部屋に戻ってからも仕事上の話が続き、気付いたら夜の十時半を過ぎていたが、その頃モナから電話がかかってきた。僕は彼女に日本人がやってくることを伝えていたが、当日遅くなるまで彼女に連絡することを忘れていたので、彼のいる前でモナに部屋に戻っていることを伝えるため電話を入れたのだ。
 連絡が遅くなったことを詫び、必要最低限の要件を伝えて電話を切ったところ、すぐにモナから電話がかかってきた。それは、なぜアイラブユーを言わないかという苦情の電話だった。こちらは時間がない中で少しでも仕事の話を詰めようとしている最中であり、その彼の前でそんな言葉を言うのが憚られたので、簡単に事情を話し今はそれを口にできないと僕は伝えた。すると彼女はいじけて電話を切った。電話を切った後に、更に激しい文句のメッセージが入った。自分は遅くまで心配して連絡を待っていたのになぜそれほど冷たいのか、アイラブユーと言うのが恥ずかしいか、私はそんな奥さんなのか、もう二度とこの言葉を使わないという内容だった。
 打ち合わせ中にうるさいことを言ってくると頭にきた僕は、彼との話が終了した後このメッセージに返事をした。
「日本人はアイラブユーという言葉を普段使わない。そのような文化が身体に染み付いている。これはあなたに何度も話している。いつも言わないわけでなく普段はきちんと言っている。しかし言えない時もある。なぜそれが分からないのか。これ以上しつこく文句を言うならこちらも本当に怒る」
 おそらく僕が電話口で突然アイラブユーなどと言ったら、日本から来ている設計者は驚いて引いてしまうだろう。しかも深夜便で来て疲れているところに打ち合わせをしている最中だから、浮かれた印象を持たれる言葉を電話口で言うのは彼に失礼である。彼は生粋の日本人で外国人パブとも無縁の人間だから、おそらく海外のこのような文化を理解できない。
 しかし彼女は僕のそのメッセージに、また激しい怒りのメッセージを送りつけてきた。僕はそれに本当にムッとし、もう話したくないと返信し彼女のメッセージをしばらく無視することにした。

 翌朝彼女から謝りのメッセージが届いたが、話をする気分でなかった僕はそれを無視した。更に半日日本人設計者と細かい詰めを行い、彼は一旦インドに飛び立った。その間モナから何度かメッセージが届いたが、こちらは返信する間もないくらい懸案事項の確認や書類作りに追われ、それどころではなかった。本当に時間が足りないのである。実際に昼食時間を削ってそれらの作業を行った。
 モナから「私は一度謝っているのになぜ無視するのか。子供じゃないのだから、言いたいことがあれば話せばいいでしょう」とメッセージが届いたが、彼女の言葉がエスカレートするほど僕は子供になろうと思い始めていた。
 モナとの間でこのアイラブユーを言う、言わないについてこのような言い争いになるのは、初めてのことではない。これまで彼女との間に何度もあり、その度に僕は言えない状況にあったことを説明し、日本人の僕には言えない時には言えないのだと伝えてきたことだ。それをきっちり分かってもらうには、こちらも簡単には折れることができない。返事をしばらく保留し少し懲らしめてやろうと思っていたが、そろそろいいでしょうと印籠を出せば済むような手段を持ち合わせていない僕は、この事態にどうやって落ちを付けたらよいのか分からない状態にもなっていた。

 多くの方から反論されることを承知で言えば、そもそも僕はこのアイラブユーという言葉を口にすることに抵抗がある。僕にはそれを言えば言うほど本当の愛が薄れるというか、そもそも愛とは口にしなければ伝わらないものか? という考えがあるのだ。口に出さなければ伝わらない愛など、本当の愛と言えるのか? と言い換えてもよい。
 このことも以前モナに話したことである。口でアイラブユーを飽きるくらい繰り返しながら、家でごろごろし奥さんに働かせ家族の生活費などまるで念頭にない男と、アイラブユーを口にしなくても家庭の状況を見ながら家族のことをしっかり考え、家族が困らないように働く男とどちらに本当の愛があるのか。普段から発生する心配ごとに率先して動く男の方がずっと愛が深いだろう。そのような本物の愛を見極めなさいということを、僕はモナに言ってきたつもりだ。この話にモナは後者に愛があると断言したし、前者はフィリピン人スタイルで後者は日本人スタイルだと理解を示すことも言った。
 そして結婚当初僕のモナに対する愛を疑っていたモナは、数年間の僕の家族に対する態度からその疑いや心配を払拭させ、僕のことを本当に信じてくれるようになった。それも彼女の口から言葉として聞いている。しかるになぜまだその言葉一つに執拗にこだわるのか、僕は理解に苦しむのである。イベント化しているアイラブユーの言い合いなど不要だと思っているにも関わらず、僕は普段一人の時はいつもこの言葉を彼女に返している。だからそのような言葉を返せない状況がある時には、それを彼女に理解して欲しいのだ。

 結局この喧嘩、ベルが熱を出したというメッセージが届いたことで幕を閉じた。そんな内容を無視できるほど僕も子供にはなれなかった。ベルの熱は風邪が原因のようで今のところあまり心配をしていないが、一時は四十度を超えていたので血液検査の結果を確認しないと安心できない。フィリピンはデンゲなど命に直結する高熱症状も考えられるからである。
 このアイラブユー、僕は歯が抜けて腰が曲がっても、言い続けることになるのだろか。白髪や皺が増えたモナに向かってアイラブユーと言う自分が、どうしても想像できない。



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カテゴリー:フィリピン生活
エントリー:672.アイラブユー
2013年03月17日

671.ありがとう

 金曜日の夜、マレーシア人の友人が食事に誘ってくれた。時々社有車であるレクサスの高級車で迎えに来てくれるが、この友人にはあるポリシーがある。それは日本人の僕を食事に連れ出す場合、日本人にとって珍しくも何ともない和食や高級レストランに行くのではなく、できるだけマレーシアの食文化を堪能できる店を選択すべきということだ。
 これまで一緒に行った店はいずれもそのような場所で、金曜日も乗り心地抜群の静かな車で屋台が並ぶ場所へと案内された。飲み物が出てきた時に、コップに泥がついていた。なりふりは構わず安さと気軽さと味で勝負という場所である。
 そこで食べたものは不思議な焼きそば(麺が少しで正体不明のどろどろしたものがごちゃまぜになっている)、中国福建ラーメン、そして僕の好物のカレーミー(カレーヌードル)。えいっと一旦口に入れてしまえばこれが結構美味しくて食が進む。フィリピンのトロトロは食べる気が起きないのに加え食べても美味しくなかったりするが、マレーシアのトロトロに相当する屋台は値段が一料理百円を切っても味は良い。おかげで食い過ぎた。
 部屋に戻ってから僕はきっともよおすだろうと予想していたが、二時間経過してもまるで何事も起こらない。僕の腹は結構反応が早いので、きっとかなり抗体ができてしまったのだろうと思っていたら、それが深夜にやって来た。随分遅かったじゃないかとトイレに行くと、まるで水のようなゲーリー大佐。腹痛はさほど無く、このパターンは何かの菌にお腹が負けてしまった症状である。待ち人がようやくやってきた時のような嬉しさと、しかしこれは喜ぶ事態ではないだろうという複雑な心境で出るものを全て出し切ったらすっきりした。やはり僕は、屋台に挑むにはまだまだ修行が足りないようだ。
 しかし繰り返すが味はよいのである。安い物でも美味しく食べられるのが、このマレーシアのよいところだ。当たって怖いのは、ネズミの尿である。ネズミの尿が付着した食器の利用や食材を食べると死に直結するほど恐ろしい症状を引き起こす。しかしこれは気をつけようがない。気にしたら高級店ですら、何も食べられないことになる。唯一僕が確認するのは、料理にしっかり火が通っているか、それだけとなる。

 ゲーリー大佐がやってきた頃、僕は必死にある調べ物をしていた。それはどうやってマレーシアからフィリピンにお金を送るかである。現在就労VISA待ちで、僕はマレーシアに自分の銀行口座を開けていない。そもそもVISAの無い自分がマレーシアのリンギットを国外に送金するのは、本来おかしな話である。もっとも日本からマレーシアに引いたお金を国外へ送金するのであれば問題ないはずだが、証拠を見せろと言われたらアウトとなる。よって銀行という行政と直結していそうなところからの送金は、現時点でできるだけ避けたいという事情がある。マレーシアは税金徴収に結構厳しく、数年経過して忘れた頃にずるをしていた分を請求されることも珍しくないそうだ。(VISAが取れたら勿論きちんと税金を払う。現在は仮の税金額を引いてもらっている。その分は後払いになるのだろうか?)

 銀行以外の送金はいくつか手段がある。ここペナンには有名な送金会社ウエスタンユニオンも山ほどあるが、その全ての窓口業務を銀行がやっている。銀行は土日に休みなので、平日出歩けない僕は送金できない。
 よって現在、フィリピンの家族の生活費はとりあえず日本の口座からインターネットバンキングで送っている。しかし円が過激なほど安くなってしまった今、フィリピンの生活費は極力マレーシアから送りたい。僕は長期的に一ドル五十円近辺までいくという自分の予測を未だ信じているが(ドルの破たんも含めて)、とにかくしばらくは円安傾向が続きそうだから円は日本に据え置いて、フィリピンにはマレーシアのリンギットを送金したい。よってインターネットで銀行以外のウエスタンユニオン窓口はないかと検索してみたが、これが中々見つからないのだ。地元の人間にも、ウエスタンユニオンの独自窓口は見たことがないと言われている。
 ところが嵐のようにやってきたゲーリー大佐騒動が一段落つくと、パソコン画面の中に突然一つの鉱脈が浮かび上がった。それは土曜日もやっている郵便局(午前中だけ)に、ウエスタンユニオンの窓口があるというものだった。
 これだ! とすぐに場所を確かめ、昨日は昼前に郵便局に行ってみた。すると確かに郵便局はやっていた。しかしその窓口で、ウエスタンユニオン送金を土日はやっていないと言われてしまった。今度こそと意気込んで郵便局に突入した僕は、その場にへたり込んでしまいそうになるほど途方にくれた。その様子を可哀そうだと思ったのか、郵便局窓口のおばちゃんが僕に、銀行以外のウエスタンユニオン窓口を教えてくれたのだ。知っているならすぐに言ってくれたらよいが、おばちゃんは僕がとぼとぼと出口に向かうその背中に声をかけてくれたのだから、タイミングが異常に遅い。
 すっきりした顔つきでオフィスを出ようとしたら、もしかして教えてくれなかった?
 考えようによっては、噂通り不親切な人たちかもしれない。余計なことは一切言わずやらずで極力効率的な生き方を目指している人たちだから、タイミングは遅かったが教えてくれただけ奇蹟だったのかもしれない。

 さて僕は、郵便局前のバスストップから教えてもらったウエスタンユニオンの窓口を目指すことにした。まずはその辺を歩く人をつかまえて、教えてもらった場所であるブキジャンブルに行くには何番のバスに乗ればいいのかを尋ねた。その人は親切に、302、307、401Eという三つのナンバーを教えてくれた。
 できるだけ日差しを避けて、僕はバスを待った。こちらのバスは、バス停で乗りたいバスが来た時に手を横に出して振らないと止まってくれない。そしてバスの本数はそれほど多くないのか、やってこない時には延々と待たされることになる。マレーシアはそろそろ真夏で、昼には自分の影がほぼ真下にできるほど日光が垂直に近い状態で届くからとにかく暑い。
 ようやく遠方にバスが見えた。さてあのバスは僕のお目当てのバスだろうか。ここで僕は、ある重大な問題に気付くことになった。バスのナンバーがよく見えないのだ。五メートルほどの距離になってようやく見えたナンバーはお目当ての302だったが、僕が手を上げた時にバスは停車の準備をしていないせいで、そのままの速度で僕の前を通り過ぎた。炎天下の中を二十分ほど待ってようやく出会えたバスだったのに、ああ無情。バス停にバス待ちに人がいたら少しは減速して様子を見てくれてもよいのだが、普段から究極的効率を求めた生き方を地でやっている方々に、そのような期待をする方が間違いというものだった。
 それではどうすればいいか。双眼鏡を持っていない自分が無性に悔しい。少し考えて、次は数字が確認できなくてもとにかく手を上げてバスを止めよう、もし間違いだったら「ごめんごめん」というそぶりでバスをやり過ごせばよい、異常なほど目のよいマレーシア人(フィリピン人も同じで目がよい)と同じやり方をしていたのでは、僕はバスの運行時間終了までバスに乗れないだろう。来たらとにかく手を上げる。そう決めて更に十五分待った。もうTシャツは汗でぐっしょり濡れている。
 はるか遠くにバスが見えたので、僕は顔に愛想笑顔まで浮かべ、とにかく元気に手を振った(ばか丸出し)。
 停車してくれたバスは401Eという目的地を通るバスだった。ドライバーにブキジャンブルと行き先を告げると、1.4リンギット(45円)と言われた。
「釣りはあるか?」に当然ないという答え。僕は料金ボックスに2リンギット(60円)を入れた。

 バスに乗って落ち着いてから、鞄の中に結構な大金が入っていることに気付いた。日本人のバス乗車が珍しいのか周囲の人にじろじろと見られるが、みんなが僕の鞄の中身を透視しているように感じられた。よく見ると、金髪の若い女性もバスの中ほどに乗っている。外国人は僕だけではなさそうだ。
 動き出したバスの中には、日本のように停留所前で次はどこどこなんてアナウンスはない。降りたい場所で何かの意思表示をしなければならないようだ。しかし降りたい場所は地名しか知らないから、実際にどこで降りたらよいのか分からない。降りたい時には車内のボタンを押せばよいみたいだ。

 十五分ほど走った頃、車内に停車を意味する音が鳴り響き、運転席上の表示板に「次は停車する」旨が表示された。バスが停車すると、随分多くの人がぞろぞろ降車した。
「もしかしてここがブキジャンブル?」
 運転手に尋ねるとそうだと言われ、僕も慌ててバスを降りた。
 ウエスタンユニオンは郵便局で教えられた通り、バス停のすぐ近くにあった。あとは就労VISAがなくても送金できるかどうかである。僕はおそるおそる窓口で、今日フィリピンに送金できるかと訊いた。
「できますよ。利用は初めて?」
 初めてだと言うと、窓口の向こうのお兄さんが一枚の紙を渡してくれ、それに必要事項を書き込んでくれと言ってきた。身分証明として持参したパスポートを出して、IDはこれだけでいいかと言うと相手が無言で頷きこれでようやく一安心。VISAの提示は不要のようだ。
 間違いのないよう、僕は申し込み用紙に丁寧に必要事項を書き込んだ。海外のパーマネントアドレス(定住住所)の欄で一瞬どこを書くか迷ったが、フィリピンの住所を書き込んだ。日本の宝くじ売り場のような窓口だから、書類を書き込んでいるだけでバスの冷房で一度引いた汗が再び自分の背中をつたっている。
 全て埋め尽くして書類をお兄さんに返すと、彼はパソコンに情報を入力し、僕のマレーシア住所を確認してきた。感じの良い対応で、こちらも安心感がある。
 レートが悪く、フィリピンで受け取るペソ金額を考えその場で送金金額を追加した。そして手続きが終了し、フィリピンでもうお金を受け取ることができるとお兄さんが教えてくれた。リアルタイムに送金ができるようだ。

 しばらく心に引っかかっていた送金問題が片付き、僕は晴れやかな気持ちですぐモナに連絡を入れた。彼女はベルとユリを連れ、公文塾にいた。フィリピンでの受け取り情報(PIN)をモナに伝えると、彼女はありがとうと言った。お金を送った時に彼女は、必ず感謝の気持ちを「ありがとう」という日本語で僕に伝えてくれる。これまで何度もお金を送り、日本語のありがとうを聞かなかったことはない。ある意味僕が彼女たちの生活費を送るのは当然だから、当然という態度に出てもおかしくはないかもしれないが、とにかく彼女はきちんと感謝の気持ちを伝えてくるし、僕にその気持ちがしっかり届く。モナの「ありがとう」は、いつもそんな言い方だ。
 この「ありがとう」という言葉を僕は素直に嬉しく感じ、またがんばれる。

 それにしても大冒険をやり遂げた気分だった。僕は再度バスに乗ってかつて住んでいた場所にあった大きなモールへと向かった。いつものスターバックスで、少しのんびりしたい気分だったからだ。バス料金を1.4リンギットと言われ、再び2リンギットを運賃箱に入れた。タクシーで移動すると15リンギット(450円)の距離だから、バスはとても安い。
 一仕事やり遂げた後のコーヒーは、格別に美味かった。
 夕方お金を受け取ったモナが、予定受け取り金額より1000ペソ以上も多くきたと言った。レートが変更になっているらしい。どうりでレートが悪かったわけだ。とくにかく一度送ってみるのが大事だと、レートを無視して送金したのが良かった。
 それを聞いた時僕はもう自宅にいて、再びゲーリー大佐と闘っている最中だった。



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カテゴリー:フィリピン生活
エントリー:671.ありがとう
2013年03月16日

670.危険がいっぱい

 マレーシアの行政区画(州)の一つにボルネオ島サバ州という場所がある。サバ州には世界遺産に登録されたキナバル国立公園があり、観光地として有名な場所だ。
 この州、最近ある事件で更に有名になった。日本外務省の渡航情報でも注意喚起されているが、外国人武装勢力(テロリスト集団)が海岸から違法上陸し、サバ州のタンダオ村を占拠してしまったのである。これに対し地元のサバ州警察が武装集団に退去勧告をしていたが、不法侵入者は勧告に応じず銃撃戦となり、武装勢力側とマレーシア警察側双方に負傷者・死者が出てしまった。
 怒ったマレーシア政府はこれにマレーシア空軍を出動させ、海外武装勢力のベースとなっている場所に戦闘機からミサイルをぶち込んだ。このような状況について日本の報道では少々濁して書かれているが、これは地元の人間に直接聞いた話である。それにより相当死傷者が出たようだが、テロ主導者を含む数十名が行方をくらまし、現在マレーシア政府が行方を捜索中であるとのこと。

 さて問題は、この海外武装勢力がフィリピン人ということだ。ボルネオ島北部にあるサバ州とフィリピンミンダナオ島の西部は直線距離で600Km〜700Kmくらいだろうか。ミンダナオ西部からボルネオ島に繋がる島にはイスラム原理主義の過激集団が大勢いて、その周辺に不用意に近づき人質の身となっている外人も未だ多くいる危険地帯だ。武装集団がこの島々のどこからか出かけたとすれば、サバ州との距離はもっと近いことになる。フィリピン政府も一応マレーシア政府の相談(苦情?)に呼応し武装集団に退去命令を出したらしいが、まるで無視され結局は大掛かりな戦闘に発展してしまった。
 このような事態を背景に、サバ州で働くフィリピン人には全員帰国命令が出て実際にフィリピンに返されたようだ。そろそろ僕が何を心配しているのかお気付きの人もいるかもしれない。
 そう、近いうちにモナが子供を連れてこのマレーシアにやってくるが、この事件がきっかけでフィリピン人のマレーシア入国が一層厳しくなっていないか、僕はそれを心配しているのである。マレーシア国内のフィリピン人で帰国命令が出たのは今のところサバ州で働く人だけのようだが、モナにはフィリピン国内のマレーシア大使館に電話をして状況を確認してくれとお願いした。身元が明確で不法就労の疑いがなければ基本的に問題ないはずだと信じたいが、海外に出かけるとなれば何かと心配の多いフィリピン人である。この事件を知る前からモナにはマレーシア入国に問題が無いようインビテーションを用意しておこうと思っていたくらいだから、この事件が僕の心配に余計拍車をかけることになった。ユリが日本のパスポートを所持していること、そしてユリとモナのパスポートに記載されたファミリーネームが同じことが少し救いだ。彼女たちが日本人の家族であることの証明に繋がるからだ。しかしそれでも彼女たちがイミグレーションを無事通過するまで、小心者の僕は心配している。

 日本で暮らす日本人にはまるで別世界のような出来事でも、こちらには身近に降りかかる災難になり得る出来事である。一刻も早くこの事件が解決し、マレーシア人の心に平和が訪れることを祈らずにはいられない。もしかしたらフィリピンから度々マレーシアに入国している自分も、既に秘密警察のような人たちにマークされているかも。
 明日から街を歩く際、かなりの不審人物に見られることを承知で誰かに後を付けられていないか不意に周囲を見渡すようにしなければならない。とりあえず部屋の中に盗聴器らしきものはないようだ。さすがに僕までマークするほどマレーシア警察も暇ではないか(笑)。

 ちなみにペナンの人々の生活は、ごくごく普通で平和である。マレーシア空軍戦闘機(ミグらしい。僕も一度実際に見た)が国内でミサイルを発射したことなど、まるで隣の国の出来事のような雰囲気だ。もともとペナンくらい田舎で観光地ともなると、クアラルンプールに比べ治安は悪くなくのどかな空気が漂っている。クアラルンプールも一見治安は日本と同じくらいよく見えるが、場所によって夜の外出は相当気を付ける必要があるらしい。
 これも地元の人間に聞いた話だが、こちらの行きずり強盗が恐ろしいのは、彼らは刃物や銃器を突き付けホールドアップを通告するのではなく、いきなり首筋をスパッと切りつけ、金品を奪う人間を動けないようにしてからゆっくり物盗りをするそうだ。ペナンではそれほど危険な人間は少ないが、夜の外出は念のため気を付けるように言われた。
 このような話を聞くと、夜にすれ違う人間はみな怪しい人に見えてくる。特に色の黒いインド人は夜に白目が目立ち表情も分かりづらく不気味だ。目つきの悪い中国人は男も女も近づいてきたら身の危険を感じる。
 実際に身の危険を感じて危ない目に遭ったことは一度もないからおそらく考え過ぎだろうが、夜は周囲に気を配るに越したことはない。

 危険と言えば最近、引っ越したコンドミニアムの周囲に怪しいバーを四つ発見した。いずれも僕の部屋から歩いて二〜三分という至近距離にある。内二つは近くを通ると店内から大音量で男女のデュエットが聞こえてくる。つまり女性が隣に座る店のようだ。地元の人間に車でおくってもらった際、僕は運転する友人に店の前を通りかかった時訊いてみた。
「ここに四つのバーがあるからよく見て欲しい。それで危険な店かどうかを教えて」
 彼は外見で、僕が怪しいと思った二つの店を危険だと言った。僕は自分の第六感が正しかったことを少し嬉しく感じながら更に訊いてみた。
「危険かどうか、どうやって分かるの?」
「ドアを見ればだいたい中が想像できる。最初の二つは入り口がオープンか中がよく見えるけれど、後の二つは中が全然見えないでしょう」
「ところで自分で言っておいてなんだけどさ、あなたの言う危険ってどんな意味?」
「それはフラワー(花)が一杯いて値段が決まっていなくて不健康な店」
「不健康……。どうなれば不健康なの?」
「そう言われると答えが難しい…、うーん、あなたは何をもって危険だと言ってるの?」
 逆に質問された僕は、ちょっと座って一杯お金を請求されるところと答えた。
「たくさんの花がいても明朗会計なら僕にとっては危険でも不健康でもない。むしろ健康的な場所と言ってもいい」
「マークさん……」と彼は僕の名前を言って、運転しながらゲラゲラ笑った。

 友人が言うには、その二つの店の料金は保証できないそう。僕は聞こえてくる歌が日本語だったら入ってみようと思うが、これが中国語だからまだ試していない。別の日にスモークの入ったドアにぴったりおでこをつけて中の様子を探ってみたら、カラオケモニターの画面だけが薄ら見えて中国語の歌詞が画面の下を流れていたから、間違いなく中国語が主流(つまり中国系マレーシア人相手)のカラオケのようだ。もし秘密警察が僕のあとをつけていたら、あいつは一体何をしてるんだと首をかしげたことだろう。
 つまりその店は女性のスタイルが抜群の中国系。そんな中国系の巣窟に日本人がのこのこ一人で入り込んだら、おそらくケツの毛までむしり取られることになる。気にはなるが高いなら止めておこうと思っている。
 海外は危険でいっぱいだ。気になる危険もいっぱいだ。



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