フィリピーナと共に
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フィリピン生活:カテゴリの記事一覧です。

2012年10月06日

605.口出し無用

 言いそびれていたが、僕は九月でとうとう四十九歳になった。つまり大台に「王手」がかかってしまった。くだらない話しだが、この「王手」という漢字をワープロで出すのに、少し時間がかかった。ひらがなで「おおて」と打ち込んでいたためで、ハッと気付いて「おうて」と入れ直してようやく正しい漢字に変換できた。昔将棋をやっていた頃、いつも「おおて!」と勢いよく言っていたが、確かに冷静に考えれば、「おうて」だ。これは老いか、それとも亜熱帯地方病か。いずれにしても原因を明確にするのは怖いから考えないことにするが、最近本格的に脳味噌がふやけて始めているのを感じる。近いうちに脳汁が耳から流れ出すかもしれないから、手遅れになる前に、ブログ原稿や小説を必死に書いておこうなどと思っている。
 とにかく五十歳まで一年を切った。
 一昨日だったか、モナにお尻の肉が少々たるんできたと指摘された。その通りで、実は男性の老いは、意外と尻に来る。
 以前勤めていた会社で、社員旅行で温泉に行った際、一つ歳下で見た目はまだ若々しい後輩の尻を見てそれに気付いた。おそらく七年以上前のことだから、お互い四十歳を超えたばかりだと思うが、その時見た後輩の尻は無残だった。それからというもの、僕は自分の尻のたるみを気にするようになった。当時、年上だった僕の尻は張りがあって、よくセクシーだと言われていたのである。
 誰に? というのは詳しく詮索されたくないが、数年前までモナにもそのように言われていた。その自慢の尻を何とか維持したいと考えていた僕は、たるみが出る前に、そろそろヒップアップの体操などを日頃からしなくてはいけないと思っていた矢先の指摘だったため、実は心が痛かった。つい油断してしまったようだ。まだ鏡に映った自分の尻を怖くて確認していないが、至るところに老いを感じるこの頃。本気で体を鍛えなくてはいけないと思い始めている。
 さて、尻の話しをするつもりではなかったのに、尻にはまってしまったら、何を書こうと思っていたのか忘れてしまった。脳汁がそこまで来ているようだ。

 思い出せなかったらブログをお休みしようと思っていたら、三分程考えて思い出した。
 九月の僕の誕生日、ささやかながらホームパーティーをした。モナの弟のロンは僕と誕生日が一日違いで、ロンの誕生日に合わせて一日早い合同誕生パーティーにした。本来僕は、自分の誕生日パーティーなどしなくてもいいと思っているが、周囲がうるさくて仕方なく開催したパーティーだ。親戚に加え友人が駆け付けてくれたので、それなりに楽しいパーティーになった。
 パーティーで振る舞う料理は、不思議とお祝いされる僕本人が作ることになり、当日は朝から、スパゲッティー用のソースやかつ鍋、ポテトサラダサンドイッチなどを作っていたが、その料理の最中、ママの妹であるエバ叔母さんが、もうじき二歳になる下の子供を抱いて、「死ぬ、死ぬ」とうろたえ始めた。子供を抱いて、部屋の中を行ったり来たりしているのである。ママやモナが気付き、慌ただしく叔母さんに駆け寄ったことで僕も異変に気付いた。
 僕も料理を中断してリビングに行くと、叔母さんに抱かれた子供は意識不明。ぐったりした子供の目は開いているが、ほとんど白眼になっている。僕が見ても、危険だと感じる状態だった。叔母さんは泣きながら、文字通り右往左往するだけだ。慌ててダディのトライシケルで病院に担ぎ込み、緊急入院となって事なきを得た。
 実は僕は、朝からその子供に元気のないことが、薄々気になっていた。しかし母親である叔母さんがずっと付き添い、何事もなく普通にしていたので、気のせいだろうと思っていたのである。よくよく話しを聞けば、ここ数日熱が出て子供の体調が悪く、その日も朝から熱があったそうだ。
 入院して落ち着いてから、それを聞いたママが、なぜもっと早くケアしてあげないのかと、怒りを顕わにしていた。熱が上がった直接の原因は肺炎だったが、ぐったりとして視線が変になるのは初めてではないらしく、もともと何か病気を持っている可能性がある。以前から体の弱い子供で、これで入院は四回目ではないか。体が弱いのはおそらく日頃の栄養不足で、それが分かるくらい手足が細く体が小さい。

 子供は三歳くらいまで、脳の発育や生涯の体力に影響する体の基礎作り期間として、特に重要な時期となる。よって子供はその時期、栄養をしっかり考えて与える必要がある。
 僕のこの考えは母方の祖母の考えで、生前の祖母が僕たちを育てる母親にいつも話していたことだ。それを僕が母から受け継いで、ユリを育てる際にいつも意識していることである。
「食べ物をケチってもどうせ病院代がかかることになる。子供には十分食事を与えなさい。そうすれば、病気にかかる心配が減る。それで子供は、生涯に渡り丈夫な体を得ることができる」
 おかげで僕は、これまで大きな病気を一つもせず、痩せ形の体形ながら体力も人一倍あり、かつて陸上の長距離選手としてしつこく勧誘を受けたほどである。これは親に感謝しなければならないことだ。
 おかげでユリも体は丈夫で、滅多に熱を出すことはないし、稀に熱が出ても元気にしている。もちろん入院は一度もない。

 医者にも指摘されたようだが、叔母さんの子供は明らかに栄養不足だそうだ。それは、お金の有る無しは関係がない。母親がその気になれば、工夫をして子供に栄養を与える手段はいくらでもある。料理を工夫することもできるし、我が家にお願いしにくれば、子供の食べ物のことであれば協力することもできる。実際にその子の栄養補給にと、我が家でミルクを買って届けていた。しかし全く感謝されず、しかも買ったミルクを上の子供にあげていたのを見て、モナがそれを止めてしまったようだ。
 子供の栄養を考えることは医者にも言われたそうだ。しかし叔母さんは、自分の手のかかることを一切やらないから、何度言われても何も改善されない。ママも子供が可哀そうだと嘆いている。しかし、子供の母親は叔母さんだから、周囲は気を揉むだけでどうしようもない。過去数回の入院で、叔母さんは医者とママに散々叱責され、それでもさっぱり変わらず同じことを繰り返している。モナは、このままだとあの子はいずれ死んじゃうのではないかと話している。
 今回、マニラで働いている叔父さんも子供の入院騒ぎで帰ってきた。子供は五日ほど入院しただろうか。幸い病院代は、PhilHelthという保険のおかげで2割弱の支払いで済んだ。ケースバイケースかもしれないが、意外に多くの費用を保険が負担してくれた。叔父さんは子供の退院と同時にマニラに戻ったが、叔母さんと子供二人をマニラに呼び戻すと宣言したそうだ。そうなれば、頼りない叔母さん一人で、子供にとってますます危険な状態になるのが分かり切っているため、周囲はそれとなく反対しているが、いくら親戚兄弟でも踏み込めない領域があるようだ。
 このフィリピン社会、頼ってこられたら別だが、口出しについて線引きは明確だ。極端に言えば、お金は出してもらいたいが口出しは無用という社会であり、それをみんながお互い承知しているように見える。僕はそれ以前に、責任を持てないから口出しもしないというスタンスだから構わないが、責任を持たされて口出しは無用となれば、日本人としては馴染めずストレスになりそうだ。
 入院した子供は、現在不思議なくらいピンピンしている。不幸中の幸いで、現状それが、唯一の救いとなっている。



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カテゴリー:フィリピン生活
エントリー:605.口出し無用
2012年10月05日

604.日々問題探し?

 例の女性は、今朝自宅に帰った。ジンが三日後に家に帰ると言い残し、付き添いでついていった。てっきりバイクで送っていくのかと思ったらそうではないようで、なぜバイクを使わないのかを訊いてみたら、女性の自宅はどこかの島にあるため船を使わなければならず、その時にバイクがあると困るからだそうだ。僕が聞いていた彼女の家は、我が家から車で二時間程走った街だから、更にそこから船を使うとなれば、半日掛かりの移動になる。結構大変な思いをして、我が家に来てくれたようだ。
 結局彼女と大したコミュニケーションも取らず、彼女がどのような女性か詳しく分かる前にいなくなってしまったが、そうなると日常のまったりとした生活が戻ってきて、何とも物足りない感じがしてしまう。
 すると夕飯は何を食べるか、それを考えるのが大きな楽しみの一つとなってしまうほど、ここの静かな暮らしは退屈だと言えなくもない。やはり心のどこかで、生活の刺激を求めているようだ。
 その退屈を克服するため、日々何か問題を探している自分に気付くことがある。問題があると困るが、問題がないと退屈。いやいやこれは、困ったものだ。以前、フィリピンの人たちは、親戚や家族に発生する様々な問題を楽しんでいるのではないかと思い、それを記事に書いたことがある。お金を使うレジャーの少ない人たち(これはお金が無い場合もあれば、田舎はお金を使う場所もない)にとって、問題はある意味、退屈を吹き飛ばすレジャーのようなもの?
 あまり勝手な想像で書くと失礼になるかもしれないが、もしかして自分がそんな心境になっている? また少し、自分がフィリピンの方々に近づいたような気になっている。

 その中で、昨日一つ気付いた。
 僕はブログ記事をマイクロソフトのワードを使って書いているが、それをコピーしてブログへ投稿すると、段落始めの文字位置が化けることがある。最近僕は、小説を書くのと同じように、段落の始めを一文字空ける、? や! マークの後は一文字空ける、会話文のカギカッコは一文字空けず段落頭から書き出すなど、小説投稿用の基本ルールというものに沿ってブログ原稿を書いているが、それがサイト上のブログ記事になると、ワードの表示通りになっている箇所もあれば、そうでないところもある。
 これは不思議だと思い元原稿を見ると、そちらは全て正しく書けている。その原因を色々調べてみると、ワードの自動インデント機能が悪さをしていることが分かってきたが、なぜかそれをうまくコントロールできない。ワードはこうなると実に厄介なソフトで、便利だが重くてややこしいソフトでもある。これまでも編集上で何か問題が起こると、とんでもない時間を費やすことが度々あった。かつての職場では、ワードは厄介だと、仕事上の様々なフォームをエクセルで作る人も多かったくらいだ。しかもこの問題は、ワード上で見た目が正しくできているから始末が悪い。つまり、ワード上で見なおしてもさっぱり分からない問題である。
 最近ワードの動作が不調なこともあり、もうワードを捨てようかと思っていた矢先であり、思い切って別ソフトを使うことにした。日本語の文章を書くなら、やはり一太郎とATOKの組み合わせが最強だが、文章を書くだけであればあれほど素晴らしい編集機能は不要なので、とりあえず無料のテキストエディターを使ってみることにした。条件は縦書き・横書きの両方に対応し、アウトライン編集ができるもので、かつ無料であること。
 アウトラインエディターとは、文章全体の構成をツリー表示で作れるもので、例えば少し長い小説や文章を書く際、最初の章はどんな内容にし、その章の中味の流れをどのようにするか、そんな文章の概略を先に決めて、階層を作りながら文章を作り込める機能だ。ワードにもそれがあるが、今一つワードのアウトライン機能は使い勝手が悪い。せいぜい便利なのは、目次を一発で作れることくらい。
 そうやって辿り着いたソフトが、VerticalEditorというフリーソフト(http://www.vector.co.jp/soft/win95/writing/se276951.html)。たくさんの設定があって慣れるまでややこしいが、一度自分のフォーム設定をしてしまえば便利だ。しかも設定が原始的な分、何か問題があっても、根気よく取り組めば解決できる。無料だが、よくできた素晴らしいソフトだ。今この原稿を、それを使って書いている。
 ギョウちゃんにも、手元の原稿ではよいが、投稿するとブログ記事の文字位置、折り返し位置がばらばらになることがあると相談されていた。アメーバはよく分からないため、有効な提案をできずにいたが、このソフト(単なるエディターだが)を使うと解決するような気がする。
 ただし今のところ保存がテキストしかできないため(HTML出力もついているが、試してみると文字化けする)、原稿をiPhoneでダイレクトに読めないのが難点。さてそれをどうするかが今の新しい課題で、とりあえずはこのソフトで作った原稿を、ワード上にコピーしている。コピーするとインデント問題は解消する。ワードファイルであれば、iPhone上でそのまま読めるし、先日書いたように今やクラウドになっているため、コピーしてセーブすればiPhoneでも拾えるから、それほど大変な作業にはなっていない。

 こうして文章書きは一つの形ができつつあるが、昨夜、もう一つ素晴らしい発見をした。昨夜日本の友人と話をしたが、その際スカイプを使わず、FaceTimeというアップル機器間で使用できるコミュニケーションツールを使用してみた。すると、相手の画像がクリアで、音声もスカイプより抜群に良い。お互いにiPhoneやiPad、もしくはMAC_PCを持っていないとできないが、転送レートが貧弱なフィリピンでもほとんど音声の途切れがなく、これはかなり使えるという印象だった。データ補間機能が強力なのだろうか。FaceTimeが可能な機器を持っている方は、是非お試し頂きたい。(これも、今頃何言ってるの? なんて言われるかもしれないが‥‥)
 日本ではiPhone5が発売となり、そのレポートもちらほら見かけるが、世の中の全てのスマートフォンと比較し、断然素晴らしい出来栄えだと絶賛されている。強いてあげればアップルマップが今一つだが、それも裏技でグーグルマップを使用できる。実際に僕のiPhone上では、グーグルマップアイコンが、アップルマップアイコンと仲良く並んでいる。先日フィリピンのアップルショップで訊くと、iPhone5のフィリピン発売は十二月だそうだ。クリスマスシーズンたけなわに合わせての発売である。なぜ来年ではないのかと、戦々恐々とするにっぽん男児の方もいらっしゃるのではないだろうか。
 本日は、そのような素晴らしい機器や環境を提供してくれたスティーブ・ジョブスの命日だ。そして同時に、世界教師デーでもある。日本は世界教師デーなど関係なさそうだが、フィリピンでは午後からしっかり学校が休みになっている。教師デーだから、教師も休み? それとも何かのイベント? よく分からないが、フィリピンは教師の都合で、頻繁に学校が休みになる。

 さてこれから夕食まで、コーヒーショップにでも行き、少し考え事でもしようかと思っているところへ、モナがコーヒーを淹れてくれた。パイケーキもあるそうで、コーヒーショップへ行きそびれそうだ。こうして毎日、今日もコーヒーショップへ行けなかったと嘆いている。最近は雨も多く、今日は行くぞと思っていると雨にたたられることもよくある。
 余談だが、フィリピンが世界第二位で、世界第三位が日本というものがある。それは何か。この話しの流れで容易に想像できると思われるが、それは降水量だ。記憶が曖昧だが、二位位のフィリピンは、三位の日本に大きな差をつけての世界二位だったと覚えている。ちなみに世界一位はインドネシア。
 こうして雨にも邪魔され、中々コーヒーショップに行けない。お金は節約できるが、たまには家庭と違った環境に身を置きたくなるものだ。気分転換という奴か。コーヒーショップならば大してお金もかからない。やはり後で、行ってみようか。



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カテゴリー:フィリピン生活
エントリー:604.日々問題探し?
2012年10月04日

603.珍客

 自分のブログ更新を停めている間、世間様のブログを頻繁に読んでいた。その結果、読みだすと癖になるもので、ついつい立ち読み感覚でお邪魔してしまうブログが多数となった。ところが、その中でぱったり更新が止まってしまったブログがいくつかある。ギョウちゃんのブログもその一つだが、それは理由が分かっているので除くとして、そうなると僕は更新していない記事に毎日通い、最初は寂しい感覚に襲われ、それがブログオーナーに何かあったのではないか、生きているのか、という様々な心配に変わってきた。
 そのうちお一人は、電話をしてみようか、それとも余計なお邪魔になるかもしれない、さてどうしたものかとずっと悩んでいる。決してブログ更新を促すためではなく単に心配になっているだけだが、どうも遠慮が先に立って勝手に気をもんでいる。
 自分がそんな心境になってみて、よくよく自分の足元を見れば自分のブログも、更新のないページに一日多数の人が訪れてくれている。となれば内容はともあれ、とりあえず更新をしようかという気分になった。更新さえしていれば、生きていることは分かってもらえる。

 生きているか死んでいるかと言えばギョウちゃんもその心配のうちに入るのだが、昨日ギョウちゃんご本人から電話を頂いた。かなり復調しているようで、今は体力回復のため、意識的に出かけるなど体を使うようにしているとのこと。思ったより元気そうで一安心した。
 まだ体力が‥‥、という割に口は相変わらずで、ブログ記事にするのは止めようと思っていた我が家の近況を少し教えたら、「それは面白い、記事にしても全く問題ない、明日を楽しみしている」と一方的に言われて電話が切れた。そこがまた元気そうで安心をしたのだけれど、そんな経緯があって、ちょっと我が家の珍客について書くことにした。

 珍客は二十九歳のフィリピーナ。僕もあのお方も、一昨日初めて会った方である。背の高い、「お〜、フィリピーナだぁ〜」という後姿を持つ女性だ。後姿‥‥?つまり顔立ちは、可もなく不可もなく‥‥。
 因みにあのお方は、フィリピーナの体形から少し遠ざかりつつあると書いておけば、僕の言わんとしていることが少しおわかりになると思われる。
 そのフィリピーナは、あのお方の弟(以下ジン)の恋人ということで、我が家を訪れた。もちろんジンが紹介したいということで連れてきたのであって、決して女性が一人でふらりと現れ、「あの人はどこにいるの〜」なんて泣き喚いた話しではない。ジンはしばらく、その彼女が暮らしている街で仕事をしていて不在だった。その彼が先週のある日、ふらりと久しぶりに帰ってきた。それから更に一週間ほど経過したのが、一昨日ということになる。
 となれば、別に普通の話しで問題ないが、ジンは彼女を家族に紹介し、その場でいきなりママに二人の抱える事情を正直に告白した。それはその女性に結婚している相手がいるという事実だ。これもここまでならば、まあフィリピンにはよくある話しだ。
 ‥‥が、その結婚相手は外国人で、今、旦那は自国にいるという話しである。外国人ではあるが、日本人ではなくウエスタンだというので、アメリカ人かヨーロッパ人か。詳しくは教えてくれない。
 かつて様々な方がおっしゃっていた。
「日本人と結婚し、その旦那が日本に帰っている間、もしくは日本で必死に家族の食いぶちを稼いでいる間、若い妻が現地のぴちぴちした若い男と色々なコミュニケーションに励むということが、昔は実に多かった。そんなことはすぐに街中の噂になって、本人は周囲から白い目で見られ、たまに帰る旦那は哀れみの目で見られる」
 僕はそんな話しが頭をよぎり、まさかそのような人生の達人とお話する機会に恵まれるとは思っていなかったから、そのような達人の特徴でも見極め、これから是非・・と気合十分の日本人の方々に、少しでもお役に立てる情報をお伝えできれば、などと思ってよくよく観察したのだが、これがまた、彼女がそのような方面の達人にはさっぱり見えない。一つだけわかったのは、ジンは愛人のような立場であり、彼女と付き合うに当たり、金銭的には苦労を必要としないということである。そうなると、しばらく家に帰ってこず、自分の力で逞しく生きているではないかと頼もしく思っていた僕は、「もしかしたら、ジンはしばらく彼女に食べさせてもらっていた?」などとあのお方につぶやいてしまったのだが、それに対して「たぶん‥‥」という返事が返ってきた。まあそれも、逞しく生きる方法の一つに違いないのだが。
 しかしこれは中々複雑で、だから安心し喜んでいればよいのか、やはりまともではないから、そんな、将来幸せになれない関係など直ちにやめるべきだと叱責すべきか、悩ましいところである。二人の気持ちも状況も知らず、頭ごなしに文句を言うわけにもいかないので、僕は中立の立場を守り、無口で控え目な日本人を装っている。

 ママは、「あなたは何でいつもそんな複雑な関係ばかりなの!」と嘆き 、彼女が初めて来た日の夕食をボイコットする始末。その夕食の席はみんなが不穏な空気を感じ取り、誰も何も話さない。その席であのお方がその彼女に発した唯一の言場は、「食べて!」‥‥だけ。まるでお通夜のような雰囲気に飲まれた僕は、一体ここはどう振る舞えばよいのかさっぱり分からず、もし自分がお通夜の雰囲気を壊そうとがんばった時に、思い切り外してしまえば‥‥という恐怖心も手伝い、やはり自分も自然と無口になってしまう。
 食事が終わってから、僕はあのお方に言った。
「あれじゃあジンも彼女も可哀そうじゃないか」
 するとあのお方は「これから話そうと思っていたんじゃないの」と反論した。反論する彼女に僕は、「いつもは食事中でも楽しそうに話をするではないか」と言ってみると、それに対するあのお方の口応えは無かった。むしろ図星をつかれてニヤニヤしていた。
 いたたまれない空気を感じ取った二人は、我が家に泊まる予定をキャンセルし、明日また来ると言い残し家を後にした。あのお方は、これから話しをしようと思っていた矢先に、出ていってしまったではないかと、そのことを言っているのである。
 何か可哀そうな気のした僕は、苦肉の策としてせめて歓迎の意を示しておきたいと、二人が家を出る間際に提案した。
「明日は夕食後、ライブハウスに招待しようと思っている。一緒に行こう」
 これで少しは救われたのか、ジンは「行こう行こう」と喜んで、明日は家に泊まるからと言い残し我が家を去って行った。

 さてその翌日、つまり昨日、二人は約束通り午前中から再び我が家にやってきた。相変わらずママはいい顔をせず、モナも何となく敬遠気味だ。その女性とあまり会話をしていないが、彼女に対する第一印象はモナも僕もほぼ同じで、それほど良くない。後で聞いてみると、ママもダディもあまり‥‥ということだった。
本人は遠慮があり挨拶もできる子であるが、人間とは不思議なものだ。なぜそれで印象が悪いのか。逆にいくら図々しくても、世の中には誰にでも好感を持たれる人もいる。一体彼女の何が問題なのだろう。実は僕にも分からない。
 更にママは、僕とは全く違った次元で彼女を見ていた。あれは夜、変な商売をしている女ではないか。それを聞いた時には僕も驚いて、モナにどう思うかを訊いてみると、半々だという答えが返ってきた。そのように見ればそう見えなくもない。人間とは不思議なものだ。意識的に色眼鏡で見てみると、本当にそのように見えてくる。あらためて人間が時々使う色眼鏡の恐ろしさに気付く。しかし、外国の立派な旦那がいて、そのような仕事をするだろうか。彼女に関する謎は、ますます深まるばかりだ。
 昨日はユリの初公文塾(正式版)があったので、僕、あのお方、ユリと三人でレガスピに出かけた。その帰り道、一応僕はあのお方に確認した。
「彼女に子供はいるのかなぁ。今日の夜、旦那がいるのにジンとそのような関係になるのはなぜか、旦那を愛していないのか、その辺りを率直に訊いてみていい?」
 するとあのお方は、それは止めた方が良いと言った。その話しをすれば、本人もジンも苦しくなるだろうと言うのである。フランクに訊いてみようと思っていたが、そう言われたら確かにその通りかもしれない。

 我が家に帰ってみると、ジンは外出中だった。家でじっとしているよりも、二人で外を出歩いた方が楽しいだろうと思ったら、恋人はベルの部屋に一人でいたから驚いた。しかもベッドに寝そべって携帯をいじっていた。かなりリラックスしている。少し前に起きたそうで、ゆっくり昼寝もしたらしい。思っていたより気兼ねも遠慮もしていないかも‥‥。そんな風に見えた。まあ、その方がこちらとしても気が楽だ。せっかく来てもらったのだから、嫌な気分で過ごされるのはこちらも本意ではない。
 昨日の夕食は、食卓に家族全員が顔を揃えた。夕食前に、そのような境遇の女性と付き合うことで、追々何か問題が起こらないか、そんなことをダディが心配していることが耳に入ってきた。もちろんママは、最初からそれも心配になっている。しかしママの考えていることは、前述した通り僕の考えを遥かに凌駕している。つまり僕にも、ママの頭の中はさっぱり想像できない。おそらく僕よりも、ずっと多くのワーストケースを想定しながら心配しているのだろう。
 珍客の彼女は一貫して小食で、我が家の食べ物が口に合わないのかダイエットをしているのか、それともそもそも小食なのか。よく分からないが、とにかくあまり食べない。かつ丼もとんかつも、そして最後の日本の豆腐在庫を奮発して作ったマーボ豆腐も、現時点で彼女から美味しいという言葉を聞くに至っていない。もっともフィリピンの人は、こちらが感想を期待していることを明確に伝えなければ、美味しいということを口にしない人が多いから、実際にはどうなのかよく分からない。しかし、少しはそのようなおもてなしの気持ちが通じたのか、昨夜の晩餐は雰囲気が進展し、少々の会話があった。時折彼女に対して何かの話しが振られるが、彼女は顔を赤くして短く答えている。ビコールの言葉なので僕に内容は分からないが、本人も周囲も、その状況に少しずつ馴染んできているようだ。
 夕食後、ロンも誘いお約束のライブハウスへ行った。モナは彼女と隣り合わせで座り、時折何か話し込んでいる。彼女の顔にも笑顔が浮かび、少しは楽しんでくれている様子なので、こちらも安心した。その彼女、結構お酒が強い。再び、「夜の女?」というのが頭をよぎるが、もしそうだとしてもそれが何か?である。ジンの二人目の子供を産んだ女性が完全な夜の女で、その女性が酷いトラブルメーカーだったため、ママの警戒心は相変わらずピークに近いところをふらついているようだが、僕の目には彼女が、それほど酷い人には見えない。もっともフィリピンを離れているという旦那が少し不気味だが。
 欧米人でも日本人でも、酷い人は酷い。もっとも、何か喧嘩になれば、彼にとってこのフィリピンはアウェイでとても不利だが。そんなことを考えて、たまに一部の日本人がブログでおっしゃっていること‥‥フィリピンは、外国人に冷たい、裁判も不公平、国家ぐるみで外国人から金を奪いにかかる‥‥に対し、僕はフィリピン人側の立場で物事を考えていることに気付く。しかし、家族がフィリピン人だから、そうなることも仕方がない。とにかく事情も背景もよく分からないから、僕は今のところ、どちらのサイドでもないけれど。
 このライブハウスで、彼女に一歳半の子供がいることが分かった。子供の父親は、外国にいる旦那だそうだ。「それはまた別」などと言われたら、それも驚きだが、幸いそうはならなかった。しかし、まだ小さい子供がいるということで、ますます彼女に対する謎が深まった。インタビューしたのはモナで、僕は間接的に聞いただけだから、やはり詳細は分からない。あのお方も首を捻っている。
「欧米人はフィリピンにフィリピン人奥さんを放っておけば、かなり高い確率でこうなることを分かっているから、ほとんどは自分の国に連れていく。彼女の旦那がなぜそうしないのか不思議だ」
 旦那は一体何人なのか?旦那との関係はどうなのか?二人はこの先どうなるか?まるで小説のようになってしまうが、書き手の僕本人にもよく分からない。
 ただ、足かけ三日で彼女を見る限り、彼女は普通の女性に見える。
 もしかして、過去に色々と聞いたフィリピン女性の浮気話は、このように普通の女性に普通にあることなのかもしれない。そんなことを感じさせた出来事で、人ごとではない自分にとっても少し複雑である。ただし、フィリピン人女性を妻に持ち、その妻をつぶさに見てきた自分が一つだけ信じたいのは、そうなるにはそうなる理由があるのではないかということだ。
 それにしてもジンは、いつも色々なネタを提供してくれる。今回も家に帰ってそうそう、結構面白い。僕はそんなジンが嫌いではない。



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エントリー:603.珍客

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